読了:『渦』 大島真寿美
おはようございます。
お盆の中日、いかがお過ごしですか?
わたしの実家がある地域ではお盆二日目の早朝に
お墓に行って切った野菜をお供えする習慣があります。
毎年起きれずに家族に行ってもらうのですが
今年は無事に起きることができました。(よかった)
お盆期間はお墓に行くとお線香の香りが立ち込めていて
いつもとはちょっと違う感じがしますね。
さて、今日は久しぶりの読書記録を書きます。
書くのを躊躇っていたわけではなく
読むのになんと2ヶ月かかってしまいました。
検定の勉強もしていたので、余計に遅くなってしまいました。
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』 大島真寿美
(うず いもせやまおんなていきん たまむすび)
漢字ばかりで「これはなんぞ?」と思う方も多いかも知れませんが
人形浄瑠璃がテーマになっている直木賞&高校生直木賞受賞作です。
江戸時代に活躍した浄瑠璃作者・近松半二(ちかまつはんじ)
の生涯が描かれています。
どうやら文楽の世界では有名な方のようですが
知識が浅い私は初めてその名前を知りました。
(人形浄瑠璃を操浄瑠璃と呼ぶことさえ知らなかったのはここだけの話)
大島さんの別の作品『空に牡丹』を読んだ時に
言葉では言い表すことのできない圧倒的感動に包まれたので
直木賞受賞作品の本作も気になっていました。
ちなみに『空に牡丹』の感想はこちらです。
『空に牡丹』同様に『渦』も比較的文量のある作品で
さらに江戸言葉×関西弁で書かれているため
面白いのに全然ページが進まない、というじれったい読書でした。笑
一般的な流行りの小説よりはちょっと忍耐が必要です。
でもその語り口調に慣れてしまえばもうこっちのもの。
終盤にかけてはもの凄い勢いで読み進めていました。
物語をまとめるには文才がないので遠慮しますが
中盤で半二が道頓堀を取り巻く大きな「渦」に気付くところから
ぐっと物語が加速していきます。
渦に気づいた半二は父から譲り受けた
近松門左衛門の硯を持って京に移り住み浄瑠璃を書き始めます。
そうして誕生したのがそれまで息絶え絶えだった竹本座に
連日人が押し寄せるほどの大ヒットとなった「妹背山婦女庭訓」でした。
浄瑠璃と歌舞伎の繋がりなども知ることができるし
文楽に疎い方でも面白く楽しめる作品です。
何より登場人物がとても生き生きしていて
読む進めるごとにじわじわと熱量が伝わってきます。
これまでは「人形浄瑠璃」「近松門左衛門」と
日本史の授業で聞いただけで興味も何もなかったのですが
こんなにも熱い世界だとは知らず。
母曰く、学生時代は学割がきくからよく国立劇場に行っていたとのことで
私もそんな粋な学生生活を送ってみたかったと羨ましくなりました。
この作品の続きも出ているみたいなので
また時間がとれる時に読んでみたいと思います。
やっぱり本は知らない世界を垣間見れるので楽しいですね。
それにしても大島さんの書く小説はなぜこんなに
活き活きとしているのでしょうか、、。
読んでいただきありがとうございました。
今日のnegoto:「氷をいっぱいに入れたグラスに熱々のコーヒーを注ぐのが日課であり、ちょっとしたリセットになっています」
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