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「重要だからあえて社外で」にしたら、マーケ成果が4.5倍になった話。コストの話もしちゃいます ~スマート経営~

ランサーズの根岸です。こんにちは。

2020年2月、やり方を大きく変えました。「重要だから社内で」をやめて「重要だから社外で」に。その結果を結論から言いますと以下です。

・リード獲得数 450%(量上昇)
・リード獲得効率 140%(質上昇)
・コスト160%(もちろんやや上昇)
※いずれも2020年3月が、2019年11月と比較してどうなったか。

最初にうまくいかなくて、断念して。そのあと考え方を改めたら、やり方や行動が変わって、結果に繋がりました。何をしたのか。「成果があがったよ」だけでなく「で、コストは?」も触れたいと思います。

マーケ策の概要

上記に記載したポイントのとおりですが、リード獲得施策です。(余談ですが、リード獲得という言い方はやっぱり好きになれないなぁ。。でも一般的だからここではそう書きます)

インターネット完結型で仕事の受発注をするランサーズの利用は、正直、ECサービスのように世間一般には浸透しているとは言えません。特に発注側は、企業のルールや文化の壁が少なからずある。利用意向があっても「新しい発注の仕方」は慣れるのが大変ですし、初めての場合は「分からないなぁ…」「難しいなぁ…」となってしまいがちです。だからこそ、カスタマーサクセス的な機能を設置し、クライアント様をサポートすることに注力しています。

「重要だから社内で」が、ブレイクスルーできない発想だった。

カスタマーサクセスの機能はだいぶ以前から重視してきました。2019年末までは、重要な機能なので、経験のある社内のメンバーでやったほうがいい。その考えに縛られながら実行していました。当時は縛られているというよりも、本当にそう思っていました。だからこそ、そうしていたのです。

そういった中で昨年(2019年)に一度、増員しようと進めたのですが、結論として、増員前にストップしてしまいました。理由は以下です。

①異動検討に時間をとられる
経験豊富な社員は、往々にして何か別のミッションを持っている。はい異動、とはなりません。全体最適と部分最適の観点から総合的にジャッジすることが必要ですし、何より当人の意向を無視するわけにはいきません。当人を筆頭に各所との調整が必要になる。打ち手を打つための準備に、ものすごく時間をとられます。

②採用活動に時間をとられる
それでも足りない場合は、新規メンバーしかありません。経験ある方を探す場合、ハードルが高くなります。何より、そもそも採用できるかどうかも分からない。社員採用に依存するのは、ある意味賭けでしかありません。

③育成に時間をとられる
経験の浅いメンバーの採用は、経験者よりも採用成功確率が上がります。ただ、それは育成負荷とのトレードオフ。既存メンバーが教育に時間をとられます。すなわち、打ち手を打つ時間が減ります。

これまで「施策の実行」に時間を使っていたメンバーが、「施策の拡大準備」のために時間を使うので、実行量が減るのはもちろん、育成を並行することで、質も落ちがちです。

時間をかけてゆっくりでよければいいのですが、いまどき悠長な時間が与えられる企業がどれだけあるのでしょうか。変化が激しい時代は、ゆっくり時間をかけていたら、準備が整った頃に不要となってしまう可能性さえあります。採用(雇用)をしていた場合、採用された人も企業も不幸の始まりです。

結局、「実行の拡大準備」に時間をとられ、目の前にいる新規のクライアント様のサポート量が減ったため、(縛られた考え方での)増員を一旦ストップしました。

「重要だから”社外”で」と、発想を逆転させたら、短期間で成果が飛躍した。

「採用に時間をかけない」「育成に時間をかけない」をスピーディーに両立するにはどうすればいいのか?

何か実行が難しいときによくあるのが「ムダに前提条件が多い」です。

例えばアパートを借りる場合、月8万円以内で、駅徒歩5分以内で、都心で、築年数5年以内で、角部屋で・・・と条件を増やせば増やすほど選択肢がなくなります。そもそもそんな物件がないかもしれません。そしてどうなるか。「月8万円以内は必須だから、駅からちょっと遠くても仕方ない」「角部屋じゃなくても築年数が5年以内ならいいか」と前提条件を緩和することで、選択肢を増やします。そして賃貸契約まで進みます。

前提条件は、都合の良い希望条件に過ぎず、本質的にブラせない条件はもっと少ないし、シンプルなのです。

で、考えを改めました。

・社員で → フリーランスで (正確に言うと雇用形態を気にしない)
・社内で → フルリモートで (正確に言うと働く場所を気にしない)

当初前提としていた「重要だから社内で」をひっくり返したのです。それによりどうなったのか?

①異動に時間を・・・とられなかった
そもそも異動ではなくなりました。そのための調整も不要になりました。

②採用に時間を・・・とられなかった
リモートでもOK、社員でなくてもOK、フルタイムでなくてもOK。発想の転換により、希望に過ぎなかった前提条件が減り、本質的な条件だけになったことで選択肢が広がりました。当然、工数も削減されます。

③育成に時間を・・・とられなかった
本質的な条件として残ったのは「経験がある」「意欲的」だったため、オンボーディングに時間がかかりませんでした。意欲的なので、自発的に学び続けてくれます。

2019年は、3名増員しようとして、1ヵ月ほど「準備」に時間を使った結果、結局増員0名でストップしたのに対して、2020年は、たった2週間足らずで15名の心強い仲間を増やすことができました。増員の必須基準は一切下げていないのに。

そこからはとんとん拍子です。冒頭にお伝えしたとおり、劇的に成果が上がりました。

図1

で、その成果に対してコストは?

「マーケ効果〇倍!その秘訣とは!?」みたいな事例記事やセミナーをよくみかけますが、いつも気になっていたことがありました。

「勉強になるけど、、、コストはどうなんだろう?」

マーケ効果が3倍になったとしても、コストが4倍だったら・・・と気になって仕方ありませんでした。もちろん先行投資的にコストを踏み込むこともあるので、一概にダメだとは思いませんが、やっぱり効率は気になるところです。だからこそ今回、コストのこともできる限りオープンにします!(しちゃっていいのかな。。。まぁいいか)

改めて結果をお伝えすると以下です。

・リード獲得数 450%(量上昇)
・リード獲得効率 140%(質上昇)
・コスト160%(もちろんやや上昇)
※いずれも2020年3月が、2019年11月と比較してどうなったか。

成果が450%になったのに対して、コストも上昇しています。ただし、「重要だから社内で」から「重要だから社外で」に考え方をシフトすることで、派生するコストも大幅に抑止できたのも事実です。

・出社がない→オフィススペースがいらない(オフィス賃料)
・出社がない→通勤がない(交通費)
・雇用ではない→採用費がかからない(人事メンバーのリソースも不要)
・雇用ではない→福利厚生等がかからない
・未経験採用ではない→教育コストがかからない

コストとして可視化しづらいのですが、「進めたいのにできない」「進めたいけど時間がかかる」「進めたいけど…」といったストレスもないので、実質的にはもっとバリューがあると感じます。

というわけです。しかも、だからこそ、仲間になってくれたフリーランスの方々に対して、仕事のパフォーマンスに連動した報酬UPもしやすい。それは、頑張って仕事をしてくれる方々にとってもプラスのモチベーションなので、自走成長意欲が高まります。グッドスパイラルです。

仮に、もしも社員で増員をしていたとしたら、どうなっていたか。計算すると結果は以下です。

・リード獲得数 450%(量上昇)
・リード獲得効率 140%(質上昇)
・コスト160%ではなく320%

※話をシンプルにするために、以下を前提とする。
・採用コスト、教育コストがかからない。本当はかかる
・成果を上げるまでのスピードは変わらないとする。本当は2ヶ月ではムリ
・成果の質は変わらないとする。本当は2ヶ月ではムリ

決して悪くはないのですが、相対的には価値は半減です。

まとめ「経路依存症という悪習慣」

孫 泰蔵さんの2年前の記事、よかったらご覧ください。

孫 泰蔵さんは2018年に、すでにそういった話をされていらっしゃいますし、話だけでなく実践されています。この中に出てくる「経路依存症」とはまさに、僕の失敗そのもの。前述の「重要な機能なので、経験のある社内のメンバーを中心に実施」という経路依存症でした。

社会にはさまざまな「経路依存症」があるように思います。
・出社する(それが会社というものだ)
・対面がいい(なんとなく遠隔だとね)
・フルコミットがいい(フル=タイムという罠)
・専業がいい(副業してたら本業をさぼるんじゃないの?)
などなど、数え上げたらキリがありません。

前提となる条件が増えることで、それは当然というところから思考がスタート。選択肢が少ないから壁にぶつかり、思考停止になる。パフォーマンスが最大化される「適材適所」の難易度を劇的に上げてしまっています。
逆にいうと、本質以外の条件を排除すると「適材適所」が実現しやすい。それを身をもって体験しました。反省と自信の両方です。

組織と個人の在り方は変わる。それは時代の流れ的に間違いないのですが、どう変わる?よくなる?よくできる?こうやるとうまくいかない等を体験できたのは大きかったです。身を持って経験したので、スマート経営導入支援も始められました。サービスのお問い合わせはこちら

導入支援はひとまずさておき(興味あれば声かけてください^^)

「経路依存症」があるのではないかと、あえて自社/自分を疑ってみて、「適材適所」によるパフォーマンス最大化を考えてみるのはいかがでしょうか?
「非本質的な条件」がみえてくるはずです。重要じゃないことがみえてきて、重要じゃないことはやらなくてよくなるはずです。

ましてや今、コロナの影響で、前提条件が崩れています。「経路依存症」という視点でモノゴトをとらえなおすことで、ピンチをチャンスに変える大きな一歩になると思います。

今後こういった話をできる限りたくさんポストしていくつもりです。全然関係ない話もたぶんポストしちゃいますが。。もしよかったらフォローしておいていただけると嬉しいです。


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