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【映画レビュー】TVアニメ未見で幼女・百合モノらしい『私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ』を観てきた感想

かつての予想通り、無予習で臨みました。

『私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ』のざっくりとした感想

『私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ』を観てきました。

私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ
制作年:2022年 / 制作国:日本
67分 / 動画工房制作
監督:平牧大輔

https://eiga.com/movie/94557/

椋木ななつ先生の同名コミックを原作に、2019年にTVアニメが制作された『私に天使が舞い降りた!』の初の劇場版。女子大生と女子小学生の百合作品ということで小さな可愛い女の子がたくさん出る感じの作品らしいです。
TVアニメ版に続いて平牧大輔監督、山田由香さん脚本、アニメーション制作を動画工房が務めます。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

バランス感の良い、ちゃんと楽しい佳作。

幼女物・百合物と聞いていて、自身が特別そういった趣向を好んでいるわけではないので馴染めるか心配でしたが、生々しい感じがなく“可愛いを愛でる”ぐらいの塩梅でスッと入れました。
良かった、良かった。

ざっくりではなく、もっと詳しい感想を書いていきます。


百合≒友情?ちゃんとポップに楽しめる映画

百合作品ということで、女性同士の恋愛模様が描かれるのかと想像していましたが、意外とそんなことはなし。

一応登場人物それぞれのカップリングの組み合わせが用意されていますが、小学生のキャラクターということで、生々しい恋愛観というよりも、“ものすごい仲良し”ぐらいの矢印しか飛んでいない具合。

中でも一番マセていそうな乃愛ちゃんですら、ひなたちゃんに「あーん」してほしいぐらいの願望しか描かれていないので、百合という表現が正しいのか疑問に思うぐらいにポップに楽しめる映画となっていました。

(C)椋木ななつ・一迅社/わたてん製作委員会

唯一、小学生じゃない存在が、大学生のみゃー姉。
保護者ぐらいのポジションなのかな?とか、作品タイトルの“私”ってみゃー姉のことだから結構気持ち悪いぐらいの少女好きなのかな?とキャラクター像が見えてこなかったのですが、

今回映画だけを見ると、いわゆるそのままの意味で“大きなお友達”だったのが印象的。

(C)椋木ななつ・一迅社/わたてん製作委員会

年齢差もあるので、旅行の際の保護者的な立ち回りにはなる一方で、保護者意識はそこまで強くなく、それぞれと友達かのように溶け込んでいる姿が印象的です。

実際、今回の映画では、みゃー姉とのカップリング相手である花ちゃんとの仲が軸。花ちゃんのおばあちゃんもかつては年の離れた仲の良い同性の友達が居て、今も仲良くしているーーみゃー姉と花ちゃんもそんな関係になれるかもね、という作品になっており、百合というよりも「年の差があっても仲良しって成立するよね」ぐらいのメッセージの作品になっているのが見やすかったです。

幼女・百合モノという箱ではありつつ「年の差友情モノ」として観れる。


観光映画としての楽しみ方もあり

また、今回は観光映画にもなっているのも気軽に楽しめるポイント。

中でも作中に動物園が登場しているのですが、やけに現実味があるので、どこなんだろう、と調べたらやはり実際に存在する動物園なんだそう。埼玉県の秩父にある宝登山小動物公園が登場していたようです。

猿にモルモットに、ラマ......動物公園といいつつ、たくさん動物の種類が居て楽しそうで、ぜひ一度行ってみたいと思いました。公式サイトのラマの写真とまんま一緒のカットがあったよな。

(C)椋木ななつ・一迅社/わたてん製作委員会

他にも作中に登場した射的場が実際に存在することや、おばあちゃんの家に向かう道中の駅もしっかり実際の駅が再現されているのだとか、「知っている人」には嬉しく「知らない人」には発見のある、素敵な観光映画となっていました。

私はなかなか旅行したいとは思わないタイプですが、今回映画を観て、「行ってみたいな」と思えたのだから、しっかり魅力は伝わっていると思います。

秩父の観光映画としてもしっかり魅力的な作品になっている。


絶妙なサイズ感とクオリティ

67分というサイズ感も絶妙なのかもしれない。
これ以上長くやってしまうとダレてもおかしくないし、ちょうど良い具合に山場もあって、それぞれのカップリングのドラマも描けている。前述の幼女モノ・百合モノといったイメージを薄められている点も含めて、バランス感がすごく良い映画ですよ、これ。

(C)椋木ななつ・一迅社/わたてん製作委員会

全体的に絵が綺麗なのも、そのクオリティ管理の賜物なのかも。
動きが気持ちいいとか、そういったアニメーションの魅力は実はそんなにないのですが、見せ場として、TVアニメの振り返りシーンを、屋台と重ねて描く見せ方とか、演出の妙。TVアニメ版を観ていなくても、ときめいてしまうような素敵な省エネクライマックスでしたよ(言い方は悪いが)。

人気があるといっても、特定の趣向に尖ったような「わたてん」のような作品の映画化は今後もあると思います。そんな、同スケールの作品が劇場版を作るとなった時に、『私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ』が一つのお手本となるんじゃないでしょうか。

内容・尺・絵などバランス感がかなり高い。


まとめ

●「年の差友情モノ」としてポップに楽しめる。
●秩父の観光映画としてもしっかり楽しめる。
●内容・尺・絵とバランス感が絶妙!

というわけで、作品的に歴史に残る名作みたいなものを狙うのではなく、手堅い80点〜90点を狙って、しっかりそれを獲得してくるような優良作でした。難しい話じゃないので、TVアニメを観ていなくても、全然楽しめたし、意外と気軽に勧められる作品でした。

ちなみに私はこよりちゃん(画像右)の言動がツボでお気に入りに。よくわかんなくてもとりあえずアクセル踏んでく感じが良いです。

(C)椋木ななつ・一迅社/わたてん製作委員会

ちなみにTVアニメを観ていなかったので、松本さんなる隠しキャラの存在とか全然気づけなかったですよ。


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