見出し画像

2022年4月28日の銭湯日記

「この間行ってきたよ」みたいな感じで記事を出しているが、タイトルをよく見てみてほしい。

 そう、これは丸1年前の日記なのだ!

 ちなみにここ潰れたの(´;ω;`)多分コロナのせい。

 ということで本編レッツゴー!(*≧∀≦)ノ


 私は銭湯が好きだ。先日行った銭湯で知らないおじさんに怒られて怖い思いをしたが、それでも好きだ。なので今日は銭湯に行こうと思った。

 話が変わるが、今私の髪はモンチッチみたいになっている。夏も近づいてきているのでそろそろ床屋に行かねば。
 そう思った私はあることを思いついた。銭湯に併設している床屋に行こう、と思ったのだ。

 スーパー銭湯には床屋が入っている確率がけっこう高い。髪を切り、そのまま頭や体を洗って風呂に入り、ぽっかぽかになろうと思った。

 真っ先に思いついたのは家から15分ほどのところにあるスーパー銭湯だ。ここには床屋もあるし食堂もある。風呂上がりに昼間からビールでも飲んでしまおうか。
 しかし、よくよく考えるとここはダメだ。先日知らないおじさんに怒られた店だったんだ。

 その日私は自分との戦いだと言って1時間近く湯船に浸かっていた。のぼせる手前まで行っていたので慌てて上がり、風呂の外に出た。
 タオルである程度の水気を取り、バスタオルや着替えが入っているロッカーに向かおうとしたその時、あるものが目に入った。

 ピカピカの桃!? ⋯⋯いや、よく見るとお尻だ。それはそれはピッカピカでプリンプリンなお尻だった。そう認識した瞬間、私は持っていたタオルでその尻を引っぱたいていた。

「うわぁ!」

 その尻の主が叫んだ。叫んだあと、尻の主は怯えた様子でこちらを見た。普通におっさんだった。この顔にこの尻がついてるなんて全く想像出来ない。顔だけ見せられたら汚い尻を思い浮かべるだろう。言いたい放題だな、私。

「なにするんや!」

 さっきまで怯えていたおっさんは私に向かって力の限り叫んだ。私は自分のしたことの重大さに気付き、平謝りをした。おっさんはずっと怖い怖い言っていた。おっさんも十分怖いぞ。

 というわけでここにはしばらく行きたくない。
 そうなると自分では思い付かないな。

 そこで私はスマートフォンで床屋と銭湯が一緒になっているところを探した。案の定沢山あったが、どこでもいいという訳ではない。出来るだけ安くて上手なところ。クチコミを参考に床屋を選んでいく。

 いい感じの外観の店。
 ⋯⋯1000円だと!? 素晴らしい。クチコミを見てみると色々合わせて2000円くらいになると書いてある。まあ2000円でも構わない。入浴料はいくらだろうか⋯⋯なに、1500円だと!? ちゃんちゃらおかしいぜ!

 次に出てきた店を見てみる。1800円か⋯⋯いいじゃないか。入浴料は、650円! ええやん! ここにしよう!

 ということでわりと早く決まった。家からはものすごく遠いので電車で行くしかないが、今日という日を充実させるためだ、仕方がない。おつまみも美味しそうなものがある。ビール飲もう。

 こうして朝からそのスーパー銭湯に向かったわけだが、まずいきなり満員電車。通勤ラッシュの時間帯だったのだ。ギュウギュウ詰めで30分立ちっぱなしでようやく目的の駅に着いた。
 だがここはゴールではない。ここから2km歩くのだ。私は散歩が好きなので意気揚々と歩を進めた。

 いきなり迷った。大きな駅なので出口が多数あるのだが、思っていたところと違う出口から出ていたようで、しばらく気付かず反対方向に500mほど歩いていた。
 戻らねば。普段ならここで1km無駄に歩くことに腹を立てる私だが、今日は違う。楽しみが待っているのだ。しかも間違えたおかげで面白いお店の写真が撮れた。お化け屋敷みたいな壁に親子丼の文字がでかでかと書いてあった。しかも1500円。やばい。

夜怖そう

 駅に戻った私は地図を確認し、銭湯へと向かった。やはり知らない土地に来るとこういうことがある。でも、知らない土地ならではの発見があるから苦ではない。私は線路沿いをひたすら歩いた。

 ツツジがたくさん咲いている。昔よく蜜を吸ったなぁ。今も吸うけどね、チュー。あまり美味しくない。舌が肥えたのだろうか。

 ちなみにツツジには毒があるものもあるので、良い子のみんなは蜜を吸わないようにしよう! 悪い子は吸ってしまえ!

おいしそう

 ツツジを吸いながら何枚か写真を撮り、その場を後にした。そろそろ左かな、と思い地図を見る。あれ、もう少し後ろだ。いや、後ろに左に行ける道なんてないぞ? しまった、この線路の向こう側の道を行かなければいけなかったんだ!
 私は急いで駅まで戻り、向こう側の道に出た。ここでも2kmほど余分に歩いた。でもツツジが綺麗だったので許す。

 しばらく歩くと公園が見えた。また地図を確認する。よし、この公園だ。ちゃんと正しい道を歩けている。
 頭がモンチッチの状態で合計4kmほど歩いた私は汗をかいていた。少しここで休憩しよう、と入口にあった石に腰を下ろした。
 公園では保育園の先生らしき人と小さな子供が遊んでいる。1対1で。そんなこともあるのか、としばらく眺めていた。

「よっこいしょ」

 隣の石に誰かが座った。なぜかこちらに体を向けて座った。視野のギリギリに顔があったことと声とで、なんとなくその人が50代くらいのおじさんだと分かった。そもそもここは椅子ではなく、ただの円柱の石だ。なんで座るんだ。

 まあ、隣に座るのはまだ分かる。でもなんでこっち向いて座るんだ。
 どんな顔をしているのかしっかり見てやりたいが、怖くて首が動かせない。私は電話がかかってきたフリをして立ち上がり、銭湯へと向かった。

 あ、肩にコオロギが乗っている。こんな時期にもいるのか。

実は友達に1日中散歩を実況していたのだが、夜に確認してみたらなぜかコオロギをコウロギと書いていた。
そもそもこのスクショが意味不明キモイと思うが、私は1日の終わりに自分が人に失礼なことをしていないかとかそういうのを振り返る習慣があるのだ。その結果コウロギを見つけた。まぁ1日中実況している時点で迷惑はかけまくりなのだが。キャプションクソ長いのもなんか申し訳なくなってきた。ごめんねみんな。

 それにしても今日は暑いなぁ、こんなに迷うなら大人しくバスに乗ればよかった。駅から銭湯付近までのバスが10分おきに出ているのだから。

 そんなこんなでやっと銭湯に到着することができた。広い駐車場には太陽光パネルが屋根として置いてあり、銭湯の建物は私に背中を向けていた。どこから入るのだろうか。

 こういう時は停まっている車を見るといい。皆入口に近いところに駐車するのだ。つまり、ここが入口だ!

「昨日のやつはどうやった」

「抜かりは無いわ」

 なにやらドスの効いた声が聞こえる。なんでそんな怖い声で喋るの? 銭湯の駐車場でなにやってんの? 車の中で喋れよ。そう思いながら私は入口へ向かっていた。

「すみません」

 入口付近で綺麗なお姉さんに話しかけられた。綺麗なお姉さんに話しかけられるということは、怖いことが待っているということ。さっきのやつらの仲間か?

「入浴ですか?」

「はい」

 そりゃそうだろ。ご飯食べに来るだけとか、床屋だけとかの人もいるってことなのか?

「券売機で買って、入るんですか?」

 なるほど。この人は初めて来た人で、ここのシステムが分からないから不安なのか。

「ごめんなさい、僕初めてなんで分かんないです」

 まさかこのお姉さんも私があんなところから来ているとは夢にも思わないだろう。ごめんよ、力になれなくて。

「そうじゃなくて、これ」

 お姉さんはここの無料チケットを差し出した。

「500円で買いません? 今日までなんですよ」

 確かに4月28日と書いてある。500円で買えば150円得することになるな。この人は余った無料券を売り付けられる人を探していたのだろうか。
 私はウィンウィンだと思い承諾し、令和3年の新500円玉を手渡した。

疑う人なんていないと思うけど、証拠です


 中に入ると、おびただしい数の下駄箱が並んでいた。こういう時私は数字にこだわる。皆も好きな数字にすることだろう。341番の下駄箱に靴を入れ、100円を投入し、鍵を閉めた。

 脱衣所のロッカーも100円を入れないと使えないんだろうか。今100円玉は財布にない。そうだ、タオルを1個しか持ってきていないから、券売機で1個買おう。
 1回お風呂に入って綺麗になった状態で髪を切ってもらい、顔を剃ってもらい、もう1度お風呂に入る。1回目でビショビショになったタオルで2回目に臨みたくないのだ。
 私は160円のタオルを500円玉で買った。これでロッカー代が出来たぞ。

 受付で無料券とタオルの券を出し、タオルをもらう。そして風呂へ行く。

 あ、ちょっと待てよ?

「お風呂入ってから髪切りに行って、また入ろうと思うんですけど大丈夫ですか?」

 一応確認をしておく。基本大丈夫だとは思うが万が一のためにだ。

「今日ヘアカットお休みですよ」

 へ?

「あ、そうですか」

 ポーカーフェイスでその場を離れ、少し離れた場所の椅子に腰を下ろす。

 休みは火曜日だけのはず。今日は木曜日だぞ。どういうことだ? 私が情報を見落としているのか?

 あの「今日ヘアカットお休みですよ」という言い方。

 急遽休みになったとか、予定にない休みだった場合は謝罪の言葉があるだろう。つまり今回はちゃんと掲示してあるということだ。

 私はスマートフォンを取り出し、鬼の形相で画面を見つめた。やはり火曜休みと書いてある。お知らせのところにも何も書かれていない。床屋専用のページにも特に記載はない。
 じゃあなんであんな態度なんだ。ここはそういう客に失礼な態度を取る店なのか。こんな店出て行ってやる。

 返金してもらおうと思い、立ち上がった。その時私は思い出した。今日は無料券で入ったんだ。これで返金を要求したら無料券を金に替えたいだけのやつだと思われてしまう。いや、そもそも換金は不可能だろう。

 よく考えたらタオルも無駄じゃん! 髪切って2回目入るから2個目のタオルを用意したわけで! タオルだけでも返せないかな⋯⋯いや、無理だ。私にそんな度胸はない。

 仕方がない、お風呂に入って、1人で飲み会をやって帰ろう。妥協して私は脱衣所へ入った。やはりロッカーには100円を入れるところがあった。良かった、タオルを買ったことも無駄ではなかったんだな。いや、飲み物でも買って崩せば良かったか。

『ブォーーーーーー』

 ドライヤーの音がデカくてビビる。すごい音だな。ん、あれは⋯⋯! 鏡台の横に両替機がある! やっぱタオル無駄だったんじゃん! 最悪だ!

 心を落ち着かせるため水を飲み、すっぽんぽんになって浴場へ向かった。ふむふむ、平日の昼間でもわりと混んでるんだな。

 出ました、掛け湯ゾーン。私は掛け湯の存在意義が分からない。こんなお湯を体に掛けただけで湯船に入れるようになるなんておかしいと思うのだ。全員しっかり体を洗った上で入るべきである。法律で義務付けろ。

 私はレモン臭いシャンプーとボディソープとコンディショナーを使い、ピッカピカになった。そう、これが完全体なのだ。こうならなければ風呂に入ってはいけない。だって他の人も入るんだぞ。

 湯船に入ろうと歩いていると、脱衣所の方から若い女性が現れた。スクール水着のようなものを着ている。アカスリの人だそうだ。私は若い男性だからアカスリの人になったら女湯を堂々と歩いてもいいのだろうか。

 さてどの湯に入るか。露天風呂は寒いから嫌だし、目の前のは水風呂だし。そこは炭酸風呂⋯⋯え、このおじいさんまだ縁に座って足だけ入れてるのか。20分くらいこうしてるんじゃないかな。寒くないのかな。

 結局私は緑茶風呂に入った。すごい、お湯が緑だ。でも手で掬ってみると透明。これって床が緑色なんじゃないの? そう思った私は桶で緑茶風呂の湯を掬ってみた。薄い黄緑だ。これがこの深さになると緑茶ほどの濃さになるのか⋯⋯不思議だなぁ。

 隣が水風呂なのだが、サウナから出てくるガリガリのおじさんが何度も潜っている。これが『整う』ってやつなんだろうか。
 体をアッツアツにして、水風呂に20秒ほど潜って体を冷やし、またアッツアツにして⋯⋯こんなの絶対健康に悪いでしょ。ギリギリ歩ける状態みたいな感じでサウナから出てきて、一気に体を冷やすんだよ? おじいさんもやってるのが信じられないよ。

 緑茶風呂には今3人いる。私とおじいさんとおじさん。おじさんは向こうを向いている。おじいさんは縁に座ってこちらを見ている。おじいさんってなんでみんなそうなの?

 とにかくずっとこちらを見ている。見られているのが嫌で隣の水風呂を見ていた訳だが、水風呂の人もこちらを気にしだしたので私は向きを変えた。その結果おじいさんと目が合った。
 おじいさんはまるで私に喧嘩を売っているような目をしていた。我慢比べをしようじゃないか、という顔をしていた。

 いいだろう、受けて立とう。私は湯船に肩まで浸かっている状態、おじいさんは足だけ浸かっている状態だ。こちらが不利なのは明らかだ、しかし、負け戦こそおもしろいのよ!!

 私はふと炭酸風呂のおじいさんを思い出し、後ろを向いた。

 まだいる。恐らく私が脱衣所から入ってきた時と、体を洗い終わった時と、今とで同じ格好同じ表情をしている。置物なのか? そういえばここの私に喧嘩を売ってきたおじいさんも微動だにしないな。この銭湯はおじいさんの置物を何個か置いているのか?

 あることを思い出し私は納得した。この地域には『舞夢男爵まいむだんしゃく』というパントマイムの達人がいるのだ。動いていない時は本当に置物のようで、人だと気付かず通り過ぎてしまうほどだ。おじいさん達はこの『舞夢男爵』に憧れを抱いているのだろう。

 結局私は40分ほど浸かっていた。合計で1時間お風呂場に滞在していたが、炭酸風呂と緑茶風呂の置物は最後まで全く動かなかった。マダム・タッソーを思い出した。

 お風呂を出た私は、出たすぐのところで体の水気を取っていた。プリンプリンのおケツが現れないことを祈りながら⋯⋯あ! プリンプリンのおケツ!

 そう思った時にはすでに手と脳が動いていた。

 (『バチィーン!』とやらなければ!)

 ブンッという音を立て、水を含んで重くなっていたタオルは空を切った。プリンプリンのおケツは立ち止まることなく、ビショビショのままロッカーのほうに行ってしまったのだ。

 え、あなたも?

 え、このおじいさんも?

 ここの地域はビショビショのままロッカーに行くの? じゃあこの出口付近の床の柔らかいのはなんなんだ。ここの上で体を拭いてくださいねゾーンじゃないのか。

 ひとしきり文句を言った私は体を拭いてロッカーへ向かった。こんな街に長居してはいけない。さっさとトンテキと唐揚げでビールを飲んで出ていこう。

 私はシャツも着なければパンツも履かないので、服とズボンを着るだけだ。ズボンを履く時近くにいたおじさんが『え!?』という顔をしていた。少数派はいつも好奇の目に晒される。いつか確実に全人類ノーパン時代が来るんだ。その時は私がおじさんを見てびっくりしてやるからな。

 モンチッチなのでタオルだけでは全然水気が取れない。よし、さっきの爆音のドライヤーで乾かそう。あれ、ここにも100円入れるところがあるぞ?

『ドライヤーは有料となります』だって。

 こんなことある? 下駄箱とロッカーの100円はちゃんと返ってくるけど、これは本当に100円取られるようだ。でも乾かすしかないので100円入れるよ。

 さっぱりした! さて食堂にいこう!
 食堂に行くと、食券を買う人達が長蛇の列をなしていた。よく見るとテーブルもほぼ空いていない。これだけ混んでるところで飲むのは嫌だな⋯⋯駅まで戻ってそのへんでなにか食べよう。

 せっかくさっぱりしたのでもう汗を流す訳にはいかない、そう思い私はバスに乗った。後から来たおばあさん達は当たり前のように私の前に割り込み、乗っていた。同じ県でもこんなにも違うのか。やはり都会は悪人の比率が多く、勧善懲悪が追いついていないのだろうか。
 人に怒られることなく歳をとるとこうなるので、今のうちにたくさん怒られておこう、と思う私であった。

 駅に戻り、周りの店を見渡す。どこも行列だ。都会のお昼はいつもこうなのだろうか。こんなに混むなら地元に帰った方がいい。私は電車で地元の駅に戻り、店を探した。食べたいものがある店は激混み、特に食べたくない店はガラガラ。結局家に帰ってインスタントラーメンを作って食べた。

 なんとも微妙な日であった。

[追記]
次の日床屋さんに行きました。モンチッチが綺麗ななすびになりました。もみあげどうしますかって聞かれても分かんなくないですか? 髪乾かしたあと何かつけますかって聞かれても分かんなくないですか? みんな味噌つけてくださいとか言うの?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?