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【短編小説】マスク-04

マスクをあごまでずり下げで歩く人間。
あごマスクのままスマホで会話する人間。
あごマスクのまま大きなくしゃみをする人間。
店内でマスクをせずに大声で会話する人間。
マスクをせずに堂々と歩いている人間。

なぜそんな非道なことができるのだろう。

「マスクをしたくも事情があってできない人もいる、理解を」とメディアで言われてるが、マスクをしていない人間の内、そんな事情がある人は一体どれくらいいるのか?1%もいないのではないか。

99%以上は、マスクをつけられるのにつけたくないだけではないか?

今日も横断歩道の向こうから、マスクをしていない五十代くらいのサラリーマンが歩いてきた。
口元がわずかに開いたまま閉まりきっていない人間。こういう人間は一番危ない。常に口を開けているから、咳やくしゃみをするときに予備動作がない。時間差がない。だから万一のことを考えて、大きくよけて歩かなければならない。

狭い歩道の場合は最悪だ。奴らの飛沫を避ける場所がない。

だから歩道から外れて車道に出る必要がある。車道の脇へ。しかし交通量が多い車道ならそれはできない。息を止めてノーマスク人間の横を走り抜けるしかない。

なぜきちんと感染症対策をしている人間が、マスクをしていない人間のために道を空けなければならないのだらう。なぜ真面目にマスクをしている人間がこんな思いをしなければならない?感染させられるかもしれないと不安になるなければならない?


理不尽だ。理不尽理不尽理不尽。


誰がウイルスを持っているか分からない以上、マスクをするのは当たり前じゃないか。

外ではマスクで鼻と口を覆うのが普通!会話をするときはマスクをして飛沫を飛ばさないようにするのが普通!食べるとき以外マスクをするのが普通!
特別なりゆうもなくマスクをしていない人間は、「マスクをする」という普通で当たり前のこともできない奴らということになる。そんな人たちには仕事でもプライベートでも近づきたくない。


どうして普通のことができないの?みんなできることができないの?



普通って  なんだ。



私の普通はみんなの普通なのだろうか?みんなの普通は私にとっても普通なのか?


マスクをするのは普通なのか?マスクをしていない人間に腹が立つ私は普通、という考えは正しいのか?


私にはもう「普通」がなんだか分からない。


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