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未来型理想企業・電通。

根岸です。

電通が理想?未来型?そんなわけあるかい!典型的なブラック企業だろ!昭和企業だろ!・・・そんな声が聞こえそうですが、労働時間とかそういう問題についての話ではありません。企業中心の世界から個人中心の世界に変化している現在、そして変化を余儀なくされる現在、社内の人と社外の人の関係の在り方が、未来型だというお話です。

僕は電通で働いたことはありません。だから、このnoteは、僕の想像の域を超えていません。それだけ最初にお断りを入れさせてください。でも、広告の発注主として、電通に限らず、さまざまな広告代理店の方とはトータル20年関わってきたので、そんなにズレていないんじゃないかなと思ってます。

クリエイティブな世界は、社内外の意識がない。

図1

電通(に限らず)、広告代理店の社内には、素晴らしいクリエイターの方がたくさんいらっしゃいます。何かの依頼があったときに、社内を見渡せば、最低限のことをクリアできるどころか、優れたクリエイターが必ずいるはずです。

でも、それでも、社内の人か、社外の人か、一切関係なく、その案件のプロジェクトチームが組成されるのがクリエイティブプロジェクト。本当にベストなアウトプットすることだけが目的で、プロジェクトチームづくりは手段でしかない。それが文化になっている。

だから、たまたま社外に最適な人がいるなら、その人の力を借りる。「会社内で最適化」という手段の枠ではなく、「会社という箱を超えた適材適所」という目的の枠で考える。それが行動原則になっている。社内外の ”敷居” に対する意識が、良い意味でありません。まさにフラットでオープンなんです。

もちろん予算やスケジュールなどの現実問題がないとは言いません。ただ、それさえも手段でしかない。目的逆引きで必要なら「これこれこういう理由で予算をふやすべきだ」とクライアントに進言する。クライアントはクランケ(患者)だから、治療のためには、指示通りだけで行動しない。少なくとも、仕方ないとは最初から言わない。

社内外の意識がないと、イノベーションの輪が広がる。

これは実例をもとに書いてみます。

だいぶ以前の話です。(もう15年以上前だから時効だよね) ある企業は絶体絶命の大ピンチでした。業績は劇的に伸びていたのですが、だからこそ強大な競合のあたりが強くなった。仕組みと構造の根本を狙われ、いままでのやり方を変えないといけない局面に迫られた。

そこでどうしたか。クリエイティブです。(電通じゃないんだけど)広告代理店の方に相談。僕の上司にあたる人がめちゃくちゃ真剣に相談したら、その方がめちゃくちゃ真摯に受け止めてくれた。そこから打開の輪の広がりがスタートしました。

代理店の方が考えてくれた「この課題を解決できる最適な人はこの人だ」と、前田知己さんを連れてきた。前田さんは、日本を代表するコピーライター。どそして、前田さんがやるならと、デザイン・アートディレクションでチームに加わってくれたのが秋山具義さん。さらに、CMのカメラに手を挙げてくれたのが中島信也さん、スチールには佐内正史さん。そうそうたる面子でプロジェクトが動きました。

プロセスの説明は割愛しますが、最終的にこの「社内外コラボチームが生み出したアウトプット」によって、ピンチを打開するどころか、過去最高の業績にひっぱりあげるというイノベーティブなことを実現したのでした。代理店の方の真摯な姿勢、そこに共感してくれた前田さん、そして前田さんを信頼している有数のクリエイターの方々、その連鎖というか ”つながり” が生み出した結果でした。

今思うと、社内に固執した考え方でモノゴトを進めていたら、、、この連鎖は絶対に生まれなかった。この連鎖が生まれなかったとすると、ぞっとします。もしかしたら、冗談抜きで、東証一部上場企業はひとつ生まれてなかったかもしれません。

社外コラボのワクワクを体感する。その第一歩は、人に対して「使う」という言葉を使わないこと。

社内外の意識がない。それはイノベーションにつながる。そんなことを書いたのですが、見解は「そうそう。そうだよね」と「ん?ピンとこない・・・」の真っ二つにわかれると思いながら書いています。

「そうだよね」という方は、もうその考え方がしみついていて、言動もそうなっているはずです。だから次々と変化を起こせていて、刺激的な毎日になっている。
一方で、「ピンとこない」という方は、実感のある体験がないのかもしれません。では、実感のある体験をするには、まずどうしたらいいか?これだけがやり方だと思いませんが、僕なりにひとつオススメすると以下です。

人に対して「使う」という言葉を使わない。

重要なのは「意識的に」です。

よく「外注を使う」「業務委託を使う」「この仕事は外を使う」といった言葉を聞きます。それを聞くたびに、なんともいえない気持ちになります。社内には使わないし、もっというと、自分に対しても使わない単語なのに。逆に「お前を使う」と言われたら、きっと嫌な気分になるだろうに。

もちろん、その言葉を発した人が、人を見下しているのか?というと、ほとんどの場合、そんなことはありません。上から目線でモノゴトを考えようとしていることも、ほぼありません。想像力が少し足りないなぁとは思いますが、けっして悪気はないのです。

でもね、この悪意のなさが一番厄介。悪意があるのは言語道断ですが、それでも悪意がある場合は、自覚的だから治せるのです。一方、悪意がない場合は、無自覚だから自己修正が不可能です。

「悪意がないならいいじゃん?」「そこにこだわる必要あるの?」に対する僕の意見は「こだわる必要がある、それは自分のため」です。

人は言葉で思考します。言葉で喜び、言葉で悲しみ、言葉で学び、言葉で考え、言葉で表現する。

言葉で思考し、思考は行動になります。行動は結果になります。結果はいつしか思想のベースになります。だから、意識的に、人に対して「使う」という言葉を使わないことは、本当に、本当に、本当に、大切です。

あああ図1

もしよかったら、意識して周囲を観察してみてください。クリエイティビティのある企業や人は、人に対して「使う」という単語を絶対に使いません。派生して「人が余っている」という単語も使いません。

これからは、社内外コラボが、企業成長のカギ!?

人材不足と言われる時代。働き方が多様化し、専業×フルタイムでは成立しなくなった時代。産業寿命が短くなり、いま事業が好調でも数年後も続いているか分からない時代。変化が激しいときに、従来のやり方をそのまま継続しているわけにはいきません。人口は国力だ、という非インターネット的な思想ではムリです。社内でも社外でも、オフィスでもリモートでも関係なく、チームをつくることが欠かせません。さらにいうと、過去の成功体験であればあるほど、ある意味危険です。固執してしまうけど、もうそれは成功しない方法かもしれないから。

・現状維持は衰退の始まり
・次の成功の第一歩は、過去の成功を捨てること

先が不透明ない今だからこそ、何かひとつでも、能動的に変化させていくことが不可欠。その一つが、社内外コラボレーションです。

目的の実現を最速でやろう。そこに目を向けると、社内と社外を分けている場合ではありません。社外人材を「使う」ではななく「敬意をもってお願いする」という前提で。

すごいなと思う代理店の人は、すべからく、こうでした。
・お金をくれるクライアントにはズバズバ言う
・お金を払って協力してくれる社外クリエイターには最上級の敬意を持って接する

では、どうやって社外とうまくコラボするか? 社内外の意識をなくす。会社のルール等の物理的なことも、なんとなくという感情的なこともふくめて、壁を除くことです。それはいずれ、なんともいえないワクワク体験につながります。ワクワク体験は業績と相関が生まれるでしょう。でも、いきなり大きな動きをするのは難しいのも理解できます。だから1歩ずつでいい。なんなら0.5歩でも最初はいい。ほんの少しでいいから、いまと違うところに行ってみることです。

電通は昨今、いろいろ叩かれてます。真実は知らないのですが、もしかしたら修正しなければいけないこともあるのかもしれません。ただ、叩かれるのは、巨大企業に成長できたからこそ。

そして、巨大企業に成長できたことのひとつが、社外の人に対して"意識的に"リスペクトをする思想で、社内外コラボレーションを実行してきたから。冒頭に記載したとおり、僕は電通で働いたことがないので想像ですが、結構当たっていると思います。

そしてその考え方は、むしろ今後さらに不可欠な思想にもなっていくでしょう。逆に、社外人材を「使う」を、無意識に悪意なく実行してきた企業は衰退し始めるかもしれません。実際、僕のところに、ある有名大手企業から相談がありましたが、それが象徴的でした。「お金はあるんです」「場所はあるです」「人も”用意”できるんです」「でも、どうしたらいいか分からないんです」って。どうしたいの?と聞いたら黙っちゃった。

でも、それでもみんななんとなく今のままではいけないと感じている。だからこそ第一歩(いや0.5歩)を踏み出そうとしている企業が増えつつあるのも事実なので、そのために、スマート経営の導入支援を開始しました。よかったら声かけてください。仕事じゃなくてランチでいいので。※今だからこそ、よかったらzoomランチで。


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