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和食の日 11月24日

過ぎてしまいましたが、11月24日は和食の日でした。
2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、来年で10年目にあたります。一時は和食ブームもありましたが、条約の目的は「危機に瀕している文化の保護」であり、和食離れや米離れの状況は果たして好転してきたのでしょうか?

和食の日について、少しご紹介したいと思います。
あわせて、和食がぐんと身近になる参考書として歳時記をご紹介します。和食文化の基礎知識が増えると、好奇心が刺激されます。

2011年からユネスコの登録に向けて、海外の先行登録国を参考にしながら、多方面での働きかけがありました。私のホームページ(ブログ:食/食の文化遺産1~6)にこの辺をまとめているので、良ければご覧ください。

               主食穀類の摂取比率(米、パン、麺 … ほぼ1/3ずつ)



「和食」文化とは?

馴染みすぎていて逆に分かりにくいかもしれません。登録の時は副題に、「正月を例として」が付け加えられました。

お正月は料理だけではありませんね。思い出される行事では、門松やしめ飾りで新年の玄関になり、親戚が集いその家庭のおせちをいただき、お年玉が配られカルタ遊びなどにぎやかでした。

文化として和食を捉えるとき、お正月はその要素が凝縮しているようですが、どのような特徴があるのでしょうか?ほぼ四つくらいが挙げられます。


◎ 多様で新鮮な食材とその素材の味の活用

国土が南北に長く、自然が多様で豊かです。そして、その地域の食材の味わいを活かす調理技術や道具が発達しています。調理を学ぶとき、「旬」「素材の味」はまず押さえるべき基本です。例えば、春は竹の子で、スイカを食べれば夏だし、新米の秋の実りには美味しさと深い感謝です。

◎ 栄養バランスに優れた健康的な食生活

ご飯・汁・お菜・漬物を基本とした食事スタイルは、栄養のバランスがとりやすい。また、だしの「うまみ」や豊かな発酵食品により動物性油脂が少なくてすみ、日本人の肥満防止や長寿に役立っているとされます。ただし近年は様子が変わってきているようです。


◎ 自然の美しさや季節の移ろいの表現

食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現します。
季節の葉や花のあしらいや、調度や器を楽しみます。例えば、お茶を飲むのでも、夏は磁器やガラス、冬は陶器がしっくりします。
このような感覚は、磁器・ガラス・陶器・漆器・金属器など多様な器を、季節に合わせて使いこなし磨かれてきました。


◎ 正月などの年中行事との密接な関わり

日本の食文化は、年中行事と密接にかかわって育まれてきました。
自然の恵みである「食」を分け合い食の時間を共にすることで、家族や地域との伴を深めてきました。次世代に、食文化とともにその地域の伝統的慣習や文化を伝えていったのです。


         和食文化ブックレット1~4/和食文化国民会議/思文閣出版

一般社団法人 和食文化国民会議

ところで、『和食文化国民会議』(略称「和食会議」)は、2011年から「和食」のユネスコ登録へ向けて働きかけを行ってきました。現在は和食への理解を広めるため、様々な活動を行っています。和食の日に学校へだしの味の出張授業、講演会、SNSでの発信、書籍の出版など。

「和食会議」のホームページは、会員でなくても閲覧でき、身近で役立っコンテンツが充実しています。(自由研究の材料も一杯あります。)

 

マクガバンレポート


ところで、アメリカでは1977年にマクガバンレポートと呼ばれる「米国人の食生活指針」という報告書が出されました。肥満に悩むアメリカが理想とすべき脂肪と炭水化物の摂取比率は、その当時の日本人の食生活に似たバランスでした。このことが徐々にアメリカにも知られるようになり、1980年以降の和食ブームにつながりました。

けれど、日本の食生活がベストであったのは、昭和50年(1975年)頃だとされます。それ以前は炭水化物過剰でやや栄養不足で、それ以降は脂質の取りすぎで生活習慣病などが起きやすくなりました。その当時は食事のバランスが良かったことに加えて、味噌汁やたくあんなどの発酵食品の摂取も多かったので理想的な食生活だったのです。(ちなみに昭和50年とは50年も昔で、第二次ベビーブーム、「♪港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」流行。)


           くらしの歳時記 目次一部

歳 時 記

歳時記とは、①一年の折々に行われた自然.人事.百般のことを記した書。 ②俳諧で季語を分類して解説や例句を付けた書。

広 辞 苑

①の百般を記した歳時記は、季節の暮らしが具体的で情緒豊かに描かれています。二十四節気せっき(太陽の動きをもとに一年を二十四等分した暦)や七十二こう(五日ごとに変わる季節の暦)に基づいています。冬至、大寒、立春などは、二十四節気に由来しています。そして、二十四節気も七十二候も、季節の呼び名が素敵にきれいです。内容の一部ご紹介。

12月7日 大 雪 たいせつ

 12月7日は二十四節気で大雪にあたります。15日後は冬至です。12月に入ると北海道をはじめ雪国といわれる地域からの雪情報がニュースで流れます。(略)
 12月はお正月を迎える準備の月です。手始めが“すす払い“(13日)で、町中一斉にやっていましたが…
 そして漬物の季節でもあります。白菜漬けや沢庵の仕込みを町ではあまり見かけませんでしたが、近郊の農家では干し大根が並んでいた光景を思い出します。(略)

暮らしの歳時記 P38~39抜粋/和食会議特別企画

見本に、少しだけ抜き書きしました。ここに季節の行事や短歌.俳句、料理や気候や花々まで加わります。(ですので歳時記には、総合学習的要素があります。)ページをめくっていると、あぁそういう事だったのかといわれの意味が分かることが良くあり、人に話したくなります。

                     くらしの歳時記 目次一部/和食会議特別企画


書店に行けば、カラー写真も美しい様々な歳時記が揃っています。学校であまり教わらない事柄も含まれており、ご家庭に一冊あれば何かと便利そう。

出かけることが制限される昨今ですが、引き継がれてきた日本の暮らしに思いをはせるとき、わたし達は「歳時記」という船に乗り時空を超える旅をするようなものかもしれません。ご先祖様たちも様々なことを乗り越えてきたのだろうと思うと、勇気と心の落ち着きが得られるような気がします。



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