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【映画レビュー】ゲームという設定が活きるボス戦に拍手!『ソードアート・オンラインプログレッシブ冥き夕闇のスケルツォ』の感想

公開は10月なのですが、公開終了のタイミングギリギリで滑り込んできました。

『ソードアート・オンラインプログレッシブ冥き夕闇のスケルツォ』のざっくりとした感想

『ソードアート・オンラインプログレッシブ冥き夕闇のスケルツォ』を観てきました。

ソードアート・オンラインプログレッシブ冥き夕闇のスケルツォ
制作年:2022年 / 制作国:日本
A-1 Pictures制作 / 100分
監督:河野亜矢子

2021年10月に上映された『劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』の続編であり、かつてTVアニメシリーズで描かれた『ソードアート・オンライン』の物語を新たなエッセンスを加えながら語り直すシリーズの第二弾。本来9月10日の公開を予定していたのですが、8月末に突如延期を発表。改めての公開日となっております。
監督を前作に引き続き河野亜矢子さんが務めています。

前作を観てきた際にはモヤモヤを抱えてスクリーンを出た(↓)ので、その続編ということであまり期待せずには居ました。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

快作。

前回はアガらなかったけど今回はそれほど悪くない!
TVアニメシリーズを追っていたわけではないこともあってか、楽しく観れましたよ。

つまんないものが出てくると思って、観に行くのが遅くなってすみませんでした、と申し訳ない気持ちが湧いてきましたよ。

ざっくりではなく、本編の内容にもっと踏み込んだ感想を書いていきます。
多少ネタバレがあるので、ご注意ください


『ソードアート・オンラインプログレッシブ冥き夕闇のスケルツォ』の踏み込んだ感想

■続・アスナとミトの物語!いわば完結編!?

今作を観て、わかったのは実はこの“プログレッシブ”というシリーズは前後編だったのか!ということ。

キリトが主人公だった物語を、アスナ視点にしてリブートしていくぐらいの認識だったのですが、それだとやっぱりキリトの頼れるヒーロー然とした姿に喰われてしまうのですが、ここに新規キャラクターのミトとのエピソードが加わることで、アスナの物語として締まるところがやっぱり気持ちいいですね。

(C)2020 川原礫/KADOKAWA/SAO-P Project

そもそも前作で離脱かと思われたミトちゃんがしっかり今作でも再登場してくれたのが嬉しい話。

ソードアートオンラインに詳しくない弱者としては、新たに加わったミトというキャラクターに対する親近感が増していたので、しっかり今作で活躍してくれるどころか、前作を踏まえた新たなドラマを今作で描いてくれたのは嬉しかったです。

またクライマックスのピンチで駆けつける展開が、しっかり熱い!予想はできる展開ではあったのですが、それでもやっぱり見せ方が上手いので、めっちゃ熱くミトの出番を見せられてかっこ良かったです。最高。

本編ではミトちゃんの登場シーンがすごくかっこよかったけど、直前まで下の階でどう合流しようか様子見てたのかな、と想像するとホッコリもしますね

今回は次回作の予告がなかったけど、アスナとミトの話としてはこれで終わってるとも言えるので、これで完結でも有りですね。

ミトちゃんの活かし方が上手くて、前後編として熱く締まる展開!


■ボス戦がしっかり面白いのは本シリーズだからこそ

ボス戦でのミトの登場シーンの熱さを褒めましたが、そもそも今回のクライマックスのボスであるゴーレムとの戦いが前提としてとても良かったのですよね。

(C)2020 川原礫/KADOKAWA/SAO-P Project

ラインを踏むとトラップのように攻撃が発動する敵の攻撃パターンの発見

敵の額に弱点があるのでそこを攻撃するという発見

新たな攻撃パターンに入って実は弱点が移動するという発見

というボスの形態進化や攻略のフェーズの変化が、まさに実際にゲーム攻略などで体験していくような攻略の過程を踏んでいくのが、ゲームを題材にした映画らしくて、本シリーズの見せ方の一つの正解を見せられた気がします。

他映画だったらご都合主義に見える敵ボスの弱点設定を、自然に組み込めるのは、本作の利点ですよね。『ONE PIECE FILM RED』では“表と裏から同時に攻撃しなければいけない”みたいなゲームみたいな条件があって、ご都合主義すぎる設定に萎えたのですが、こっちはそもそもゲームだから自然にそういう設定を盛り込めるんですよね。

難関ゲームの初見クリア的スリルがありました。

壁と思いきや波打つ無数の細い板のような、ボスステージデザインもあまり観ないデザインで、これも良かった。観ていてちゃんと楽しいものに仕上がっていました。

敵ボスの条件設定を自由に盛り込めるのは本シリーズの利点!しっかり面白く仕上げてる。


■イチャイチャしだすとなんかギャルゲーみたい

そんなわけでクライマックスは存分に楽しめたわけですが、一方でそれ以外の部分では引っかかりもありました。

中でも特に辛かったのが、キリトとアスナのやりとり

(C)2020 川原礫/KADOKAWA/SAO-P Project

時折、気恥ずかしさを感じるようなイチャイチャぶりを見せるのですが、もはや恥ずかしさを超えて、気持ち悪さを感じる瞬間があるほど……なのは私と作品との相性なのでしょうか。

アスナが「私だけがキリトの頑張りをわかってる」的な展開で感動させるシーンは、ギャルゲーみたいで妙な寒さを感じてしまって辛かったです。

ボス戦を終えた後、フラッグの報酬が出なかった時に、一瞬二人で見つめあって並んだシーンとか、「その一瞬の間(ま)はなんだよ」みたいなシーンがちょくちょくあったり、キリトとアスナのシーンは頭を抱えるシーンが多かったです。

というかキリトとアスナが恋人すぎるムーブをしておきながら、そういう言及がない感じに違和感がありすぎるんだけど、TVアニメシリーズを追っていたような人はそこはスルーできる部分なのかな?

キリトとアスナのやりとりは全体的に恥ずかしいというか、気持ち悪い。


まとめ

●前作を踏まえてのミトちゃんの活かし方はGOOD!
●クライマックスのゴーレム戦の設定やデザイン、見せ方もGOOD!
●キリトとアスナの変な関係は基本的にBAD!

という感じで、個人的にはキリトとアスナのやり取りが足を引っ張って、本作を手放しで喜べなくさせられた作品でした。

アスナがある世代にとってのオタクのマドンナみたいな感じになっているのが想像はつくんですが、あまり好きな感じじゃないマドンナ感です……。


プログレッシブシリーズはこれで終わり?

さて、一応今後も続きが作れそうなプログレッシブシリーズなのですが、実は昨年2022年11月6日に『ソードアート・オンライン』の完全新作オリジナル劇場版が制作されることが発表されました

こうなってくるとプログレッシブシリーズは、ここで終わりなの!?って気持ちになるわけですが、ミトちゃんが今度こそ次作には出なさそうな終わり方だったので、ここで終わってもいいですね。

プログレッシブありがとう!
とてもいい前後編映画でした。


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