合法麻薬・焼きたてパンの匂い

負けた。

朝食がパン食の環境下で卵かけご飯欲を爆発させる予定だった朝(※前回参照)、私の嗅覚と食欲を一発KOした猛者がいた。

焼きたてパンの匂いだ。

麻薬、もはや麻薬と言っても過言ではない。
言っておくが、我が家の平凡なホームベーカリーで焼かれた食パンは、いたって普通の「家で焼いた食パン」でしかない。
しかし奴は誰もを魅了するチートスキル『焼きたてホカホカ』を持っているのだ。
鼻腔を刺激する『焼きたてホカホカのパンの匂い』を前にして、卵かけご飯欲は一瞬で灰になるしかなかった。アーメン。

以前美味しいパン屋さんの裏手に住んでいたことがある。
出勤前に洗濯物を干す時にフワッと香るパンの匂い…
控えめに言って最高の瞬間だった。追い炊きがない風呂のことを忘れて感極まったことを覚えている。
落ち着いてみると現実は厳しく、追い炊きがない家には二度と住まないと決意を新たにしたのだが、焼きたてパンの匂いは最後まで格別だった。

一方でパンの匂いは凶器になりうる。
高校の最寄駅にパン屋があったのだが、朝の通学時間とパン屋のパン生成タイムのピークが見事にぶつかっていた。
パンの匂いは濃すぎると人に害を成す。
おかげで3年間毎朝気持ち悪くなっていた。

何事もほどほどが一番。
高校時代に学んだ、人生で役に立つ教訓である。