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『病院の行き方の話』 〜病気か、そうでないかの境界線〜

「美大生がうつ病になった話」第4回です。前回→うつ病の症状の話

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今回は病院の行き方のお話でした。次回→「うつの薬の話」

「精神を病んでるときって、病院に行くのすら不安でできないんじゃないか?」と思いこの話を制作しました。

病院の探し方については、こちらのページを参考にしたので、詳しくはこちらを読んでみてください→「みんなのメンタルヘルス - 医療機関の探し方」

今回の補足記事は、
「自分に合う病院探し」「うつ病の診断基準」「病気かそうでないかの境界線」についてです。

自分に合う病院探し

自分に合った病院や医師を探すのは、正直とても大変です。

医師や看護師、受付の方との相性、病院の立地や診療時間、混み具合、治療内容などなど、病院によって大きく違うからです。
しかも、心に余裕がないと、合っているのかどうか判断する力もありませんから、精神の病んだ人には病院探しはハードモード。

だから、もし周囲に協力してくれそうな、家族、友人、大学の相談員の方や、保健センターの方などに、できれば相談して欲しいです。
自分一人の力でこの病気を治していくことは、ほとんど不可能に近いからです。

自分と相性のいい病院や医師で治療をすることで、治療もスムーズに進みますし、通院することへのハードルが低くなり、通いやすくなります。

もし相性が悪ければ、今通っている病院の医師に、セカンドオピニオンや転院先の相談をしてみてください。
快く引き受けてくれる方がほとんどだと思いますが、それを渋るようであれば、その医師はあまりいい医師ではない、という判断基準にもなります。(もちろん、あなたのことを心配して言ってくれていることもあるのですが)

自分に合う病院や医師や治療法を探すのは根気のいる作業ですが、すぐに合うか合わないかの判断を下す必要はないので、何事も焦らず、ゆっくりと長い目で治療していきましょう。

うつ病の診断基準

「自分は病気じゃないかもしれないから、行っていいか分からない」という方もいるかもしれませんが、もし何か生活に支障が出ているなら、一度受診してみて欲しいです。

「病気なのかそうじゃないのか」を診断するのは、病気のプロであるお医者さんの仕事です。
「こんな症状、他の人に比べたらたいしたことないから」と思うかもしれませんが、自分自身が困っていると感じるなら、行っていいんです。

医師は、いろいろ患者さんに質問し、その診断基準にそって病気を判断します。神戸市医師会のサイトによると、うつ病の診断基準として、以下が定義されています。

以下の症状のうち、少なくとも1つある。
1.抑うつ気分
2.興味または喜びの喪失

さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ以上が認められる。
3.食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
4.不眠あるいは睡眠過多
5.精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
6.易疲労感または気力の減退
7.無価値感または過剰(不適切)な罪責感
8.思考力や集中力の減退または決断困難
9.死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図


上記症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり2週間にわたっている症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。

というように、なんだか明確な診断基準があるようにみえますが、「絶対にこれに当てはまらなければ病院に行ってはいけない!」ということではありません。

うつ病は、人によって症状に個人差が大きい病気です。
上記はあくまで判断基準の一つである、
というだけだと思います。

医師が患者さんとカウンセリングをしながら、その様子を見て診断をくだしますが、心(脳)の病気というのは目に見えないものなので、医師も診断を間違えることはあります。

うつ病だと思ってたら別の病気だったということが後からわかったり、実は脳ではなく、体の別の部分に病気があり、それが原因だったということもあります。

プロでさえ間違えたり、診断基準も医師によって変わってくる曖昧なもの、ですので、「自分はうつ病じゃなかった / うつ病だった」ということを、どうか過剰に受け止めないでください。

病気か、そうでないかの境界線

「自分は病気なのだ」と自覚することで、過剰に落ち込んでさらに症状が悪化することもあれば、「病気なのだから休んでもいいのだ」と、安心できることもあります。

あまりにも症状が重いのならちゃんと通院や治療を受けるべきなのですが、もし、「病気なのか、そうでないかの境界の部分」にいるのだとしたら、自分の思いたい方に受け取る、というのもアリかもしれません。

もちろん出来ることなら、いくつか病院で診察を受けたうえで、通院するのか、薬を使うのか、他の療法を試すのか、などなど専門の方としっかりお話をしてから判断してほしいのですが、
心の有り様が体に大きく影響する病気ですから、症状が比較的軽いのであれば、自分が病気かそうでないか、自分の心が楽になる方を選ぶのも間違いではないと思います。
(自分のことを客観的に判断できなくなるのがうつ病なので、自己判断にはお気をつけを)

なぜこんなに、病気かそうでないかの境界にこだわるのかと言えば、私自身、病院での診断は「軽度のうつ病」ということだったからです。

「軽度ってことは、私はちゃんとしたうつ病じゃないんだ、私は自分を病気と思って怠けているだけなんだ」なんて思ったりしてしまいました。
(こんな思考をしてる時点で、メンタルに支障が出ているのは明らかなのですが)

もちろん、一人の医師の診断でしかありませんし、自身が辛いと感じているのなら、病気の重さでどちらが上か下かを決めるなんてことはすべきではありません。
しかし、当時の私はその「軽度」という診断名に、少々頭を悩ませてしまったのです。

「自分は病気のはずなんだ」「自分は病気なんかじゃない」と、診断とは真逆のことを思いたくなったり、「私は本当は怠けてるだけ」とか診断を疑ったりということもあるかと思いますが、私自身がこういうことがあったからこそ、その病院での診断のみに、こだわりすぎないで欲しいと思うのです。

もし診断されたら、その病気について自分でもよく調べてみて、自分を客観的に見ることで何か分かることがあると思いますし、他の病院で診察を受ければ、また別の答えが返ってくることもあります。

私のように、病気なのかそうでないのかということに不安があるのなら、そういうこともしっかり医師に相談して欲しいです。

個人的な話

ここからは私個人の話なのですが、先日、うつを患った当初からお世話になっていた心療内科を転院することにしました。

私は、その心療内科に通いながら、漢方の病院や、整体、内科など、他の病院にも通院しているのですが、心療内科はずっとそこに通っていました。

院内の雰囲気もいいですし、混雑もしていない、家からは近いし、医師やカウンセラーの方との相性も良かったと思います。

他の心療内科には通っていなかったので比較対象はないのですが、自分にとってはかなり良い病院だったと思います。

しかし、一つ問題があり、それは「受付の人が苦手」ということでした。


その心療内科は受付の方が二人ほどしかおらず、病院に行くとほとんどがその苦手な方が受付なのです。
病院に行くたびに、その方が受付にいると、少しドキッとする自分がいることに気づきました。

自分でも、「こんなことで転院するなんて…」と思ったのですが、診察の予約や細かい事務的なことは、だいたい受付の方と話さなくてはなりませんので、そういった大事なことを苦手な人としなくてはならないのは、通院することへの心理的ハードルが高くなってしまいます。

そういったこともあり、今は心療内科に行く頻度は月一程度ですし、自分でも他の病院で診察を受けてみたかったのもあり、この度転院する運びとなりました。

次の病院が自分に合うかどうかはわかりませんが、ゆっくりやっていこうと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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次回は「うつの薬の話」です。


免責事項
※この漫画で描かれることは、あくまで私個人の体験であり、うつ病の一例、一つの考え方でしかありません。
うつ病は症状に個人差があり、この漫画を制作するにあたって、専門家からの監修は受けていないので、詳しいお話は専門の機関でお話を聞くよう、よろしくお願いいたします。

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