お花見
もうすぐ桜が咲く。毎年の開花予想に一喜一憂するのは、高知県人あるある。ここでも「日本一」を獲りたい温暖県のプライド、東京なんぞに負けた日には、目噛んで鼻噛んで悔しがるのだ(ほんまかいな)。
桜が咲けば、いよいよ春本番!ドアを開ける度に「おおのひやい(おお寒い)」という決まり文句を発し、背筋がぞんつくような薄ら寒い「しぶった(土佐弁)」の下に出て行かないかんかった冬に比べたら。それだけで足取りは軽く、心も浮き立ってくるではないか♪
新聞やテレビで各地のお花見情報が出てくると、花より団子のワタシだってどこぞへお出かけしたくなる。子どもの頃は、お花見の何が良いのかさっぱり分からなかった。
だいたい子どもにとっちゃ桜なんて、「ああお花が咲いてますね(棒読み)」くらいの感想しか持てぬ。大人達が口々に『綺麗やねぇ』と眺めている横で、いつも「ハイハイきれいきれい」とうわ言のように生返事をしていた。
ところが大人になってみるとどうだろう。あんなに退屈だったお花見が、実に趣あふれる愉しみに感じられるではないか。うららかな春の陽に照らされて咲き誇る、無数の桜。淡い色が青空に映えて、目にまぶしい。
ひさかたの光のどけき春の日にー。つい百人一首まで思い出す。やはり花を愛でるというのは、ある程度年齢が経たないと楽しめない仕組み(?)になっているようだ。
ところで、私たち家族が「ワンピースおじさん」と呼ぶ人物がいる。初めて遭遇したのは、須崎市の桑田山。のんきにお花見を楽しんでいると、ふいに現れた彼(彼女?)。
首から上は還暦過ぎの短髪のおじさんだけれど、どう見ても水色のワンピースを着ているではないか!桜の下でうっとりと自撮りする姿は、まるで可憐な乙女。
私「…!?はよう見てあの人!」
母「どういたこと!ワンピース着いちゅうやいか!」
父「…ん?ありゃ猫足のお友達かね(笑)」
よその大人みたいにうまくスルーできない我が家族の悲しい性、お花見そっちのけでおじさんの観察会が始まるのだった。
このおじさん、以後土佐市の蓮池、越知町のコスモス畑、五台山の牧野植物園でも鉢合わせした。よっぽどご縁があるらしい。今年も会えるかな?ーしづ心なく花の散るらむ♪
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