見出し画像

[好きな広告を勝手に解説するシリーズ]ドンタコス ~ドンタコスったらドンタコス~

[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] vol.13は、湖池屋の広告「ドンタコス」です。

AIDMAの王道

いまでこそAISASのほうが使われるかもしれませんが(本質的にはどっちでもいいのですが)、ドンタコスが発売された1994年は、インターネット普及前。完全にAIDMAでした。そのA・I・D・M・Aのすべてをパーフェクトにとりこめた広告が、ドンタコスです。

ドンタコスったらドンタコス、ドンタコスったらドンタコス。(年代にもよりますが)、この広告、みなさん記憶にあるのではないでしょうか。リズミカルな音楽にのせて、徹底的に商品名を繰り返す手法。脳裏に焼き付くサウンドも含めて、ドンタコスを覚えてしまいます。

A:TVCMの露出量が多かったことがまずあります。ただ、それさえもコミュニケーション戦略。そこに、軽快な音楽にのって商品名を連呼されたのだから、なおさらです。

I:しかも 日本人がイメージするTHEメキシコ人が登場してヘンテコな動きをするのだから、興味換気はなおさらです。

D:そして、トルティーヤチップスといえばメキシコ。本場メキシコの味となれば気になる。辛い、スパイシー、ホット、などの食べ物が美味しいという感性とシンクロして流行しがちな日本においては、なおさらです。

M:インターネットでものを買う時代ではありません。お店でものを買う時代です。どうしてもドンタコス!ということであれば別ですが、普通は「なんかお菓子買おうかなぁ」程度でコンビニ等に行ったり、「あ、そういえば!」と、行ったついでに思い出したり、という購入の仕方がほとんど。当然ドンタコス目当てじゃないほうがマジョリティーです。が、いざスナックが陳列された場所にいけば、思い出すのです。

A:で、買うのです。

音楽と記憶の化学

特にすごいのが、A(Action)という購入に繋がる直前であり、他のスナック商品も並んでいる中で選ばれるために欠かせない、M(Memory)の部分です。

少し話はそれますが、「あの曲を聴くと、〇〇を思い出すなぁ」という、自分の中で大切な音楽って一つはないでしょうか?もちろん僕もあります。サッカーをずっとやってきたので、高校サッカーのテーマソングを聞くと、夕方の西が丘球技場の後半残り5分のシーンが浮かぶのです。あくまで僕にとってはですが、それはそれは、もう切っても切れないほどのものとなっています。もう少し広いところだと、長渕剛の「乾杯」や安室奈美恵の「キャンユーセレブレイト」もそうだし、運動会の徒競走の定番「天国と地獄」もそうです。

軽快なリズムと、シンプルな歌詞(≒広告でのメッセージ)も、実は同じ構造。ある条件(この話でいうと、スナック商品の陳列棚の前に来た時)で、すぐさま脳内で結びつくことになる。だからドンタコスが選ばれるのです。

ものすごい数の新発売が登場しては消えていくスナック商品の中で、1994年から現在までの25年間のロングセラーとなっているのは、美味しいというだけでなく、この広告の影響も多大であると言っても過言ではありません。

ちなみに、「スコーン」と「ポリンキー」も同じクリエーターがCMを制作し、広告コミュニケーションのロジックは同一です。いずれもいまなおヒットしている商品ですね!

以上、広告好きの私見でした。

その他の「好きな広告を勝手に解説するシリーズ」はこちら。通勤電車などの暇つぶしにのお供に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?