PatoPatoのロゴマークができるまで
こんにちは。はじめて。Neki inc.のデザイナー坂田です。
今回はNekiが2023年にデザインした、また、Nekiとしては初めての海外案件でもある、台湾のベビー用品メーカーPatoPatoのロゴマークができるまで、を自身の備忘録も兼ねてご紹介したいと思います。
偶然が重なりお受けすることができた案件
2022年末、Nekiの問い合わせ用メールアドレスに、海外からの1通のメールがありました。
普段から、度々海外からのスパムメールを目にしているので、「おそらく今回もスパム?」と思いながらも読んでみると、どうやらなんと、本当に台湾からのデザインのご依頼メールが。嬉しい。めちゃくちゃ嬉しいと思いました。
「どうする? 本当にできるのか?」という思いもゼロではありませんでしたが、実は当時偶然にも、台湾からの留学生のアルバイト、シイナさん(現在は東京の大学院でバリバリ勉強中)が事務所に通ってくれていたこともあり、言語の壁は大きくクリア。前のめりにお受けすることができました。本当に幸運な偶然でした。
PatoPatoについていくつかのこと
PatoPatoは台湾のベビー用品メーカーで、30年程前から、欧米メーカーのクッションマットなどの製造を担ってきました。
創業者のご子息が会社を引き継いだタイミングで自社ブランドの立ち上げやネット販売をスタートし、現在は台湾を中心に「デザイン性の良さ・安全性の高さ・安心」を理念に、クッションマットやベビー用洗剤、知育玩具などの商品企画・販売を行なっています。
※Patoとはスペイン語で鴨の意味。
ブランドの成長と共に、より安心感・信頼感を伝えられるロゴマークが必要になり、Nekiにロゴマークのリニューアルをご依頼いただきました。
↓以下からPatoPatoさんのウェブサイトをご覧いただけます。
日本から台湾へオンラインインタビュー
ロゴマークのデザインはこれまでも沢山手がけてきましたが、海外からの依頼は初めて。かなり緊張しながら初回のzoom会議を行ったのを覚えています。
Nekiでロゴマークをデザインする場合、基本的に最初は対面での打ち合わせを行います。
これは全ての案件に共通しますが、デザインする対象やお客さんに対して興味が湧けば湧くほどアイデアが出しやすく、その為にはテキストや音声情報だけではなく、その人たちの雰囲気や仕草、喋り方や纏っている雰囲気などを生で感じたい、と常々考えています。
また、オンライン会議の場合でも、日本人同士であれば、ニュアンスでコミュニケーションできてしまう部分があるような気がしますが、海外の方とのmtgが初めての自分にとって、そのような普段「ふわっと」している部分が「ふわっと」のままだと上手くコミュニケーションが取れず。
そこで、事前に海外や日本のベビー用品ブランドなどのリサーチを行った上でmtgを行い、なるべく詳細に要望を吸い上げられるようにしました。
緊張の現地訪問
2023年2月、PatoPatoのみなさんに会う為に台湾へ。
日本国内でもまだコロナウィルスの感染者が多い状態で、出発前にPCR検査などを行い、陰性を確認してから出発。
関空から台北・台湾桃園国際空港へ、そしてそこから台湾の新幹線・台灣高鐵で台中へ移動し一泊。翌日PatoPatoさんにホテルまで迎えに来ていただき、本社がある彰化縣彰化市へ移動しました。
現地でのヒアリングでは、事前に共有していた質問リストの他に、既存のベビー用品・エコプロダクト関連 企業のロゴマークやウェブサイトのリサーチ資料を用いて、PatoPatoの今後のビジョンや、ロゴマークへの細かな要望を吸い上げていきました。
以下のスライドはロゴのリサーチし資料。
また、既存企業・ブランドのロゴとPatoPatoのリニューアル前のロゴマークをマッピングした資料を元に、リニューアル後どのようなデザイントーンにすべきかを打ち合わせしていきました。
ヒアリングで印象に残ったのは、「台湾では昔、原色系の派手な色の商品が多く、PatoPatoの商品もそのような配色のものが多かったが、リニューアルでは、現在の生活にも馴染む、落ち着いた色にしたい」という言葉。
また、PatoPatoの商品開発の際、配色をジョルジョ・モランディの絵画の色を参考にしている、といったお話も印象的でした。
普段自分が生活や仕事をしている日本国内では多数派で、当たり前のように感じてるデザインのトーン・雰囲気が、国を超えると当たり前ではなく、そのトーンを選ぶ為に明確な理由が必要になってくる、ということを改めて強く意識するきっかけになりました。
*台湾出張記はこちらも是非
デザイン案出し
台湾での打ち合わせ後、日本に帰国後すぐにラフスケッチに取り掛かりました。なるべく現地で得た体感を忘れないうちに、まずはとにかく手を動かしてみる作戦です。
また、それと並行して、コンセプトを言葉にしていく作業を進めていきました。台湾での現地打ち合わせで、「シンプルで余白のあるデザインが良い」といった要望をPatoPatoから頂いていました。
デザインの要望としてはわかりやすいオーダーとも感じられますが、一方で、「シンプルで余白がある」という事は、現在の世の中のデザインの流行でもあり、掘り下げて考えないと、ただのスタイリングの話、見た目の話になってしまいます。
そこで、ラフスケッチを描く作業と並行して、「PatoPatoというブランドや、PatoPatoの商品を購入した人の暮らしにとって、シンプルさや余白の多さは、どういった価値を持つのか?」という事を掘り下げて考えていき、全体の骨子となるデザインコンセプトを策定していきました。
デザイン提案から決定まで
初回のデザイン提案では、10案程度のラフ案を商品へ落とし込んだシュミレーションと共にご提案しました。以下、その抜粋を掲載しています。
数回のmtgの後、最終的にA案が選ばれ、細かな微調整を行なっていきました。
ついに完成!
台湾での対面打ち合わせからおよそ4ヶ月をかけて、ついにロゴマークが完成しました。
さいごに
シンプルなロゴマークだけに、線の太さや曲線の滑らかさでどこまで伝えられるかが勝負でもあり、微細な調整を重ねてロゴマークをブラッシュアップしていきました。手前味噌ではありますが、自分でも(とても)愛らしいロゴマークが出来たのではないかと考えています。
今回、初の海外からのデザインのご依頼案件で、改めて、コンセプトとアウトプットの両輪でデザインを突き詰めていく面白さを感じられたような気がしています。
以上、長々とした解説になってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。
また、この場を借りて、国を超えてデザインを依頼してくださったPatoPatoの皆さんに心からお礼をお伝えしたいと思います。Nekiがデザインしたロゴマークが、沢山の人とPatoPatoの商品・ブランドとの出会いを生み出すことが出来れば嬉しい限りです。
本当にありがとうございました!
それにしても、今回のお仕事で台湾が大好きになってしまい、2024年は必ず子ども達を連れて台湾に行くぞ・・・と思う今日この頃です。
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