20年後の仕事づくり

【20年後の仕事づくり】 異次元の高齢化社会を自分たちで支えるには!?

と題したトークイベントがハモニカ横丁ミタカにて開催されました。
(2019年8月10日(土) 15:00~16:30)

主催は、
地域にユニークな仕事(=生きがい)を生み出すことを目指し、
シェアキッチンをベースにした創業支援施設を運営するMIDOLINO_
そして、
『三鷹駅北口をデザイン眼線でステキにしたい。』
をコンセプトとする北口デザインです。

イベント告知ページによくある
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こんな人にオススメ
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が以下。

・できれば住んでいるエリアで仕事をしたいと思っている人
・早期退職を考えている人
・民間主導の官民連携を実践したい人
・SDGsに関連する事業に関心のある人
・地域活動がなかなか進まないと感じている人
・既成概念とはちがう価値観を信じている人
・とにかくやる気とエネルギーで燃えたぎっている人

ワレやないか⁉

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としか思えなかったので、即参加を決定しました。
そして、結論から申しますと

目から鱗の内容でした。

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そんなわけで、
学んだ内容のまとめとアウトプットをじっくりとしていきたいと思います。



世界に類を見ないヤバイ時代を迎える日本

AIの台頭によって、
今後10年から20年の間に現存する仕事の47%がなくなるだろう、
とか
長寿社会を踏まえ、公的年金以外に老後資金が2000万円必要になるだろう、とか
これからの働き方について不安を覚えるような情報が流れる中、
MIDOLINO_の舟木さんが、さらに例として挙げたのは、
以下のような大企業トップの驚くべき発言です。

トヨタは「終身雇用を守っていくのは難しい」と言い、
タニタは「社員の個人事業主化を支援する」と明言したのです。

もうこれまでの人生モデルが通用しなくなってきていることは明らか。
このような状況で今
わたしたちは何を考え、何をすべきなのか。
それが、【20年後の仕事づくり】ということなのです。

それでは、これからの仕事とは?
わたしたちの生活はどうなっていくのでしょうか?



世界時価総額ランキング50位以内に入る日本企業はわずか一社

平成元年、世界時価総額ランキングTOP5を独占していた日本企業。
さらに、上位50社中32社は日本企業がランクインしていました。
それが、30年後の平成31年には
50位以内のランクインは47位のトヨタ一社のみという驚きの結果が出ています。
わずか30年で、ここまで大きく日本の世界経済における立場が変わってしまったこと、
そして唯一ランクインしているトヨタでさえも先のような発言をしているという事実が、今まさに時代が凄まじいスピードで大きく変化していることをわたしたちの目の前に突き付けてきます。

30年の間に日本企業に取って代わったTOP5は、というと

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アメリカの巨大IT企業であるマイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベット(Google)の4大IT企業が、時価総額9000億ドル前後で大接戦を展開。
そして、TOP10にランクインするほとんどがアメリカ・中国のIT企業です。しかも、データ駆動型の新しいビジネスモデルの構築を目指している企業がめきめきと企業価値を伸ばしてきている点にも注目。
この30年で台頭する企業の中身も大きく変化していることが分かります。
これは、産業革命級の変化と言えるでしょう。



産業は「データ×AI」の時代へ

データ駆動型の新しいビジネスモデルを構築する企業として挙げられたのが「Uber」です。

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Uberと言えば、ネットワークドライバーの配車サービスや、アプリで気軽に利用できる料理の配達サービス「Uber Eats」を思い浮かべますが、それだけではありません。
主要サービスである配車・配達サービスによって収集したデータを活用して自動運転技術、VTOL (電動垂直離着陸機)、医療サービスの格差縮小、新しい貨物運送のソリューション、従業員の出張をスムーズにするための企業向けサービスなどを開発しています。

こうした先進ICTを利用した実例は他に
シカゴ市警が導入した犯罪予測プログラム「Hunchlab」
ルワンダで医療用品を輸送する「Ziplineドローン」
などがすでにあり、確かな成果を挙げています。

そしてAIの分野では
2020年の実用化を目指す皮膚疾患診断サポートシステム
お似合いのメガネを判定するショップ「JINS BRAIN Lab」
などが開発の只中にあり

さらに、ブロックチェーン技術によって
エストニアのような電子国家も誕生しました。
このエストニアをロールモデルにマイナンバー制度を導入し、
5月に「デジタルファースト法(行政手続き電子申請化)」が成立した日本も後に続くのでしょうか?

これら先進技術によるわたしたちの生活の変化は
今後ますます加速していくことでしょう。


「カイゼンの農地」に押し寄せる「オートメーションの波」

AI、IoT、ICT、ロボティクスなどの先進技術による世界の変化は、
実例を挙げればキリのないほどすでに起こり、進んでいます。
人間に成り代わり、AIが働く世界では、
AIの得意とするディープラーニングでなされることはもはや人間の出る幕無しとなるでしょう。

つまり
ディープラーニングで可能なこと
①認識(画像・音声・状況)
②運動の習熟
③言語の意味理解

これらはAIに任せ、われわれ人間は人間にしかできないことを行なうことに価値がある時代へと移り変わっています。
では、その価値あることとは何か?

これまでは、
「誰かが規定したゴールを基準に、すべてが動いている」世界でした。
受験勉強の基準は偏差値や大学のランク、就職活動では会社の規模や初任給、ビジネスなら市場シェアや新規顧客の獲得数………………
とにかく与えられたKPI(重要業績評価指数)達成のため、PDCAサイクルを回す、それが「絶対善」でした。

今はその「カイゼンの農地」に「オートメーションの波」が押し寄せ、
AIやロボットに浸食されている上に、「先が見通せないほどの霧」に覆われています。
この「霧」の正体は、
「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字を取って名付けられた
VUCAの時代です。

VUCAの時代へと突入した今、
未来は予測するものでも、目指すものでもなく、つくるものである
と舟木さんは訴えます。

今こそ、一人ひとりが想いを持って意思決定する時なのです!



私たちの未来はどれくらい「ヤバイ」のか

では、わたしたちはどんな意思決定をすべきなのでしょうか?
日本の現状と併せて考えてみましょう。

◆高齢化は「福祉」ではなく我々の「暮らし」の問題
2040年には65歳以上の人口が35%を超え、行政の財源が「激減する」ことは周知の事実。今当たり前のように1割負担で受けている行政サービスも、受けられなければ家族が見るしかなく、離職せざるを得なくなるというケースも多発します。その先には、家族→地域→社会がドミノ倒し、という負のスパイラルが待ち受けています。
異次元の高齢化は「高齢者の福祉」だけの問題ではなく、市民全員の「暮らし」の問題です。
―イベント告知文より

少子化と高齢化の同時進行により、15歳~64歳までの現役世代の負担は年々重くなり、30年後の2050年にはほぼ1人が1人の高齢者を支える「肩車型社会」に突入するとも言われています。

さらに、要支援・要介護高齢者の増加、それに伴うケア時間の増加は避けられません。
これをどうやって支えていくのか?
社会保障財源の減少、介護職従事者の不足、介護離職による労働人口の減少……
もはやこれは「高齢者の福祉」だけの問題ではなく、市民全員の「暮らし」の問題だということがはっきりと理解できるのではないかと思います。

ここで舟木さんが大切だとおっしゃるのが
市民自治による地域共生
公助<自助・互助・共助

そしてその上での官民連携です。

◆行政が担うサービスを自分たちで
20年後のわれわれの暮らしの現実は、老後の生活に2000万円必要なのではなく、お金があっても受けられるサービス自体提供している人がいなくなる可能性がある、ということです。介護保険を使った対処療法ではなく、一人一人がいかに社会に必要とされる実感=生きがいを持って健康に生活できるか、という「暮らし」を実現するための根治療法に力を入れる道しか残されていないのではないでしょうか。

◆市民/地域企業/行政の連携と共創 
素晴らしいことに、それを先進的に実行して成果を出している事例が存在します。行政は、意志を持って公共のルールを整備し、地域企業は個人では成し得ない技術を提供し、市民はシニアやハンディキャップやその他様々な地域リソースを活かし合い、地域に必要とされるサービスを担う、そのひらかれた共同体を実現できるのが長年市民自治を実践してきたこの武蔵野ではないでしょうか。
―イベント告知文より


行政財源を使わずに成果を出すデザイン思考事業例

異次元の高齢化、VUCAの時代に必要なのは
一人ひとりが想いを持って意思決定すること、
そして
想像し、創造することです。
妄想力を発揮して、ビジョンを掲げ、それをカタチにしていくことが
必要になってきます。

正解がなく、先行きの見えない時代。
行政の財源にも頼れず、制度改定を待っていては手遅れです。
まずは、市民が主体となり自分たちの「暮らし」をつくっていくことが大切なのではないでしょうか?

その先進事例として紹介されたのが、
イギリスの「ブロムリー・バイ・ボウ・センター」です。

「ブロムリー・バイ・ボウ・センター」は地域住民に対して広く開かれた教会です。
「自分たちにとって必要なことは何か」「何をするべきか」を住民たちが話し合い、その一つひとつを住民が自らの手でつくり、運営する、
言わばリビングラボとしての機能をこの教会が持つことになったのは、教会のボランティアでもあった一人の女性の死がきっかけでした。

35歳という若さで癌に侵された彼女は、本来なら受けられるはずの福祉の恩恵を、貧困かつ日々の労働や家事に追われていたために満足に受けられず、結果として亡くなってしまったのです。

この悲劇を受け、立ち上がった住民たちの活動はさらに拡大し、
1997年には「ブロムリー・バイ・ボウ・ヘルスケアセンター」 として開業。
地域住民の健康を住民自治のもとに守ることを叶えました。
今では地元の雇用、職業訓練や学習の機会を提供する場にまで成長し、
かつてのブロムリー・バイ・ボウのような貧困の問題を抱えるコミュニティに対し、変革のための支援を行なっています。



行政財源負担減も企業利益増も実現!日本の事業例

認知症ケア×予防ケア×地域ケアの三本柱を実践する「和が家グループ」
埼玉にある古民家デイいぶきでは、
施設利用者を「お客様」ではなく、「生活の場」を一緒に運営する「仲間」として関わり、認知症高齢者の人間性・自分らしさ・社会性の回復を目指しています。
介護予防に効果が認められている農作業を共に行なったり、
調理や家事を担ってもらったりすることで、一人ひとりに役割と生きる活力・活躍の場を提供しています。

さらに、
要支援・要介護の高齢者を対象とした総合事業サービス
『高齢者向け買い物リハビリサロン』も実施しています。

ヘルパーに頼むのではなく、付き添いのもと自分で買い物をする。
これは、わたし自身のヘルパー経験上、絶大なリハビリ効果があると声を大にして言えます!
多くの高齢者が付き添いがあれば外出できる状態にありながら、
介護保険サービス上の問題、また時間的制約の問題で代行を選択せざるを得ない現実をたくさん見てきました。
そして、出口の見えない義務的なリハビリ、代り映えなく刺激の少ない毎日、自分の力でできることが次第に少なくなってくることに不安や憤り、情けなさを感じ、鬱気味になってしまう方は少なくありません。
さらに言えば、刺激のない日々の中、体を動かす機会と意欲を失ってしまえば、認知症発症のリスクもグッと高まります。

「和が家グループ」の取り組みは、本来あるべき人間の「暮らし」を高齢者当人と一緒につくるというシンプルでありながら、これまでの介護保険サービスの枠内では為し得なかった新しいものです。

加えてこの取り組みの素晴らしい点は、
高齢者当人が施設運営に関わることで経費を最小限に抑えつつ、
主体的に生活することの効果で介護度が下がっているということです。
つまり、介護保険利用の軽減にも寄与しているのです。

『買い物リハビリサロン』にいたっては、
サロンの場を提供するショッピングセンターの売上貢献にもなり、
企業にとってもうれしい取り組みとなっています。

なんて素晴らしい‼

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ビジョン思考=妄想力の時代へ

このような目から鱗の取り組みは
わたしたちの身近においてどうやったら実現できるのでしょうか?

キーワードは
一人ひとりが想いを持って意思決定すること
想像し、創造すること

これをもって【20年後の仕事づくり】をしていくことでしょう。

これを実践していくプロセスとして舟木さんが掲げるのが
メタ認知→編集(組替)→協働です。

メタ認知として必要なのは、
自分と、そして自分の足元をしっかり捉えるということだと
わたしは思っています。
「自分は何を欲するのか?」
「自分に何ができるか?」
自分を理解し、自分の置かれている現状をありのままに見る力と
様々なことに対して「自分事」の意識を持って動いていく力。

社会保障財源確保のための消費税増税が10月から始まります。
そのことを
「家電は増税前に買っておこうか」
「家計に響く~!節約、どうしよう」
とただただ受け入れるのか?

それとも
「わたしたちの財布から出たものはちゃんと還元されているのだろうか」
「これ以上の増税をストップさせるために自分にできることはあるか?」
と意志を持って引き受けるのか?

消費税増税をどのレベルで「自分事化」できるのか?
例えばそういうことが大切な気がします。

そして、
「自分に何ができないか?」を認知できていることの方が「できること」を知っているよりも重要。
そこに、自分の目だけではなく、他人の目を入れる編集(組替)の意義があるからです。
この認識あればこそ、官民連携という協働は成り立つのではないでしょうか?

メタ認知→編集(組替)→協働

「ブロムリー・バイ・ボウ・センター」のように
「自分たちにとって必要なことは何か」「何をするべきか」を
自分を軸に考え、自分の足元からつくっていくこと、
そして「和が家グループ」の古民家デイいぶきのように
一人ひとりの生きがいづくりが仕事づくりにつながっていくことを一番の価値と捉えれば、おのずとこのプロセスを踏んでいるのではないかと思いました。

そして、その第一歩は妄想!
できる・できないを一旦わきに置いて、
(できないことは編集→協働すればいいのだ!)
自分は何を意志するのか
表明することから世界は動くのでは。

わたしはそう信じます。


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