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中国語小説の翻訳教室――神の代弁者になるために(最後に)

 今回この記事を書くため、十年近く前に翻訳した『永不瞑目』を見直し、多くの誤訳が見つかりました。本文に掲載した訳文のほとんどに、新たに手を加えました。改めて自分の未熟さを痛感しております。

 個人的な話で恐縮ですが、私は以前、中国語小説の翻訳を一つの生き甲斐にしていました。これでわが道を極め、ついでに一儲けすることを本気で夢見ていました。しかし何度か挫折したことで、やっと目を覚ましました。盲目的に一人の作家を信じ、その忠実な代弁者になることは、もはや不可能です。

 前にも書きましたが、翻訳家はどんなに頑張っても、作家の下僕に過ぎません。他人の小説の書き換えで一山当てようとは、なんとも馬鹿げたおこがましい考えです。他力本願になるよりも、自分で小説を書き実力を認められ、神々の末席を汚すよう努力すべきでしょう。

 人は模倣から始まり、自らの創造に至ります。どんなに楽しくても、読書や翻訳だけを生き甲斐にしてはなりません。それを自ら価値を創出するための糧、次の戦いのための休息とするのでなければ、ただの怠惰、現実逃避です。私は自分をそう叱咤激励するため、この記事で翻訳に熱中する過去の自分と決別し、新しい人生の段階に進もうと決意したのです。

 最後になりましたが、貴重な時間を割き記事を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。

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