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校内研究は難しい

どこの学校でも校内研究(研修)はあるだろうが、十年以上教師をやっていたが、研究の成果がすっきり表れたためしがない。同じように、校内研究ってなんだか難しいと感じている先生も多いのではないだろうか。

そこで、5年間研究主任として研究を進めてきた私が考える、校内研究の難しさについて書きたいと思う。

校内研究の難しさ

  1. 時間がない。

  2. モチベーションが低い。

  3. 組織で動くのが難しい。

  4. 科学的に検証できない。

  5. 思うように成果は出ない。

①時間がない

教師は忙しすぎるということは、すでに様々なメディアで取り上げられているので、知らない人はいないだろう。現状として、先生たちはその日の授業の準備もままならないまま、指導書を見ながら授業をしている場合も少なくない。それにもかかわらず、授業の質を上げるために研究をしろと言われても、そんな余裕はない。私が研究主任として、放課後に校内研究を始めようとすると、だいたいは嫌な顔をして、一体また何を面倒なことをさせられるのかとぼやかれていた。

②モチベーションが低い

上記の時間がない中での研究になるので、先生たちの研究に対する意欲は低い。もちろん、研究のテーマにもよるだろうが、教育委員会から与えられたような内容で何となく始めると、意欲はより低いだろう。それは、子どもと同じで、人からやれといわれたものは、あまりやりたくないものである。だからこそ、研究のテーマの設定の際は、なるべく多くの先生たちが関わりながら決めるのがよい。

③組織で動くのが難しい

学校の校務分掌の組織とは別に、研究組織は決められることが多い。大体は、研究主任をトップとして、授業研究部や学習環境部等の部に分けて、先生たちはどこかに所属するという形になる。しかし、各部で何をするのかを役割分担しておかないと、形だけの部になってしまう。また、各部の部長にどのような人材を当てるかによって、機能する部会になるかそうでないかが決まってしまう。はたまた、研究が進むかどうかも実働部隊である部会の長を誰にするかで左右される。
よくあるのが、学年で部会に分かれて、その集まった人で部長を決めるというやり方だが、若手が押し付けられる光景をよく目にしてきた。若手だから悪いということではなくて、ここでは部の長として人を動かすことができるかどうかである。若手は自分では頑張って働くであろうが、先輩教員に対して指示をするのが難しい。だからこそ、この組織の部長を決める際は、研究主任と管理職でよく相談して決めていくのが良いだろう。

④科学的に検証できない

学校のある取り組みがどのような結果になるのかを検証するのは難しい、というか不可能に近い。
その理由の一つは、ある取り組みとある結果の因果関係や相関関係を見つけることはできないからである。
例えば、授業の初めに小テストを毎回行えば、学力テストがあがるかどうかという研究をすると仮定する。そうすると、たとえ小テストを実施する前から学力テストの平均点が上がったとしても、小テストが原因かは、わからない。もしかしたら、先生の授業の質が上がったのかもしれないし、子どもたちが塾に通い始めたのかもしれない。という条件制御ができないのである。
もし、本当に検証したいのならば、同じクラスでランダムに半分に分け、片方は小テストを毎回実施させる場合と、もう片方は何もさせないで待機させておくという方法が考えられる。しかし、このようなことをすれば、不公平だと子どもや保護者からクレームが来ることは避けられないだろう。

また、先生たちは教育者であり、研究者ではない。したがって、研究の手法には詳しくない。

⑤思うような成果は出ない。

先に述べたように、例えば学力向上の研究をした場合でも、すぐに成果が出るとは限らない。私も何度も学力向上の研究をしてきたが、何かをしたから学力テストが上がったということはなかった。学力はテストの点数だけではないという観点から、その教科が好きかどうかを尋ねるようなアンケートも行ったが、必ずと言っていいほど研究をすすめた教科の肯定てきな数値は下がっていた。そのため、研究発表では、上がっている数値だけを取り出してあたかもその取り組みによって一定の成果があったかのようにごまかしていた。

まとめ

このような理由から、校内研究を教師が学校で行っていくというのは、非常に難しい。しかし、研究はしなければならない。ということで、③の組織作りのところで少し触れたが、どのようにしたら、その難しさを少しでも解消できるのかということをそのうち書こうと思う。

最後までご覧いただきありがとうございました。


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