K 季節の恵み
ーカミさん日誌ー (上の画像は山椒の水煮)
ここのところ台所が慌ただしかった。
実りの季節といえば秋を思い浮かべるけれど、
意外にも初夏も盛りだくさんで加工に良い食品が出回る。
魚屋から八百屋まで買い出しに行き時にネットで調べ台所に立ち、
大藏達雄は何時間も何日も機嫌よく働いていた。
私(カミさん)は助手なので声がかかれば動く。
汚くなった台所の片づけは私だけど、
出来上がりを食べると改めて季節の恵みは有難いと思う。
「日本に生まれて良かったなぁ!」と二人で箸が進む。
もちろん、世界中の人がその地の食に満足していることだろう。
食いしん坊の方に、何か参考になればと思います。
5月17日 金曜日 … アンチョビ
この日普段より早く帰宅したので、なじみの魚屋さんに二人で行く。
もう20年くらいのお付き合いだろうか、色々教えてもらえるし仕入れも抜群で、おかげで料理の苦手な私でも魚って面白いと思うようになった。
イワシの刺身を買いに行った。銀色に輝く刺身をそのまま食べても美味しいが、目的はアンチョビ作りだ。小さなイワシを捌くのは、手間取る。頭と骨やはらわたを取り洗って水けをふき、500gくらいのイワシでも数時間はかかる。けれど、刺身ならそのまま塩を振って容器に漬けられるので簡単。大藏は慣れた手つきで10分ほどで下ごしらえ完了。
5月18日 土曜日 … 塩漬けラッキョウ、葉しょうが甘酢漬け
お昼頃近所の市場に行くが、ここは食品が何でも揃っている。まずは鮮魚店に行くが、珍しいイカのはらわたのパック詰めを買う。だいぶ前から「らっきょうを漬けなきゃ」と言っていたから、本命の八百屋さんに行った。
店頭に1kg入りのラッキョウが山積みだったが、値段が色々なので店員さんにどう違うのか聞いてみた。産地別に分かれており、ブランドラッキョウや砂地栽培はより高値ということだった。良さそうなのを選び4袋買ったら、レジの人に「こんなにたくさん漬けて偉い」とほめられ、私は返事に困る。
2袋は塩ラッキョウで、残り2袋は甘酢漬けにすると大藏は決めていたらしい。前作って好評だったので子供に持たせるため、こんなに買ったのだという。とはいえ、細かい分量を覚えてないので、ネットで調べ調味料を用意。夕食を食べる前後で、洗って下ごしらえし塩ラッキョウをビン詰めにした。
大藏は冷蔵庫の中にも目配りしていて、葉ショウガを見つけて甘酢漬けにした。私は一度失敗していて手が付けられなかったが、ネットで調べてこれならいけるぞということでやってみた。次の日に味見したら良さそうだった。
5月19日 日曜日 … ラッキョウ甘酢漬け、イカの塩辛
目が覚めると、台所の方から物音がする。私が降りていくと、大藏は塩漬けのアンチョビを洗ってオリーブオイルに漬け直しているところだった。もう十年くらい作っているからだろうか、鼻歌交じりで容器に詰め「これで良し」と気合が入っている。
朝ごはんが終わると、妙にそわそわしてスーパーに行かなきゃと言い出す。何だろうと思っていると、魚売り場でスルメイカを3杯も買う。な~るほどイカの塩辛を作るのだ。たいてい一人で作業するから世話なしだけど、水分を抜くため捌いたイカに塩をしザルごと冷蔵庫に入れるので、わりに荒っぽい。(米を研ぐザルにイカを入れたのも、ちょっと私は気に入らない。)
午後にはラッキョウ残り2袋の甘酢漬けに取り掛かる。甘酢はネットで酢や砂糖などの分量を調べ、合わせて煮立てる。冷めたら瓶に入れていく。塩ラッキョウよりは時間がかかりそうだが、2週間もすれば美味しくなるだろう。
5月20日 月曜日 … 山椒の水煮
仕事から帰ってくると、大藏はまっすぐ冷蔵庫に向かう。イカをざっと洗い、買っておいたはらわた(イカ味噌)を取り出す。ミソをザルを使って漉しイカとあえる。味見して「ちょっと塩辛いかなぁ」というので、私は味醂を大さじ2くらい加える。日を置けば味はよりなじんでいくだろう。
ところで、noteに何を書くか、長く私は困っていた。休みすぎたせいか、書くことが全く思いつかない。ここでふと気づく。ここ数日の話って、大藏の食いしんぼパワー全開で面白いかも…
これだけは私の作業だったが、生の山椒を日曜日に市場で見つけた。今は水煮の山椒が入手しづらく、ジャコ山椒が好物なのでいつも探している。袋入りの山椒は小枝から実を外さねばならなかったが、これは単純だけど面倒な作業で、コテコテと時間がかかった。塩を入れたお湯で十分ほど湯がき、冷めたら冷凍、これで4,5回は使えそう。6月になれば近くの農協直売所にも山椒が出るが、少なくてもこの3倍くらいの量は欲しいなぁと思う。子供たちも皆ジャコ山椒が好物だ。
5月23日 木曜日 … 写真撮り
さてnoteに記事を書くには、写真を撮らなくてはいけない。あれこれと皿に並べて撮った後、夕飯時に食べてみる。大藏はお酒も進み、「あぁ美味しい。生まれてきて良かったなぁ。」とご機嫌である。できれば来年は梅干も漬けてくれるといいなぁと、私はひそかに夢見ている。
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