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栃木県教採を1次だけ受けた話 #7

こんにちは。10月になり、大学の授業が再開になります。カレンダーの都合上、後期は3日(月)にスタートですが、うちの大学は教職実践演習の講義が土曜日に設定されているため、一足早く後期のスタートです。大学生でいられるのもあと半年。有意義な半年にしたいですね。

さて、これまで、茨城県、福島県の教員採用試験の受験記を公開してきました。

これらの記事でもちらっと触れてきましたが、実は栃木県の教員採用試験も中学校数学で受験し、1次試験を通過していました。
というわけで、1次試験だけにはなりますが、栃木県の試験も振り返ってみたいと思います。

栃木県の1次試験は7月10日(日)に実施されました。「専門科目」(90分)と「一般教養」(60分)の2つの試験が行われます。

専門科目(中学校数学)

中学校数学は大問6つ、記述式です。すべてに配点が書かれています。

大問1は、小問集合。答えのみを書く問題が4問。1問5点の20点満点です。
今年は「指数方程式(II)」「図形と方程式(II)」「論理と命題(I)」「順列(A)」からの出題でした。

大問2は平面図形の問題。中身的には三角比と数Aの平面図形の知識を使って解くような問題でした。小問は4問あり、大問の配点は16点。

大問3は確率の問題でした。少々特殊な場面での問題で、場合分けが重要になってきます。小問は3問で、配点は14点。(1)が、場合の書き出しだったので、場面理解に役立てられるといいと思います。

大問4は数列です。奇数の数列(初項1、公差2)で、(3)では"2乗の和"とかいう慣れないものが登場し、(4)では異なる2項の積の総和を聞かれました(n項目までの和を2乗して、"2乗の和"をひけば求められると気づいたときには終了10秒前でした…それだけ書き残してきましたが果たして何点もらえたか…)。小問は4つ、配点は16点です。

大問5はベクトルの問題。正六角形と、それを6つの正三角形に分割するという、よくある問題でした。時間の都合で最後の小問は解けていませんが、そこまでの小問はベクトルの基本的な事項がしっかり聞かれていた印象です。小問4つ、配点は18点で、(3)の6点が今回の全小問最大の配点でした。

大問6は微分積分でした。関数に文字の定数が入っており、計算は少々面倒ですが、数IIの範囲までしか扱われていないので、時間があれば解けるかなと思います。小問は4つ、配点は16点でした。

今回の試験では、小問集合(各5点)より配点の小さい記述問題(4点)が存在しています。また特に時間がないです。難易度的にはさほど難しくはないですが、この量を90分で解ききることは、高3の私でも無理ではないでしょうか。解ける問題を落とさないよう、計算には特に気を付けたいところです。

一般教養

一般教養は、いわゆる"一般教養"と"教職教養"を合わせて行う試験です。校種に関わらず統一の問題で、大問13、小問は50で、マークシート式での実施です。配点は選抜基準(後述)に記載があり、1問2点で100点満点です。

大問1~7は一般教養の問題。大問1は国語(小問数9)、大問2は地理(2)、大問3は歴史(3)、大問4は公民(2)、大問5は数学(7)、大問6は理科(7)、大問7は英語(5)で、合計35問。配点の7割が一般教養になっています。
小学校受験者は、小学校全科の勉強である程度乗り切れるのかなとは感じますが、中高受験者はある程度対策が必要かもしれません。過去問はもちろんですが、苦手教科を中心に参考書を見てもいいかもしれません。(5教科の受験の方、自分の教科は落としませんよう…)

大問8~13は教職教養です。
大問8は教育法規、大問9は教育時事(中教審答申: 評価の3観点)、大問10はローカル(栃木県の教育基本理念)、大問11は教育史、大問12は教育心理、大問13は特別支援教育について、で計15問。
併願先の茨城と福島を見据えていたため、教育史と教育心理は正直まったく手を付けていませんでした。もちろん栃木を本命に考えている方はしっかりまんべんなく対策することが必要です。
ただ、先述のように、一般教養が7割を占めていますので、一般教養を厚めに対策するのがいいかもしれません。

選抜基準について

栃木県の選抜基準は、中高の受験者に関しては総合得点によるものではなく、注意が必要です。以下、選抜基準(元ファイルはこちら)をもとに書いていきます。
※あくまで令和5年度採用の基準になります。必ずご自身が受験する年度の選抜基準をご確認ください。

(1)審議対象者の決定

  • 小学校の場合は総合得点の上位者から、採用予定者数の3倍程度

  • 中高の場合は専門科目の上位者から、採用予定者数の3倍程度

つまり、中高に関しては、専門科目で一定程度の順位に入れないと、その時点で足切りされてしまう、ということです。なお、特別支援学校の受験者は、全員が審議対象者となります。

(2)学力試験について

(1)で審議対象者になった人の中で、次の基準を満たさなければなりません。

  1. 一般教養試験の点数は、全体(小中・県立)の平均点以上とする。

  2. 専門科目(実技試験を実施した科目はその結果を含む)の得点は、それぞれの平均点以上とする。ただし、特別支援学校の志望する部の教科・科目の専門科目の平均点には、小・中・高の各受験者の結果を含むものとする。

  3. (特支受験者のみ)特別支援教育に関する学力試験の得点は、平均点以上とする。

つまり、各種試験で平均点をとることが必要になってきます。審議対象者に入ったとしても、受験者平均を取れていない場合は、ここで足切りされます。

(3)1次合格者の決定

1次合格者は、(1)(2)を満たしたうえで、

  • 小学校の場合は総合得点の上位者から、採用予定者数の1.5倍程度

  • 中高の場合は専門科目の上位者から、採用予定者数の2倍程度

  • 特別支援学校の場合は採用予定数の1.5倍程度

となっています。中高の場合は、ここでも専門科目のみが使用されます。つまり、一般教養で平均点を取ってしまえば、あとは専門科目での勝負です。
他の自治体でも、専門科目の比重が高いことが多いですが、こういった方法を取る自治体は珍しいのかなと思います。(あまりほかのところを見ていないので分からないですが…)

合格発表

今年の合格発表は8月2日(火)にありました。1次試験から23日後、2次試験までは17日ありました。
結果通知は、2日18時以降の消印になっていたため、中2日かかり5日に届きました。資料には2次試験の会場が書かれているほか、面接が20日(土)か21日(日)か、加えて時間帯も明記されています。小論文と集団討論は19日(金)でしたので、2次試験が金土で行われる人と、金日で行われる人がいることになります。ちなみに私も金日のパターンの組でした。もし行ってたら土曜日どうしてたんだろうか…。

終わりに

※ここから先には試験に関する情報はありません。この先だけで1,000字以上ありますので、時間に余裕があってかつ興味のある方のみお読みください。

「教員不足」だと叫ばれて久しくなっています。今年は倍率が1倍を割るような自治体・校種も出てきたようですが、それでも特に中学校や高校は高い倍率が続いています。

教員不足の理由はさまざまあるようですが、私の知るところでは、定年での退職者が多くなっている中で、教員の不人気による志願者数の低下によって、採用試験に合格する割合が相対的に大きくなることで、講師のなり手がいない、ということが理由の1つになっているよう。
もちろん、年度途中の休職者もいらっしゃるでしょうし、そんなときに途中から入れるような都合のいい人材がいるかと言われるとまた難しい。結局他の先生方へのしわ寄せが増えているという現状もあります。

私が中学1年生だった2012年、私の中学校の英語の先生が、夏休みから1年間病気療養の休職に入られました。代わりの講師の先生が入られたのですが、その先生が8月から10月までの3カ月のみの契約だったようで、その後の先生が決まらない、といった事態が起こってしまいました。その結果、私たち1年生を担当していた先生が、元の先生が担当されていた3年生にまわるため教科担任を外れることに。私たち1年生の英語は、なんと校長先生が担当する、ということになってしまいました。(ちなみに校長先生の専門は理科でした)
結局1週間で代わりの先生が見つかりましたが、校長先生が専門外の教科を週4×3クラスで5カ月担当しようとしていたのですから、かなりの異常事態だったことは中1の私でも理解できました。

このように、講師のなり手がいないことを危惧する自治体が多くあるのが現状のようです。ただ、特に新卒で受験していると、やはり教諭として働くことを目指しているわけなので、併願して1つでも合格すればそちらに行きたくなるものだと思います。終身雇用の時代はほとんど終わっているとは言えど、特に若手の教員にとって来年度が保証されているかいないかはえらい違いだと、少なくとも大学生の私は思います。

私の出身地・福島県では、毎年それなりの数が"再任用"として、定年退職された先生方を、期間限定で再び教諭として任用しています。講師として、なら理解できますが、教諭として。しかも高校が圧倒的に多いんですよね。

じゃあなぜその分を新採用でとらないんだ、と。
そこまでして講師の候補者を確保しようとしたところで、県外に流れるなり民間に行くなりする気がするのですが。

福島県の高校の枠は全教科合わせてたった45人。今年も10.7倍などという高倍率を叩いています。中高併願の制度も、高校の高倍率によって、優秀な人材が他県や民間に流れてしまうことを防ぐために導入されたそうです。しかし、高校の先生になることにこだわりを持っている人もいるだろうし、そもそも国数英以外の受験者は今まで通り。将来の少子化や人口減といったものを見据えないといけないのはあるかと思いますが、それでなくても教員1人ひとりの負担が大きく、また欠員も出ている状況で、新採用人数が増えないことには疑問を感じます。まあこればかりは、自治体ではなく国として動いてほしいのですが。

というわけで、教採関係の記事を茨城・福島・栃木と3件挙げさせていただきました。来年以降受験される方の参考になれれば幸いです。

Sunday, 2022/10/02
カバー画像: 日光市の日光東照宮。2019年2月20日撮影。
サークル旅行で日光に行ったときの写真です。2月にしては暖かかったことを覚えています。

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