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ロトの系譜

部屋の片付けをしていたら、眠っていたマンガと共にゲームソフトが掘り起こされた。
まさかこのゲームまで手にしていたとは
ぼくもなかなかやるではないかと思う。

片付けの天敵はマンガだろう。
パラパラって本を試しにめくったがジ・エンド。
その日のお片付けは成す術なし。
マンガは強力なストッパーだ。

ひと息入れたところで発掘された
ゲームを起動する。ぼく自身も遊び尽くして
もう遊ぶこともないだろうゲーム。

その名も「ドラゴンクエスト3」
のスーパーファミコン版。お恥ずかしいことだけど、遊んだことなかったんだよね。

原作でもSwitchでもアプリでも現在進行形で
遊んでいて、ここに更にスーファミ版。
同じゲームを遊び続けるクセがあるぼくとしても、これはなかなかに重症だ。

スーファミ版は正直買った覚えがない。
だから遊んだ覚えも当然ない。
ファミコン版のパワーアップ版?
それくらいの認識しかなかった。

読みかけのマンガも棚に戻し
午前11時過ぎの日曜日に冒険スタート!

聴き慣れたオープニングが耳を潤す。
ん•••??オルテガさんのクダリがあるぞ•••??

オルテガ、と言うのは主人公のお父さん。
魔王討伐に単身向かい、志し半ばで消息不明に。
そうか•••スーパーファミコン版では、原作では
描ききれなかったストーリーまで追加されていたのか。なんてこったいな衝撃。

そうこうしている内に日が傾いている。
気がつけば夕方5時。足がけ6時間も遊び倒していたのか。ドラクエの中毒性は相当高い。

なぜこんなにも遊んでしまうのか。言葉なぞ必要ないのかもしれないけれど、あえてしてみようじゃないか。

まず、テンポがいい。
これはゲーム全体としても言えることで、街を出る、モンスターと戦う。レベルが上がる。でストーリーが進む。ほどよく手強いモンスター分布をしていて、少しばかりの労力を必要とする。
これが気持ちがいい。

新しい街に着くと、イベントがすぐ起きる。
しかしこれもクセもので、自分からアクションを起こさないと物語が進まない。じれったさと、期待感から街の人々に話を伺いまくる。

なにをするのか、どこに行くのか。
住民から冒険のヒントをかきあつめ、自分の向かうべきところ、成すべきことを探る。
プレイヤーがゲームに介入する。
ゲームの醍醐味ともいえよう。

これらがいく重にも重なって、どれほど解像度をあげたとしても、ドラクエ3の面白さには辿り着けそうもない。だから視点を変えてみよう。そこからアプローチすることで、ハマり倒してしまう要因が分かる気がした。

そもそも「ドラゴンクエスト」と言う作品は
"マンガ的"である。

勇者がさらわれたお姫様を助け出すのがはじまり。このシチュエーションがそもそもマンガっぽい。堀井雄二氏もどこかで言っておられた気がする。マンガ的要素を持ち込んだ、と。

日本はアニメ・マンガ文化の国なので、こうした手法を取り入れるのは必然だったのかもしれない。しかしストーリーにマンガ的要素をそのまま放り込んだところでは、ゲームとしてはまだまだ薄い。

もっと"かいしんのいちげき"に匹敵するようなスルドイ感性がいる。すっかり真っ赤に燃える夕日とはウラハラに悶々と冒険は進んでいく。

ふと、街から出てモンスターと対峙していた時、
これこそマンガじゃん!と閃いた。

スタスタと歩く勇者。パッと戦闘画面。ピッピッと音を立ててコマンドを選ぶ。勇者が攻撃する。モンスターが倒れる。戦闘が終わる。経験値とゴールドが手に入る。おなじみの流れだ。

この感触が"マンガ"なんじゃないかと思った。

マンガは一コマ一コマに「区切り」がついている。シーンが「コロコロ」と変わる。流動的に見えるマンガも脳内補完しているので、「細切れ」のエンタメ。それを体験しているのは紛れもなく「読者」だ。

最新のドラゴンクエストは3Dになって全てが地続きのアニメーション的作りだけど、オールドスタイルのドラクエはパラパラと進むマンガ。テキストも読むし、効果音もマンガのようだし。

そこに"プレイヤー"という介入者があらわれた。
ゲームを進めるのはプレイヤーであって、視聴者ではない。どんな風に遊ぶかを想定して作られているので二手三手先を見据えて作られている。

だからか、3ではパーティ制ではあるものの、ソロ活勇者でも冒険は進められる。大変だけど、ぼくはソロがとてつもなく好きだ。遊び手のことを考えるからゲームが成り立つ。

もっともゲーム的なシーンは

ゆうべはおたのしみでしたね」だろう。

そう言えば、堀井雄二氏は「マンガ家」になりたかったって言っていた気がする。

スーファミ版では音楽が豪勢なだけではなく、
無限に道具が入れられる「ふくろ」の追加、
遊びのバリエーションとして「すごろく」があったりと、いたれりつくせりな仕様なのだけど、特にうれしいのは「モンスターにモーション」がついたことかな。


スライムが動く。
しかも音がなる。
ぽよんぽよんしていそうなスタイルなのに、
意外と「コロコロ」と音をたてる。

おおがらすが頭蓋骨を落としてくる。
いっかくうさぎが角を突き出してくる。

ドラクエの楽しみがまたひとつ増えた。
これから冒険をするにあたって、モンスターの動きを充分に堪能していきたくなった。

モンスターに苦労して運悪くしんでしまい、王さまにダメだしされながらもぼくらは勇者になっていく。3で最も勇者になれるシーンはエンディングのファンファーレが聴こえた瞬間。アレはぜひとも経験して欲しいと思う。

語り継がれる"ロトの系譜"を
その身に刻んでいただきたい。

あなただけの"ぼうけんのしょ"を。




コケでした〜。



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