言葉の花束ーアキの詩集No.6

1.「ねこダンベル」

健康管理のため
ストレッチをしよう!

さぁ!
右手に猫
左手に猫

3kgかける2倍で6kgの
ねこダンベル

よいしょ!
よいしょ!と
持ち上げて
腕の筋力トレーニング

持ち上げると
ぐにゃりととろける
ねこダンベル達

やっぱり猫は
液体だ

そして
重みが心地良い

さぁ
私のストレッチに
貢献したまえ!
可愛い子達よ

一方
ねこダンベル達は
いつまでも大人しくしていない

諦めて
されるがままになっていたと思ったら
次第に暴れ出し
ぐにゃぐにゃぐにゃり

とうとう
のけぞった末に
手から離れてしまった

捕まえようとしても
たたっと走り去っていく

「待て待て!」と追いかけ回し
それもまた運動になって
私のカロリーは上手く消費される

さぁ
可愛い子達よ
また今度も
ねこダンベル
お願いね


2.「気まぐれ猫と親バカ飼い主」

うちの猫は

抱っこをすれば
「おろせ」と言わんばかりに
身をよじって逃げるし

大人しくなでられていると思えば
さっとその場から逃げ去る

かと思えば
自分からすり寄ってきて
喉をゴロゴロ鳴らすし

さっきなんて
洗濯物をたたもうと座ったら
股の間にちょこんと居座って
邪魔をする

「邪魔だよ!」と言いつつも
無垢なる子の体温が心地よく
どかすのが忍びなく感じて

仕方なく
猫をよけながら
洗濯物をたたんだ

時々
洗濯物に手を伸ばしたり
背伸びをして
さらに妨害してくる

私は
「こらこら」と
叱りながらも

その様を
愛おしく見つめてしまい
ついつい許してしまう

猫は気まぐれに
飼い主に甘えてくる

だからこそ
素っ気ない態度が可愛いし
甘えてくると
もっと可愛い

そう感じてしまう私は
親バカかしら?


3.「色んな感情を存分に味わおう」

暇なとき

時間を持て余してしまって

チャットを開いたり
漫画を読んだり

何か楽しもうとしてしまう

けれども

人生って
常に楽しくないといけないのかな?

つまらなく
退屈な時間があるから

心が休まるし
自分や周囲を見つめ直す時間が出来る

ゆとりを持つことで
楽しさという忙しない状況では
見えない景色が見えたり
新しい発見がある

また
気が沈んだり
何かに怒りが湧いてしまうときも

その感情だからこそ
見えてくるもの
感じるものがある

色んな感情を
存分に味わえば

様々な考えが浮かび
それだけ気づきも多い

だから
「とにかく何かをして楽しもう」
「意味のあることをしよう」と
自分を束縛しなくていいよ

何も浮かばないときは
それに身をかませていい

自然に何かが湧いてくるかもしれないし
何も出てこないかもしれない

何も出てこなければ
「今日はお休みしなさい」というサイン

何かの拍子で
湧いてきたら
それはチャンス

そのとき
何かを成せばいいよ


4.「花咲き乱れる中、臭いにまみれ働く人達」

今日は
天気に恵まれて

風は冷たいけれど
日差しが心地よいほど
暖かかったから

気晴らしに
お花見をしに
公園まで行ってきた

満開とは言えないけれど
きれいに花咲く桜並木を通り
私は気分爽快

だけれど
歩いている途中で
異臭が漂ってきた

臭いを辿ると
公園の池の工事をやっているようで

作業員の人達が
長くて太いホースを抱えて
池の掃除をやっていた

一瞬
「嫌だな」と感じたけれど

ハッと気付いた

その嫌な仕事を
作業員の人達はやっているんだ

誰もが嫌がる
臭くて
汚くて
疲れる仕事を

この人達は
やってくれている

お花見で
らんらんと散歩している
人達の側で

こうして
お花見で来る人達のため
必死に作業をしている

それに気付いて
「嫌だな」という気持ちを抱いた
自分が恥ずかしくなった

私の代わりに
臭いにまみれながら
働いているこの人達に

私は
感謝の眼差しを送った


5.「通りすがりに」

通りすがりに

さりげなく

冗談言って

笑わせてくれる彼


彼は

誰にでも優しくて

温かな笑みを向けてくる


その冗談だって

誰にでも言っているんでしょう?

貴方という人は

分け隔てのない人だから


分かっているよ

特別な意味はないって


分かってはいても

貴方のその

自然に出てしまう癖に

ついドキドキしてしまうの


何の気なしに

乙女心をくすぐる貴方は

本当に罪な男ね


6.「特別」

あなたにとって私は特別?

私にとってあなたは特別よ

でも、あなたは?

あなたの私に向ける眼差しや
あなたが私にかけてくれる優しい言葉が
他の人達へと同じように
平等に与えているものだなんて
思いたくないわ

もし、特別に思ってくれるなら
私も安心して
心から私を愛せるのに


7.「卒業アルバム」

私のいない
クラスの集合写真

強い想いを持って
未来に向かっていくみんなが眩しすぎて

撮影直前に逃げ出した

私は
未来への夢もなく
希望もなく
暗く虚ろな世界で踏みとどまっていたから

みんなと映るのが
たまらなく苦しかった

今になって見てみるその写真
笑顔に満ちあふれたみんなの顔

まるで
私なんて初めからそのクラスに
いなかったみたい

私は未だに
暗い世界から
抜け出せていないけど

一歩ずつ着実に
光を探して
歩んでいる


8.「僕を忘れてしまう貴女へ」

貴女はこの瞬間も
忘れてしまう

僕を
僕と過ごした一時を

「誰ですか?」と訊かれる度に
胸のつぶれる想いをしてきた

でも、貴女はいつも
言ってくれる

昔から変わらずに言い続けてくれたね
「ありがとう」と

貴女はことあるごとに
「ありがとう」を言ってくれた

いつも、何でもないことでも
僕に感謝してくれた

それは今も変わらないんだね

君といることが
辛くなるときがある

けれど
いつも、その言葉に救われているんだ

僕こそ本当に
ありがとう

愛しているよ


9.「あなたの帰り」

幾たびも
「帰ってきたかしら?」と外をチラ見して

あなたの車の音も
「ただいま」の声も
聞こえない

もう、どれだけそれを
繰り返したのかしら?

「来たかしら?」と思えば
気のせいで

待てど、待てども
帰ってこない

いいえ、あなたは
私のことなど気にしなくていいのです

あなたがゆったりくつろいで
疲れを癒やせるように
私は私のやるべきことをしています

どうぞ、気がすむまで
お仕事なさって下さいな

そう自分に言い聞かせ
せっせと働き
手を動かしつつも

待ちわびてしまうわ
あなたの帰りを


10.「命の期限」

もう8時だぞ?
そう言われて目が覚めた

出発まで30分
どうしよう、食べる暇なんて・・・
と思いつつ
父が用意してくれた朝食を食べた

平日の朝食はいつも父が用意してくれる
当たり前の日常
眠い目をこすりながら
作ってくれている

お父さん、死んじゃやだ

ふと蘇った子供の頃の記憶

余命宣告から10年も経って
ついつい忘れてしまう
命の期限

残された時間を大切になんて
どうすればいいのよ?

家族で出かける暇なんて
親は共働きで毎晩遅いのに

ただでさえ、いつも一緒にいる時間なんて少ないのに

それでも
父は変わらず柔和な笑顔で
ただ、毎日をいつも通りに過ごしていた

帰ってきたら
疲れているのに家事も手伝ってくれて

その日にあったことや
他愛のない冗談を言ったりして

一緒に笑ってくれている

父の答えはそれだった

実にシンプルな答え

それがいつまで続くかなんて気にしない

父らしい答えだと思う

だけどいつか来るんでしょう?
そのときが

そのときがいつか来るなんて考えたくない

いなくなった人はみんな思い出の中で生き続ける
だから寂しくない
そんなの強がりの建前なんだから

まだ、思い出の住人にならないで

いつも笑っていたね、なんて
思い出をまだ語りたくない

もっと私と思い出を作っていってよ

そんな想いの波をせき止める
それで精一杯の朝だった


11.「あなたと同じ月を」

時々でいいので
月を見て下さい

たとえ遠く離れていても
私はあなたと同じ月を見ています

同じものを見ていれば
お互いを感じられますから

そして私は祈っています
いつかまた
あなたの傍で月を見られますようにと


12.最後に

さらっと詩の説明をします。

1.2.の詩は、我が家の愛猫「ココ(♀ 3歳)とシマ(♀1歳未満)との日常を書きました(2.に登場する猫はシマです)。

3.は哲学的詩です。

4.は昨日、お花見に行ってきたときにあった出来事を通して感じたこと、考えたことを書きました。

5.は、前職(老健の清掃のパートをしていたとき)にて片思いをしていたときの、相手(リハ科主任の理学療法士の彼)に対する恋心を詠いました。

7.は、実話です。大学時代、実習の失敗で留年が確定して自信を喪失していたとき、クラスの集合写真を撮ることになり、私もいったんは加わりました。しかし、就活や国家試験勉強で忙しく、将来、作業療法士になることがほぼ約束されているクラスメート達がまぶしく見えて、撮影直前にその場から逃げ出して、撮影を拒否しました。いるだけで涙がこぼれてしまい、悔しくてどうしようもなかったのです。ですから、卒業アルバムのクラスの集合写真に私は写っていません

8.に出てくる貴女は、母方の祖母(故人)がモデルです。重度認知症だった祖母は、色んなことを忘れていても、他者への感謝を忘れない人でした。常に、誰かに何かをしてもらうと「ありがとう」と言う、穏やかな人で、私は彼女を今でも尊敬しています

9.は、旦那さんの帰りを待つ主婦の気持ちになって書いた恋愛詩です。

10.は、実話です。私の父は、私が小学5年生の頃に心臓の病気を患い、余命5年と宣告されました。しかし、その父は余命宣告を受けた5年を超えて、10数年経っても生きています父に対する想いを率直に綴った詩です。

11.は、月を眺める女性が、想い人を思って詠んだ詩というモチーフで綴った恋愛詩です。

今回は詩がどっさりでしたが

いかがだったでしょうか?

心に残るものがあれば幸いです。

お読み下さり

ありがとうございます!




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