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朝、スタバを通り過ぎる絶望

社内異動で東京に来て4ヶ月、初めてちゃんと社会人をしている気がする。

朝起きて、朝ごはんを食べて、バスに乗り最寄り駅に向かい、電車に乗って会社の最寄駅に着き、歩いて会社に向かう。帰りは逆ルートで帰り日が変わる前には寝床につく。とても規則正しい生活をしている。

郊外のベッドタウンに住み、東京のオフィス街に出向くサラリーマンとして同じような行動をしている同志はごまんといる。朝乗るバスも電車も満員。最寄り駅に歩くときだって、人の流れができている。逆らうのがちょっと難しいくらいに。

どこに行っても人だらけの状態になり、自分も量産型になったなぁと思う。同じスーツ姿でゾロゾロと駅に入っては駅から出てくる。かつて地方で働いていたとき、緊急事態宣言の中の東京の街並みがニュースになることが度々あり、「テレワークが推奨されているのにご覧くださいこの朝の混雑を!」というよりにレポーターが煽る。画面越しにそれを観ながら「一人残らず目が死んでいるじゃないか」と嘲笑していたが、その仲間入りを果たした。

家の最寄り駅と会社の最寄り駅の近く、ちょうど通勤ルートに計3箇所のスタバがある。

朝そこを通り過ぎるとき、必ず店内にいる客の姿を見てしまう。

(平日休みなんだろうか)
(リモートワークなんだろうか)
(自営業なんだろうか)
(FIREしているんだろうか)

などと想像しながら通り過ぎる。そして羨ましく思う。外にいる自分は人混みに揉まれて都心のオフィスビルに吸い込まれようとしているのにスタバの住民はこうも涼しげに作業に勤しんでいる。ように見える。

そしていずれの理由であれ私の理想なのだ。人混み嫌いな私にとって平日休みは過ごしやすいし、スタバでリモートができるのなら世界中どこでも働けるということだし、自営業なら個の力を持っているということだし、FIREなんて夢のまた夢だ。

毎日、スタバを通り過ぎるたびに吸い込まれそうになる。でも自分の意志に反して歩みを止められないあたり、会社からの吸引力の強さを感じ絶望する。

私の理想の人生は「好きな時に、好きな人と、好きな場所で会える」日々を過ごすことだが、同時にそれは好きな場所で働けるワークスタイルの実現ともいえる。その為には会社に守られている現状を打破して、少しでも個の力を高めていかねばならない。

そんな決意を反芻しながら、毎日通勤している。

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