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『へんなものみっけ!』で号泣した話

コトノハさんに選書していただいた本2冊目の感想!
選書について→ https://note.com/neko345/n/n4de5c1775456

1冊目について→ https://note.com/neko345/n/n59f6a70866d5

今回は予想外に漫画。コトノハさんは漫画も含めて選書してくださるのにびっくりしました。
選んでいただいたのは、『へんなものみっけ!』

へんなものみっけ! 1 - 小学館コミック https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091895455

今回も生物学者が多く出てくる作品です。
やはり理学部生物科出身の元研究職であることをお伝えしたからチョイスしてくださったのかな?

コトノハさんのお手紙を抜粋したあらすじがこちら。
「特に人生でやりたいことも見つからない公務員が出向先で出会ったのは、生き物の死骸を嬉々として拾う博物館の女性でした。改めて博物館は知とロマンの宝庫だなあとワクワクしてしまう作品です。」

個性豊かすぎる博物館の研究者たちに振り回される主人公の薄井さん。
動物、海洋生物、植物、鉱物…いろいろな分野のエキスパートたちが自由に楽しく情熱的に研究生活を送りつつ、子どもをはじめとした一般への啓発もして…という内容です。
多分博物館の研究員を等身大で描いているんだと思います。

1巻を選んでいただいて、読んですぐ最新の4巻までKindleで購入して読み切りました。
なんというか、多分一般的な感想とは異なると思うのですが、泣いてしまいました。

2巻のシーン。
薄井さんの努力で資金が用意できたため、海洋生物学者の鳴門さんが主導して、地域の人たちを読んでクジラの骨格を砂浜から掘り出すことになります。
1巻で鳴門さんと仲良くなったタコが好きな女の子がいるのですが、彼女に聞かれて鳴門さんは自分の研究テーマについて話します。
あまりに壮大なテーマなため、このペースじゃいつ謎が解けるか分からないと苦笑いする鳴門さんに、彼女はこう言います。

「それなら私が先生の研究手伝ってあげます!!」
「それでもし鳴門先生が解決できなかったら私が続きやったげる!!」

そ、そんなこと、言われてえ………
言われたら泣いちゃうよ…
鳴門先生泣いてるし…

元研究職の(そして今研究職に戻ろうとしている)立場から思うに、子どもが研究者を瞬殺できるキラーワードがあります。
「先生みたいになりたい」
「先生と同じことやりたい」

子どもたちに自分の研究に興味を持ってもらえる、それだけでもう泣きそうになるくらい嬉しいんです。
そんな彼ら彼女らがその気持ちを失うことなく研究の道に進んでくれたらどんなにいいことか。

子どもの頃の科学への関心は、成長するにつれ失われることが多いです。
自分で興味をなくすなら仕方がないですが、就職などのことを考えた周囲に説得されて諦めるケースも多々あると思います。(研究者は不安定な職業でもあるので分かるんですけどね…)
だからこそ、小さい頃から興味を持ってもらって、親しんでもらって、科学が好きな大人を増やしたい。
科学を教育普及している研究者はきっとみんなそう思っています。

そんな中、先生を手伝ってあげるとまで言われたらどうなると思う?
涙腺が崩壊します。
なんて、なんて幸せな。
主人公の薄井さんに伝わってるか分かりませんが、多分鳴門先生は薄井さんが思っている以上に感謝していると思う。

ここからは本の感想ではありませんが、読み終わって涙を拭きながら思いました。
研究職に戻りたい。
前職でいろいろあり、研究が嫌いになりたくなくて研究職を離れました。その判断は正しかったと今でも思っています。
でもこういう本を読んでしまうと、研究の楽しさを思い出してしまう。教育普及の楽しさを、思い出してしまう。

なんていい本なんだろう。
こんな素晴らしい本を世の中に出してくれてありがとうございます。
心が折れかけていましたが、頑張って研究職に戻ろうと思います。

こういう素敵な出会いがあるんですね。選書ってすごいなあ。
次の本も楽しみです。

読んでくれてありがとうございます。 我が家のお猫様4人のちゅーるに早変わりします。