言葉の花束ーアキの詩集No.15

1.「そっと撫でる幸せ」

私のとなりで

ごろんとおなかを見せて

くにゃりと寝そべる猫を

そっと撫でる幸せ


無垢な寝顔

ふわふわでやわらかな毛

ぷにょぷにょのおなか


癒されないわけがない

愛おしくないわけがない


いたずらもしょっちゅうするし

隙さえあれば脱走する

悪い子だけど


寝ているときは

大人しくていい子なんだよな


ううん

全部可愛いよ


撫でるだけで

こんなにも幸せにしてくれる


その体に

顔をうずめて

猫まくらなんてやってみたときは

本当にたまらなく幸せ


あぁ

本当に可愛い子


う~と

甘えるような声を出したり

そっと体を寄せて

寝そべったりとか

全ての仕草が可愛い


うちの子最高!


でも

いたずらはほどほどにね


2.「夜虫の演奏会」

夜は

鈴のような

虫たちの声に耳すまして

昼間、働きすぎて

疲れた心を癒し

和ませる


夜虫たちの

静かだけれど

重奏なオーケストラは

私の心をつかんで離さない


心を洗い

本来の感性をもたらす調べとは

まさにこのこと


一つ一つの音が

心地よい響き奏でる


無駄のない

完璧な演奏のように聴こえるけれど

そうだから美しく聴こえるのか?


いや

単一の音だけでは

この演奏は成せない


不完全な音が

一つ一つ重なり合って

この演奏は完成している


夜虫の演奏会は

不完全な音の集まりだからこそ

お互いを補い合い

絶妙なハーモニーを奏でている


人だって

それは同じだよね


3.「過去を癒す」

前を向いて
先へ先へと
進もうとする姿

とても
恰好が良い

けれど
それってなかなか難しいよね

どうして進むのが難しいか
よく考えてみて

自分の心の基盤の
どこかが弱くなっているところがない?

それは
過去の自分の心の傷
そして心の穴が原因だよ

傷や穴のできている船で
人生という海を航海するには
危険だよね

だって
沈むのが落ちだから

先に進むのはもちろん大事

でもね
それと並行して
過去の自分の心を癒していくのも大事だよ

自分はかつて
何に傷つき
何に苦しんできたか

その過去の苦痛が
無意識に出てきて
今のあなたを苦しめていない?

私もそう
幼少の頃の私は
周りの子たち、大人たちから構われず
自分の悩み苦しみに気づいて貰えず
放置されてきた

そのせいか
昔より人と関われるようになってきて
「もっと注目されたい!」
「気にしてほしい」という
抑えられていた気持ちが
炸裂してしまいそうになる

特に
ポエムサイトやブログなどのSNSで
投票の数とかコメントが
気になってしょうがない

私が未熟だから
というよりも
ロクに人と関われなかった
「過去の私が癒されていない」からだと
私は感じているよ

だから私に言うね

「投票してくれたり
コメントをくれる一人ひとりに感謝を持って
想いを込めてやり取りをしてみようよ」

感謝の気持ちを受け止め
感謝の気持ちを返すこと

想いのやり取りに飢えているならば
想いを充足させてみよう

そうすれば
心は満たされ
次第に癒されていくはずだから


4.「心の縁」

家族であっても
友人であっても

連んで何かをしていないと
簡単に崩れてしまう
そんな関係ならば

私はそんな関係を
固執してまで大切にしたくない


たとえ
同じ部屋にいて
別々の作業をしていたって
別々のことを考えていたって
いいじゃない

同じ事をして
同じ事を考えなきゃいけない
ルールなんてないはず

親しい仲なら
常に一緒にいなきゃ行けない
そんなルールもないはず

大切なのは
自分と相手が
違うことを考え
違うことをしていても

自分と相手が
遠く離れていても

時々
お互いを忘れることがあっても

お互いを想う心が
きちんと存在していること

そういった心の縁が
堅く結ばれているならば

家族で連んで
出かけて
見たくもない映画で時間を潰すとか
する必要もなかったはず

下らない
集団意識を捨てようよ

家族のご機嫌取り
もう、どうでもいいよ

そんなものは
私を大切にしてくれないから

家族との間で
心の縁がきちんと結ばれているならば
少しくらい違うことをして
自由にしても大丈夫なはず

それで
崩れるような関係ならば
捨ててしまえ

そのくらい
ドライでいたほうがいい


5.「眠りの誘惑」

何も予定がなく

することが何もないと

ついつい寝たくなる

柔らかい布団の上でごろんとしたくなる


寝るのはとても気持ちが良い

まるでふわふわの雲の上にいるかのようで

極楽気分だ


だけれど

気持ちが良いだけで

何も刺激が無い


刺激が無ければ

考えも行動も生まれない


何も学びがないのは

それはそれで辛い


人生は有限なのだがら

余裕があるときこそ

学びをコツコツと築き上げていかなければ

いけないのだろう


真面目すぎるのかもしれないが

眠りの誘惑に負けてしまうことは

私にとって

幸せでもあり

不幸せでもある


6.「大空襲の中で見つけた花」

ある日
空襲警報が鳴り響き

これは訓練じゃない!
ただごとではない気配があせりをよび
直ぐ様防空壕へ

向かったはいいが
どこもいっぱいで
いくら「扉を開けてください」と
お願いしても
開けはしなかった

そうこうしているうちに
空から数多の爆弾が
降ってきて

家や店など建物に火がつき
逃げ惑う人に火がつき
辺り一面が火の海に

「熱い、熱いよ」
兄に向かって少女は叫ぶ

「大丈夫、兄ちゃんの手を離すなよ」

でも、しっかり握っていたはずの手は
人だかりに押され
簡単に離れてしまい
二人は離ればなれに

少女は人混みに押されながら
とにかくその流れに沿った

おそらく、川の方だ

橋が見えてきた
と、同時に
爆弾も空から降ってきた


少女は立って
周りを見渡した

辺り一面
焼け野原だ

橋は崩れ
土手から川の中まで
生きているか死んでいるか
分からない人達で溢れている

少女は自分の直ぐ下で
黒く墨になった
バラバラの人だったものを眺めた

ついさっきまで
自分が入っていた器だ

いつもお母さんから
お婆ちゃんから
「めんこい」と褒められ
その度赤く頬を染めた顔は

かろうじて頭部と分かる
黒ずみに変わり
跡形もない

さっきまで感じた
焼けつくような熱さは
感じない

ふと
土手に転がるそれの側を
少女の名をしきりに呼びながら少年が
通りすぎた

「兄ちゃん、ここだよ」
いくら、ここにいると叫んでも
生きた人には届かない声だった

そうなんだ

あの焼けつくような熱さもない
死の恐怖もない
生者の兄に声が届かない

私は死んだんだ

悲しかった

自分が死んだことよりも
生きていると信じて
妹を探す兄が不憫なこと

さっきまで生きていた自分が
周りの黒ずみと同じく「もの」と
同じように見られたために
兄に気づかれなかったこと

そして
他の死体と積み重ねられて
焼却される
まるでゴミのように
一人一人人生があったにも関わらず
死を悼むことなく処理されること

少女は
ひっそりとここで
透き通った涙を流した

誰にも見られることなく

いや
違った

自分の体の近くに
焼け焦げた草花の群生がある

大分焦げてはいるけれど
一輪だけ助かっていた

その花は
まるで少女の涙を見て
一緒に泣いて
死を悼んでくれているように
思えた

自分のために手向けられた花
そんな感じがして

その花に心を救われた気がした


7.「祖父に尋ねることができなかったこと」

私の亡くなった祖父は
戦争に行って
戦地で戦って
生き延びて
帰ってきた人だ

多くの人は
普通ならば
「帰ってきてくれて良かった」
そう思うはずだろう

けれど
私はふと
考えてしまう

戦地で祖父は
人を殺したのか?

そうしなければ
自分が殺されてしまうから
仕方ないのかもしれない

けれども
誰かを殺すという行為は
戦争のない日本では
非日常的なことで

もし、誰かが誰かを殺したならば
ニュース沙汰になる

平和とされる日本で
人を殺した人は犯罪者と見なされ
世間から非難される

もちろん
その犯罪者達は
それ相応の悪行を働いたのだろう

だから
裁かれるのは当然の報いかもしれない

だが
祖父のように
戦地に赴いた兵士達は

祖国や
家族や恋人、友など
愛する者達を守るため
信念を持って戦った

そのために
敵国の兵士達の命を奪った
もしかしたら
敵国の住民の命も奪ったかもしれない

殺し合うこと自体に正義はないと
現代人である私は言うことができるが

果たして
彼らは犯罪者なのか?

ただ言えることは
人を殺さざるを得なかった
時代に翻弄された彼らは

加害者でもあり
被害者でもある

その当時
守るべきものを守るためには
何かを奪わなければならなかった

奪う対象は
土地や資源だったり
数多の人々の命だったりした

その相手の国にとっても
大切なものであるはずなのに

お互いの大切なものを
守るために
奪い合い、殺し合う戦争

その時代においての
正義と悪は
現代の常識に当てはめることはできない

一方
現代社会では

争って奪い合うよりは
分け合うこと
助け合うこと

それが大切であるという概念が
浸透しつつある

戦争がいかに愚かな行為か
過去の過ちを認め
世界がそれを学習し始めている

祖父が生きて帰ってきたとき

一方では
遠い国で
祖父に殺された兵士の家族達が
涙を流していた

私は祖父に
尋ねることができなかった

戦争で人を殺したのかと

祖父が生きていていたら
どう答えただろうか?

分からない

祖父が生き延びるために
死んでいった兵士の数

いや
数ではないだろう

戦地に散っていった命達のためにも
生き残った人達は
戦争の惨禍を忘れずに

平和のために貢献して
生きていかなければならない


8.最後に(詩の解説)

1.の詩は

愛猫のシマちゃん(♀1歳)について書いた

ラブポエムです♥


2.の詩は

夏の夜に聞こえてくる

夜虫たちの声がきれいだな~という感想を

詩にしました。


3.の詩は哲学的な詩です。

何というか

先に先にと進みたくても

過去が十分に癒やされていないと難しいよね?

ということを書いた詩です。


4.の詩は

昨日のつぶやきでも書いたことをまとめました。

家族で映画を見に行ったのですが
正直、つまらなかったです。
そもそも、見たくなかったやつで、付き合いで行ったのですが
それでつまらないとか、気分最悪です。

その経験を通して考えたことを詩にしました。


5.の詩は

普段、率直に想っていることを書きました。

何もしない時間も必要なんでしょうが

それはそれでしんどいのです。


6.の詩は

昨年書いた、戦争ネタの詩です。

これは一応フィクションです。

昨年、NHKで放送されていた「あとかたの街」という特別ドラマを見て
戦争について改めて考えさせられました。
そこで思いついた詩がこの作品です。
お読み下さりありがとうございます。


7.の詩も戦争ネタです。

戦地に赴いた祖父に尋ねることができず

ずっと心の奥にしまいこんでいたことを綴りました。


今回はこのような形で締めます。

お読み下さりありがとうございます(^^)/


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