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言葉の花束ーアキの詩集No.85


1.「心の風船」

私の
心の風船に
何を吹き込む?

どうやれば
心地よく空まで
飛ばせるだろうか?

お金や服とか
そういう物質的なものを詰め込めば

風船は飛ばないし
それ以前に
破れてしまう

私の心の風船は
そういった
物では飛ばない

安心感
信頼感
愛情
自由とか

そういう
ポジティブな想いが
風船を膨らませ

天高くまで
風船を飛ばすことが出来る

私の心が望むものを
風船につめこんで

自由に
どこまでも
飛んでいきたい


2.「冬の気付き」

草花は
白や茶色に枯れ

色を失い
まさに黒冬だ


思ったら

見つけたよ

寒々とした
空の下に

椿の花の
艶やかな薄紅色を

そして

カラカラと音を立て
風に吹かれて舞う
落ち葉の中に

未だ
黄色や赤の
鮮やかな色を保った
葉っぱを

冬は
彩りがなく
寂しいと思ったけれど

その
寂しさの中にも

わずかに
彩りを残していると
気付いたよ

それとね

冬の風の寒さに
凍えている時も

相変わらず
日差しは温かいと気付いて

つい
日向に当たって
暖を取ってしまったんだ

冬にも
彩りや
温かさが
ちゃんと残っている

それに気付いて
ちょっと幸せな気分なんだ


3.「朝もやのイリュージョン」

朝もやに覆われ
辺りが
白く霞んで見える

お化粧をしているように
白くて
澄んだ空気だ

ぼんやりと
人や車や
家々が存在している

物語を読み聞かせられ
場面をイメージしているものを
捉えているような気分だ

現実は
全て夢幻

朝もやが見せる現実は
まさに
イリュージョンだと感じてしまう

特に
朝日がもやを照らした様子は
朧気で

淡い光が
何とも
心を優しく包みこんでくれる

すっきりと
もやが晴れてしまっても

白いヴェールの
余韻は
今もなお
残っている


4.「気持ち良く年を取る」

ガッチガチに
凝り固まった体を

ほぐす
伸ばす
動かす

ストレッチをして
体の循環機能を
整える

すると

あぁ
痛いけど
気持ちが良い!

体を動かすことが
こんなにも
快感に思うなんて

信じられない

あんなに
運動が大嫌いだったのに

それだけ
年を取ったのか

そう思うと
少しショックだけれど

体を動かせるありがたみを
実感できるというのは

ある意味では
良い年の取り方だと思う

動くのが当たり前だった体が
徐々に
そうでなくなっていく

それが
年を取るということで

それは
苦しいものなのだろうけれど

だからこそ
自分の体を労り

動かす喜びを
大切にしていきたいと思う

いつも
働いてくれる体に
感謝を込めて

ほぐす
伸ばす
動かす

ストレッチを習慣にして
気持ち良く
年を取っていきたい


5.「平和の象徴」

毎晩寄り添い
抱き合って眠る猫たち

我が家にとって
平和の象徴は

鳩じゃなくて
猫だ


6.「おばあさんのペース」

この曲がり角を曲がれば
家に着く

だが
その直前

自転車をゆっくり漕いでいく
おばあさんが
先に角を曲がってしまい

そのペースに合わせて
その通りを通らざるを得なくなった

ほぼクリープ状態で
車を運転する

運がないなぁ

なんて
初めは思っていた

けれど
そのペースに
慣れていく内に

何で自分は
そんなにいつも
せかせかとしているのかと
疑問に感じた

おばあさんは
年のせいもあって
急ぐことが出来ないのだろうけれど

忙しなく働くことから
解放され

時をゆったりと
存分に味わう自由を得て

この人は
何を思いながら
過ごしているのだろう

ゆっくりと
自転車を漕ぎながら
何を思っているのだろう

私が
この人の年になったとき

私も
のんびりと時間を感じて

何となく
それまでの人生を振り返りながら
ゆっくりと生きていくのだろうか

私もいつか
この人のように
ゆっくりと自転車を
漕いでいくのかもしれない

なんて
考えてしまったよ


7.「青い空」

青い空が
広がっている

その青さは
一昔前と比べると
くすんできているのだと思う

空が青く

夜になれば
月や星が見える

空気が美味しい

それが
いつまでも続いて欲しいと
願うけれど

当たり前は
案外脆いもので

あと何年か先
青い空が拝めなくなるかもしれない

青い空を
かつてのものにしないために

私達は
何が出来るだろう?

空はかつて
青く澄み渡っていた

なんて
昔話にしたくはない


8.「冬に癒され」

冷たい空気が
こんなに柔らかく滑らかで
優しいなんて
知らなかった

マスクを外して
素肌で心地よさを
感じてみた

家の裏の
いつものあぜ道を
散歩する

季節は冬

辺り一面
緑豊かに伸びていた草が
色あせて
白くからからに乾いている

刈り取られた稲の跡も同じで
皆一様に
白くからからとしている

虫も鳥
寒いからか
巣に潜ってしまったのだろうか

用水路にいた
アメンボもザリガニも魚も
見当たらない

色が失せ
乾いた草に

生命の痕跡のない
散歩道

稲刈りの後で
農作業する人もいない

殺風景な
田園風景

そんな大地と
対称的に

相変わらず
空は青く澄み渡っている

空の青さを
目に焼き付けて

目を閉じて
また目を開けると

視界が
うっすら青色に染まる

空の青さは
光の色だと
聞いたことがある

寂しく感じる
冬の風景も
美しいし
心地よい

そよそよと吹く風が
枯れ草を撫で
からからと音を立てる

その囁き声も
聞き心地が良い

冬の見所は
他の季節と比べたら
ないのかもしれないけれど

色も命も
失せていく季節も

また
その静けさが心を和ませ
癒してくれるものだと
感じた

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