【短編小説】マスク
マスクは本音を隠してくれる。
余計なひとことにムッとして、相手に向かって「いー!」と歯をむき出しにしていても、
飲み込みたくないけれど飲み込まざるを得ない提案を受けて頬が引きつっていても、
マスクから出た目元はふんわり笑みの形。
マスクのおかげで、私はこっそりと、しかし大胆に、すなおに感情を出せるようになった。
その分、少しだけ生きやすくなったような気がする。
遠からずやってくるだろうマスクなしの生活が、うれしい反面、私は怖い。
おとなになった私を守ってくれるものがなくなってしまう、その日が怖い。
サポートいただけたら、もれなく私が(うれしすぎて浮かれて)挙動不審になります!よろしくお願い致します!