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「白い世界」 だからいいんだ。

雪の色って、白くなかったら 
どうだったんでしょうね。

例えばピンクとか?
うん、派手過ぎるな。

じゃあ青?
綺麗かもしれないけど、なんかすこし重いかな?

黄色?緑?

黒はあんまりダメかもですね。
世界が暗くなりすぎる。
いつでも夜みたいになっちゃう。

派手だったり暗かったり重かったり…
私、わがままですかね?

でも、やっぱり白がいいのかもって思うんです。


私、昔から雪には苦しめられていまして。
雪深いところに住んでいたので、とにかく大変で大変で。
通学も寒くて本気で凍え死ぬかと思ったし、
寒くてあちこち痛いし(子供なのに)
雪かきだって、やってもやっても降り積もる。
それでも子供の頃は普通に外で雪遊びはしていましたが、
やっぱり成長するにつれて
「雪はもう、こりごり。」の気持ちは増すばかりで…

地元を離れた時は、そりゃもう清々しました‼︎‼︎
冷たいやつですね。

そして月日は流れ、私も社会人になり
なかなか地元に帰れないことも多くなっていきました。
それでも実家は大好きなので、できる限り帰省はしていたんです。
しかし必ず外していましたよ、冬の時期は(笑)
雪で交通にも影響がでますし、
長い休みが簡単にとれるわけではないので
それで日程を変えることがないように冬は避けていました。

けれど、数年前に久しぶりに冬に帰省する機会がありました。
本当は冬は避けたかったけれど、どうにも予定が合わず。
「実家に帰れないよりはいいか…」と思い、意を決して帰省。
そこまでかって感じですよね(笑)

多少ダイヤの乱れはありながらも、とりあえず無事到着。
やっぱり寒い。雪が多い。家が埋もれている(笑)
実家にいる間は雪かき手伝わないとな〜と思いながら、
家でのんびり。
ひたすらのんびりのんびり。

それから少しして、家の近くの親戚の家に挨拶に行った時のこと。
夕方になりもう帰ろうと、一人雪道を歩いていました。
外は暗く、でもまだ明るいような、少し青みがかった感じの色。
それと白い白い雪景色。

なんだろう…すごく綺麗。
少し風がふく。雪が舞う。
しっとりとしたような乾いたような、よくわからない相反するものが
一つになっている感じ。
そしてまた風が強く吹いて、風が雪の上を滑っていく。
急に、小さい頃雪遊びしたことや通学時のことを思い出した。

ひょいと上を見上げるとそこには月がいた。
大好きな月と雪は、ものすごく美しかった。
「月と雪って、こんなに仲良かったんだ…」

私はあの白い雪の美しさを見逃していた。

もちろん雪国が大変なのは本当で、
ここで暮らすというのは結構覚悟がいるレベル。
でも、ふと、自分がまたここで暮らしたら…
あんなに嫌がっていた私をそこまで思わせる雪の世界。

あんなに文句を言っていた私はどこへ?
なんともわがままだが、これもまた素直な気持ち。
ちょっとでもそう考えたことは、決して嘘ではないんです。
あの白さに、嘘はつけない。
嘘をついたら、真っ白な雪は黒く濁ってしまうでしょう。
だから、嘘はきかない。

恐るべし雪の世界。
月も協力して、反則だ。
私を惑わさないでほしい。

美しすぎるこの白い世界を

とうとう私は

知ってしまったのかもしれない。


白い白い雪の誘惑。
私の気持ちはとりあえず、
この白の中に埋めておくことにした。
溶けるまで、何卒そのままで。


ではまた。


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