ワンナイト
まるでどうでもいいとでもいうように、白いベッドに押し倒されてもなお、俺の顔を真っ直ぐに見つめる。
いや、俺を見ているようでその奥の何かを見ているようだ。
焦点の定まらない目に吸い込まれていくように、俺はそっと唇を近付けた。
嫌がる素振りはない、けれど決して喜んでいるようにも見えない。
彼女の真意をはかり損ねたまま短いキスをした。
「私の気持ちなんてどうでもいいじゃない」
俺の心を見透かしたように彼女がぽつりとそう言ってから、細い指が俺のネクタイを外した。
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