見出し画像

狂人出現率アップ日に回転寿司に1人で行く(2022年6月29日)

 訳あってスシローで4時間潰さなければいけないのだが、理由は聞かないでほしい。1000文字くらいになってめんどくさいから。

 37℃という頭のおかしい気温の中、私はスシローへ向かって歩いていた。人通りの少なくない、少し大きめの道だ。近くに中学校があるが、この時間はまだ学校の中にいるので、堂々と道いっぱいに肩幅を広げて(6.5m)歩くことが出来る。

 しばらく歩いた私は、中学校から100mほどの地点でとんでもないものを見てしまった。
 全裸のおじさんである。歳は50代くらいと思われ、一切何も身につけずに車道の方を向いて立っていた。

 このまま進めば私はこの人の前を通らなければならない。以前『全人類露出狂化計画』というエッセイ(?)にて、

『露出狂というのは2パターンあり、1人に狙いを定めて露出してくるタイプと、不特定多数に裸を見せつけるタイプとが存在する。このうち、不特定多数に裸を見せつけるタイプはあまり怖くない。なぜなら、自分が狙われているわけではないからだ』

 と偉そうに言ったのだが、前言撤回、ごめんなさい。超怖いです。なんで裸なの? 暑いから? まだ50代くらいだろ? ボケてないだろ? 私がパンツ買ってきてあげた方がいいの? 履かせてあげればいいの?

 そう思いながら私はおじさんの前を通り過ぎた。置物のようだった。暑さで頭がやられているのではないかと思ったが、それなら全裸になる前にぶっ倒れるだろう。知らんけど。全裸で道端に立つ人間になった事がないから本当に分からん。

 ちなみにおじさんのちんちんは小さかった。豆まきの豆くらい。大豆。そういえば大豆って大って名前なのに小さいね。小豆って名前にすればいいのに。⋯⋯あずきじゃん。

 まだ500mほどしか歩いていないのだが、もう汗が出てきている。500mで汗をかく季節って、なんなんだほんとに⋯⋯

 しばらく歩くと、全裸の女性が立っていた。なぁ、この道なんなんだよ。中学校の校区内だろ? お前らなんなんだよ。

 遠くからなので正確ではないが、見た感じ30歳前後という感じだった。読者の男性諸君、今羨ましいと思ったか? 思っただろ! さっきのおじさんと変わらないからね、これ。めっちゃ怖いから。この人はあんまり美人ではないけど、もし美人だったとしてもめっちゃ怖いと思うよ。だってここ裸で立ってていい所じゃないんだもん。あ、ちなみにおじさんはカッコよかったよ。

「おばあちゃん、暑いよう」

 反対側の路側帯を歩いていたおばあさんとその孫らしき男の子。おばあさんが男の子の目を覆いながら通過している。ただでさえ暑いのに、顔に手なんか被せられたら暑いよな。でもめっちゃ怖い女がいるんだよ。おばあちゃんに感謝しなよ。

 私は暑がるふりをしながら女の前を通り過ぎた。いや、ふりというかめちゃくちゃ暑かったんだけども。だけども、暑さより露出狂への感情が勝ってたね。だから暑がるふりという表現になった。

 警察に通報したほうがいいのかもしれないが、なんか可哀想なのでそっとしておいた。誰かを傷つけるような奴らではない、と直感的に思ったので放置したのだ。次からはちゃんと服着るんだぞ、2人とも。

 そんなこんなで無事スシローにたどり着くことが出来た。現在時刻は13時ちょい過ぎ。旗に北海道&東北フェアと書いてある。今日からスタートと書いてあった。

 店に入ると、待っている人こそいないものの、活気があるほどには混んでいた。カウンターに4時間はさすがに辛いので、テーブル席を指定した。すぐに出てきた。36番だ。

 36番、36番⋯⋯あー、レジから1番近い席だ。店員さんも客も1番通るところじゃないか。しかもレジから見えるし。ここで4時間。仕方がない、頑張ろう。

 テーブルに持参したペットボトルの水を置き、トイレに行く。そう、道中ずっと我慢していたのだ。我慢していたところに普段ではありえないレベルの驚きを2発くらったのだ。漏れたらアイツらを訴えるつもりだった。

 トイレに入ると、個室の鍵が閉まっていることに気がついた。私は個室に用事はないので、小便器の前へ歩いた。

「あーーーーーーーーーーーっ!!!」

 個室から太鼓の倍くらい響くおっさんの野太い声が聞こえた。今日何の日なの? 狂人祭り? 私への盛大なドッキリ?

「あーーーーーーーーーっ! あっ!」

「大丈夫ですか!」

 店員さんが駆け込んできた。そうだよな、めっちゃでかい声だったもんな。

「大丈夫です。なかなか出なくてちょっと力入っちゃいました」

 そんな奴いるんだ。

 私は自分の席に戻り、タッチパネルで注文をする。
 今日からフェアがやっているようだが、あまりめぼしいものもないので、普段のメニューから選ぶことにした。フカヒレは気になったけど1貫330円だったのでやめた。

 実は日曜日から胃が痛くて、今朝病院に行ったばかりなのであまり食べられる気がしない。
 しかし、スシローに来たからには存分に楽しまねばもったいなかろう!

 タッチパネルでこういかを2皿と、フライドポテトを注文した。

 ほどなくして熱々のフライドポテトとこういかが2皿やってきた。まずはポテトをパクリ。うみゃい。シャボテン公園で食べたポテトに似てる。バーガーキングにも似てる気がする。

 そういえばポテト、120円って書いてあったな。いつの間に20円値上がりしたんだ。でもまぁ、これで120円なら安いか。正確には132円。細かいと言われるかもしれないが、この12円はでかい。うまい棒なら12本、ベンツなら2台買えるお金だ。

 普段はポテトは手で食べるのだが、今はスマホでこれを書きながら食べているので爪楊枝を使っている。お行儀悪いよね? うん、けっこうけっこう。4時間もいるんだよ。ただゆっっっっっっっくり食べるだけってのは無理なのよ。

 さてさてこういか⋯⋯そうだ、わさびをつけてみよう。
 私はわさびが大嫌いで、スシローでは使ったことがないのだが、ちょうど流れていたので1つ手に取った。

 そういえばこの席めっちゃ寒い。ハズレかも。うわさっむ! 寒い⋯⋯

 わさびを少し皿に出して舐めてみる。うん、ダメだ。これは全てのものの味を下げるものだ。わさび好きの人には申し訳ないが、私が来年神になった暁には、この世からわさびは消えてしまうだろう。そして干支も恐らくイノシシがカニに変わるだろう。寒⋯⋯

 せっかくのこういかが台無しになってしまうので、わさびはつけずに食べることにした。

 それにしても、いきなりこういか? しかも2つで、他は無し!? と思う人もいるだろう。そう、いきなりこういか、他は無しだ。間違いではない。

 こういかは美味いのだ。私は大葉が大好物なのだが、このこういかには大葉が入っている。私は大葉が入っていさえすれば問答無用で50点加点する人間だ。そしてこのこういか、パリッパリでうまっうまなのだ! パリッパリのいかって、本当に美味いのよ! 140点!

 甘エビ軍艦が流れてきた。存在を忘れていたが、彼もまた素晴らしい寿司の1人だ。いや、彼『ら』と言った方がいいか。ひとまず私は甘エビ軍艦を1皿取った。

 ラーメンのPOPが目に入る。北海道産の味噌を使った味噌ラーメンか、よし、頼もう。
 正直1ミリも期待していないのだが、どうしても新しいメニューが出ると食べてしまう。これまでスシローのラーメンは1度も当たりを引いたことがないが、今日はどうだろうか⋯⋯

 ほどなくしてラーメンも届いた。蓋を開ける。ふむふむ、いい匂いだ。熱いうちにひと口行ってみよう。猫舌だからつらいけども。

 うん、美味い! 普通に味噌ラーメンだ! スシローで普通の味噌ラーメンを食べられるなんて思っていなかったので、私は感激した。しかし、けっこう濃いめの味で、かなりこってりしている。普段なら嬉しいところだが、今日は胃がやられているので少し大変だ。

 さて、お次は甘エビ軍艦解体式といきましょうか。甘エビ軍艦は寿司ネタになれなかった小ぶりの甘エビの寄せ集めの軍艦なので、いくつかエビが入っているのだ。その上にマヨネーズがあるのも素晴らしい。

 1つずつ箸でつまみ、皿のふちに並べていく。普段はこんなことはしないのだが、なんせ今日は時間を潰しに来ているのだ、やるしかないだろう。

 1、2、3、4、⋯⋯19。シャリの方に1匹ずつ残してあるので、合計で21匹入っていた。これはすごいことなのではないだろうか。

 エビを皿のふちに並べていたのだが、まさかこんなに入っているとは思わず、期せずして何かの儀式のような並べ方になってしまった。ちょうど1周したのだ。

本マグロとか召喚出来たらいいのに

 甘エビが1匹ずつ乗ったシャリを先に食べる。そして、空いた真ん中に醤油を垂らし、それにつけて甘エビをチビチビつまむ。それが酒飲みの至福の時よ⋯⋯

 まぁ今日はお酒は飲まないのだが。それにしても満足感があるよ。エビだけ単体で刺身として食べられるんだもん。19個も。パクリ。うん、臭い。パクリ、うん! 美味い! 玉石混淆だけど、これもまた1つの楽しみにょ!

 さて、ラーメンを完食して、こういかを食べて⋯⋯次の注文!

 こういかを2皿と、フライドポテトと、替え玉! 替え玉あるのって素晴らしいよね。これも120円に値上がりしてるけど。ついでにカタラーナブリュレ頼んどくか。私はデザートはごはんとごはんの間に食べるタイプなのだ。なんなら最初でもいい。食べ放題の場合は高確率でデザートから行く。混むのが嫌だからだ。

 ⋯⋯なぬ! 入荷待ちだと!? スシローといえばカタラーナだろう! これを食べに来たと言っても過言ではないほど、これ目当てだったのにぃぃぃぃイイ!

 どうしようか。

 ん、これは⋯⋯!

『リプトン フルーツ イン ティーパフェ (白桃&マンゴー)』

 神か!? なんだそれ!

 写真を見ると、紅茶ゼリー、紅茶、マンゴー、みかん、いちご、レモン、もも、ももアイス、ホイップが入っている。神か?

 私は紅茶が大好きだ。もう、ダイスキスー♪と歌いたくなるくらいに大好きだ。こんないいものがあるのなら頼んでしまおう。

 フライドポテトは相変わらず揚げたて、こういかも変わらず激ウマだった。替え玉は熱々で流れてきたので、冷めたスープに入れるとちょうど良かった。けっこう膨れてきた。

 反対レーンに橙色(私)のカップに入ったパフェが流れてきた。いいねぇ。この時間、好きよ。ちなみにこの時点で2時間ちょい経っている。めちゃくちゃゆっくりなのだ。

 もうすぐ来るな⋯⋯ん? あれは、あの黒のカップは! カタラーナじゃないか! 黒の人、どうやって頼んだんだ!? もしかして、もう入荷された?

 慌ててタッチパネルを見てみると、まだ入荷待ちのままだった。隣に「北海道メロンのカタラーナ」というよく似た形のよく似たものがあった。なんだ、これか。同じ皿なのね、焦ったよ。

 甘エビひとつまみ。うまし。

 ここで言うことでもないが、レーンを挟んだ反対側にいた2人組が帰って行った。机には100円の皿が2つ。2人で220円だ。しかも、2人とも「いかオクラ」という軍艦を食べていた。私は霊感は無いのだが、これは明らかに霊的なものだろうと直感した。

 さて、パへ食べるよ! パへ!

 あ、上のいちご冷凍のやつじゃん。しかもまだ凍ってるし。これ酸っぱいんだよなぁ。パクリ、美味い!甘い! パクリ! 酸っぱい! 個体差あるのね。さっきの甘エビみたいやね。

 いちごの下のアイスもいってみよう。うん、美味い。ん! 桃の果肉が入ってる! しゅごい! このレモン、食えるのかな。砂糖漬けだったら食えるよな、サクレみたいな。

 うう、普通のレモンだ。でも食べれないことはない。うん、紅茶ゼリーと一緒に食べるとうまい! ここで味噌ラーメンをすする! うまい!

 桃の砂糖漬けみたいなのも入ってた。見た目が完全に大トロ。こんなピンクかったっけ、桃って。うまい。このホイップって何に使うんだろ。ゼリー? ホイップだったら、ケーキにつけて食べたいなぁ。でも、うまい。合う。

 隣に人が来た。隣といっても、レーンを挟んだ反対側のさっきの席だが。この人たちすごい。300円の皿ばっかり頼んでる。あ、カタラーナも頼んでる! ⋯⋯いやいや、これもメロンなんだろ? カタラーナのふりしても無駄だぜ?

 一応タッチパネルで見てみる。あ! 入荷されてる! タッチ! 注文!

 ラーメンうまし、こういかうまし、甘エビうまし、幸せだねぇ。これで冷房がもうちょっと優しかったら完璧なんだけどねぇ。

「大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません!」

 レジから謝罪の嵐が聞こえてきた。
 なんだ? ロボか? 何回謝るの?

「ほんと有り得んわ。よくそんなので店員が務まるな!」

 何したんだろう。

「大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません!」

 マジで何やったの。

「全くよぉ、なんであんなミスするかねぇ。親の顔が見てみたいわ! 育ちが悪いわ、育ちがよぉ!」

 育ちが悪いのはお前だろ。

 いつまでもレジで大声出しているので、私はおっさんに物申すことにした。

「何があったんですか。こんな大声出して」

「だからこいつがよぉ」

「大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません!」

 書き起こすの大変だからもうやめてくれ。あとおっさん、「だから」って言われても、俺はそれ初めて聞くんだよ。

「皿を数え間違えたんだよ!」

「いくら損しそうになったんですか?」

「110円得しそうになったんだよ!」

「はっ!?」

 私は混乱した。こいつ、良い奴なのか? いやでも、店員さんにめちゃくちゃ暴言吐いてたな。ヤバい奴でいいんだよな? こいつ。

「じゃあ僕が110円あげるんで、お会計済ませて帰ってくださいよ」

「えっ? ⋯⋯ああ。⋯⋯えっ? あ、はい」

 私が110円を手渡すと、おっさんは納得いかない様子でお会計を済ませ、帰っていった。実は私もよく分かっていない。うるさいから早く追い出したくて、謎の行動を取ってしまったのだ。

「大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません! 大変申し訳ございません! ⋯⋯お待たせいたしましたーっ!」

 店員さんは私にそう言うと、どこかの席へ走っていった。大変だなぁ。なんで私は謝られたんだろ。

 席に戻ると、カタラーナが机の上に置かれていた。そうか、回っているやつを私が取らなかったから席まで持ってきてくれたのか。悪い事しちゃったな⋯⋯

 でもまぁ、カタラーナに罪はない。美味しく食べてあげるとするかね。いただきまぁーす!

 つるん

 なんだ、このカタラーナじゃない擬音は。スプーンが軽く入ったぞ? これ、アイスだよね? もしかして、溶けてる? おっさんのところに行ってたせいで溶けてるの!? いやーん!

 でも美味いから良しとする。溶けてたからか分かんないけど、紅茶パフェのほうが美味しかったかも。あれまた食べよ。


 道いっぱいに肩幅を広げた(6.5m)だけ嘘っぱちで、他は本当です。

 なんで七宝の日記にはそんな変な人がいっぱい出てくるの? という質問が出てきそうなので先に答えておきますが、私は毎日日記を書いているわけではなく、印象的なことがあった時だけ書いているからです。

 こんな人達に会ったらメモるでしょ。逆に普段は何もメモることもないし、日記に書くこともないから投稿もしないんですよね。

 最後に。

 こういかが好きな人がいたら教えて欲しいです。スシローのこういかは美味い中トロと並ぶくらいの寿司だと思っているので同志に会いたいんです。

 ちなみに私が好きなポイントはパリパリの食感と甘さです。あの甘みがなんともいえないくらい美味しくてたまんないです。見た目も好きです。ふちっこが透明で綺麗。神。そう、我々は神を食べている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?