自分の価値を知ろう:自分の個人的価値を発見、明確化する七つの方法(2021年)
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この記事の著者であるNick Wignallは臨床心理士、ライター、講師、ポッドキャスター。ダラスにあるテキサス南西メディカルセンター大学で臨床心理の博士課程、シカゴ大の社会科学で修士号取得、ダラス大の英文学で学士号を取得。American Board of Professional Psychology(ABPP、アメリカ専門心理士認定機関)の認定を受けている。the Academy of Cognitive Therapy(認知療法・行動認知療法家国際認定組織)の認定取得。Association for Behavioral and Cognitive Therapies(アメリカ行動療法認知療法学会)とニューメキシコ心理学会の会員。
北カリフォルニア出身、現在は妻と3人の娘とジャーマンシェパードと一緒にアルバカーキで暮らしている。
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自分の価値を知ろう:自分の個人的価値を発見、明確化する七つの方法(2021年)
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あなたは自分の価値についてどれだけのことを知っているだろうか?
あなたが思っているほど、あなたは知らない可能性が高いのではないだろうか、もしくは、少なくとも、あなたが知りうる限りまでは知らないのではないだろうか…
価値とは、人生の地図のようなもの:
それは、人生の多くの困難や障害において、我々が、進路を見つけるために役立つもの。自分の目的地や目標に(それがどんなものであれ)辿り着けるように。
残念なことに、我々の多くは、最終的に、地図無しで人生を乗り切ることになる。
我々は、困難な状況に直面した時、即興で対処する傾向にある(直感で、最善を願って)。
問題は、ジャンクフードの誘惑に抵抗することだろうが、結婚すべきか止めるべきかだろうが、直感を信じるのは、容易に、後悔をする決断につながりかねない、ということ。
価値は、その解決策である。
価値とは、導きとなる規範(principle、原理、ルール・原則)であり、不確実性や恐怖、怒りのような強力な感情に対し、抗い進む際に、あなたが良い決断をする助けとなるもの。
自分の価値を知ることは、荒野で迷った時に、地図を見つけるようなもの。
それは、あなたのすべての問題を魔法のように解決することはない、だが、それは、あなたが自信とスキルで航路を切り開く助けとなる。
これよりこのガイドは、
「価値とは実際にはどんなものなのか」、「なぜ自分の個人的価値を明確化することが重要なのか」を探求し、それから、あなたがそれをするために使える実践的テクニックを吟味する。
内容一覧
以下のリンクからこのガイドの望む箇所に自由に飛んでください(*飛べません…)
・個人的価値とは何か?
・なぜ価値が重要なのか:自分の価値をより深く知るための六つの説得力のある理由
・自分の価値を発見し明確化する方法:七つの実践的訓練
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パーソナル・バリュー(個人的価値)とは何か?
価値とは、我々が、それによって生きるために全力を尽くそうとする理想のことである、特に困難な時において。
このガイドは、主に、個人的な価値について焦点を当てているが、まずは、我々が、「価値」という言葉で指す一般的な意味をはっきりさせよう……
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「価値」とは何なのか、正確には?
価値は、ある特殊な事例から始めた方が理解しやすい:
勇気は、多くの人が共通に持つ価値の一つである。
それは、我々のほとんどが、良いものである、と同意するもの。
それは、そこに向かってあなたが全力を尽くす目標、もしくは、理想である。たとえ我々が、常にそこに辿り着けるわけではないとしても。
もし、あなたが千人の人に対し、もっと勇敢になりたいかどうか質問したとして、その内の多くの人が「ノー」と言うのは、想像し難い!
だが、勇気のような価値は、また、我々の行動を導く規範ともなる、特に、恐怖や恥といった強い感情が絡む場合には。
例えば、
あなたの職場の上司が、新たな事業の管理役に志願者を募ったとする。
その事業は面白そうだった、だが、あなたはそれを引き受けるのに少し怖気づいてもいた(もし、自分の力量が足りなかったら?、それで自分が馬鹿を晒す結果になるだけだとしたら?)
この場合、勇気というあなたの価値は、「自分は怖気づいている、だが、この仕事を引き受けることは、全般的には、自分にとって良いことであり、いずれにせよ引き受けるべきだ」と示唆してくれる有用なガイド(導き)かもしれない。
価値の実用的な定義:
価値とは、我々の行動を導く理想である、特に、難しい局面において。
我々は、普段、価値という用語に、勇気、思いやり、誠実、のような大きな普遍的理想を付随させる。
だが、その一方で、価値は、我々の一人一人の人生において、もっと小さく、もっと特殊なものにもなりうる。
これが我々を、個人的価値、という概念へと向かわせる…
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個人的価値とは何か?
また別の例から始めてみよう:
私は、個人的に、好奇心に価値をおいている。特に、知的好奇心に。
私は、学ぶこと、そして、新しい発想・思想について学ぶことが好きだ。
自分が知らなかった新しい観点や新しい概念を紹介されると、私はワクワクする。
また、私は、好奇心は、自分の行動のガイド(導き)として、自分の人生にとって有用であると知った。
自分の好奇心に従うことで、私は、素晴らしい人たちに会うことができた。
素晴らしい体験もできたし、私のセラピストとしての仕事においても大いに役立っている。
だが、これから紹介するのは、さらに小さく、さらにユニーク(特殊)な、とある個人的価値の例である。
最近、私は、あるクライアントと、彼女の個人的価値について話をしていた、そして、彼女は極めて興味深いことを言った:
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バカみたいに聞こえるかもしれないけど、私にとって、プレイフルネス(playfulness、遊び心、気楽さ)は、とても重要な価値なんです。
何年もかけて、私は、遊び心・気楽さを持っていることが(大人になっても!)本当に楽しいだけでなく、私が人生で、より遊び心・気楽さを許した時に、良いことが起きる傾向にあることがわかったんです。
私は、それ(*遊び心・気楽さ)によって、より正直になれるのかなって、例えば、特に、私の人生で大事な人たちと一緒にいる時に。
それに、それは、私が、自分に対して、より正直でいる助けにもなっているんです(他の人が好きだからとか、価値としているから私も大事に考えるべきだ、と思うものだけじゃなくて、自分にとって一番大事なもののことを思い出させてくれるんです)。
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私は、これは本当に素晴らしい個人的価値の例だと思った。
好奇心のように、プレイフルネス(遊び心・気楽さ)は、必ずしも、生きる上で最も大事な価値の上位5位以内には入らない。
なぜなら、これが、親切、正直、勇気、などのような、大きな、普遍的な価値を最も重要なものとするリストにおいて、それらと置き換わるのは難しい。
だが、それは構わない、いくつかの価値は壮大で普遍的かもしれない、だが、だからといって、それらが必ずしも、そうであるというわけではない。
私にとっては、プレイフルネス(遊び心・気楽さ)は、特に大事な価値ではなかったが、私のクライアントにとっては、間違いなくそうであった。
そして、彼女が、それを理解し肯定していたという事実が、信じられないほどに彼女にとって恩恵であったのだ。
誰もが、良いものであり有用であると同意する普遍的な価値(例えば、親切さ)というものは存在するのだろうが、他人にはそうは思えない何かでも、あなたにとっての価値になりうる。
これが個人的価値の背後にある基本概念である。
個人的価値とは、単に、あなたとあなたの人生にとって特別な価値のことである(自分の最高の人生に向けてあなたを導く助けとなる理想)。
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個人的価値の重要性:あなたが自分の価値をもっと知るべき六つの理由
あなたが自分の個人的価値を知ることを後押しするたくさんの恩恵が存在する。
この章では、感情の健康と幸福において、最も大きな影響力を持つ、これらの恩恵の内のいくつかに注目したい。
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1.より自信を感じる
低いセルフ・エスティーム(自信、自尊心、自己肯定感)の根本的原因の一つは、自分は何を求めるべきか、何をするべきか、さらには、どんな人になるべきか、について、我々が、常に、他の人や物を見ている場合にある。
このパターンが習慣となった時、我々は不安・自信のなさを感じ始める、その原因は、我々が、自分の人生で本当に求めるものは何かという決断において、自分自身を信用していないから。
だが、あなたが自分の個人的価値を明確化することを学ぶ時、あなたは自分自身に対する信頼を築き始める。
そして、あなたが自分自身を、さらに信頼し始めれば、自信も遅れを取らないだろう(*すぐに追いついてくるだろう)。
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2.自分の恋愛関係が改善する
健全な恋愛関係において、最も過小評価されているのは、アサーティブネス(assertiveness)である(それは正直に、かつ敬意をもって、自分が欲しいものと欲しくないものを意思伝達する能力)。
だが、自分が欲しいものと必要なものをアサーティブに伝えるのは、相当なチャレンジになりうる!
アサーティブであることに対する最大の障害の一つは、自分の個人的価値の明確性の欠如にある。
考えてみれば、当然ながら、あなたが本当に自分の価値を知るための時間を作らない限り、自分は何が欲しいのかを伝えるのは難しい!
あなたが、自分の価値の明確化について上達すれば、アサーティブでいることは、とても簡単になり、その結果、恋愛関係は大きく改善する傾向にある。
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3.あまりにも怠けることを止める
我々は皆、怠けることもある。
事実、ある程度までは、怠けは普通のことであり、健全な現象でさえある。
なぜなら、それは、あなたが正しい物事に取り組んでいないことを示すものであるから。
当然ながら、我々は皆、自分が好きではない、もしくは、楽しくない、もしくは、意味があると思えない、仕事をしなければならない時もある。
だが、あなたが自分のほとんどの時間を、自分にとって重要ではない仕事に費やし始めると、怠けは、あなたの精神が、あなたを揺さぶり、「おい、これがお前が本当にやっていたいことなのか?」と問う方法になりうる。
自分の個人的価値を、発見し明確化することは、自分にとって本当に大事な仕事は何なのかを理解する助けとなる。
そして、あなたがより多くの時間を、本当に大事なことに使えるようになると、怠けは、勝手に解決策を見つける(*自然に治まる)。
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4.心配が減る
心配の習慣を解消し、いつも感じている不安を減らすための、最も強力な方法の一つは、自分の価値でそれを「上回る」こと。
心配というものは、重力のようなものを、我々の注意に対し使ってくる。
それゆえに、それらを放っておくのは、とても難しい。
心配と不安のスパイラルに陥らないための最善策の一つは、我々が、自分の注意を向けるべき明確で説得力のある代替を持つことである。
そこで、価値の出番となる…
もし、あなたが、自分の価値(人生であなたにとって一番大事な物事)の発見と明確化に、自分の時間を使ったことがあるなら、その時見つけたそれらの価値は、自然に、あなたの注意を、心配から逸らし、それら(*価値の方)に向けさせるだろう。
あなたが自分の価値を知っている場合、それは、綱引きで自分のチームに余分に二人か三人加えているようなものだ!
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5.人生でもっと楽しみを見つける
これは当たり前に聞こえるかもしれない。
だが、私は、人々が、そんなにも不幸である理由の一つは、往々にして、人生にあまり楽しみを持っていないからだと思う。
そして、それについては多くの理由があるだろう、だが、私が充分に話題にされていないと思っている概念がある、それは:
楽しみとは、ただ、生じるものではなく、あなたが、積極的に育てる必要のあるもの。
そして、楽しみを育てることの最も重要な部分の一つは、あなたが自分の価値を知っているか否かにかかっている。
もし、楽しみが、自分の価値に向かって進むことにある場合、どっちの方向に行けば良いかわからないと、酷く難しくなる!
我々が、意図的に振り返る時間を作り、自分の個人的価値を明確化する時、自分の人生のさらなる楽しみと幸せの準備が整う。
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6.自分の目標から逸れない
我々は皆、目標を持つ。
時には、それらはとても小さなもの(食事の後にすぐに皿洗いをする)で、時には、それらはもっと大きなもの(20ポンド=9キロ減量する、より良い夫になる)である。
そして、我々のほとんどに関係することだが、自分の目標(たとえ、それがとても小さなものであっても)を逸れないことは、チャレンジ(難しい仕事、挑戦)となりうる。
そして、最大の、だが、最も不当に評価をされているその理由の一つは、目標の背後にある自分の個人的価値が、充分に明確ではないことにある。
明確で、良く定義された個人的価値は、あなたが自分の目標を追い求め逸れないでいるためのモチベーション(やる気)をスーパーチャージ(過給、強化)する。
簡単な例:
あなたの目標が週に4回のエクササイズ(運動、トレーニング)をすることなら、以下の価値の中で、どれが、よりやる気を高めるだろうか:
1.健康
2.30秒おきに息切れすることなく自分の子供と走り回って遊べるように健康になる
明らかに、後者である!
なので、自分の価値を発見し明確化することの最大の恩恵の一つは、あなたが自分の目標に到達し、そこから離れないでいるためのモチベーション(やる気)を改善してくれること。
でも、実際に、自分の個人的価値を発見するにはどうすればいいの?
我々はここまでで、個人的価値とは何であるか、そして、なぜ自分の価値を知ることが大事なのかという話をした。
さあ、メインイベントに取り掛かろう、そして、これらの価値を発見し明確化するための実践的な戦略を吟味しよう。
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あなたが自分の自分の価値をより良く知るのに役立つ7つの実践練習
人生のほとんどのエリアでそうであるように、洞察は必須ではあるものの、変化を起こすには充分ではない。
通常、充分な量の行動も求められる!
なので、もし、あなたが、本当に、真剣に、自分の価値をより良く知りたいなら、以下のテクニックを読んで、興味深く思えるもの、もしくは、最も自分に適合すると思えるものを一つ見つけ、実際に試すことを誓ってほしい。
以下、自分の価値をより良く知るための方法:
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自分のフラストレーション(苛立ち・無力感)を反転させる
我々は、結果的に、自分のフラストレーションを避けてしまうことが多々ある、というのもフラストレーション(苛立ち)というものは…その…苛立たしいからである!
だが、ここでの問題は:
自分のフラストレーションと向き合い、探究することは、難しいこととなりうる、だが、それらが、とても有用な情報を含んでいることが多い、ということ。
我々が、何か、もしくは、誰か、に対して苛立つのは、通常、ある程度、我々が何かを妨害されているからだ。
実際の例:
あなたは、冗長な話をする部長に対して苛立っている。
彼は、週一のミーティングの時に、自分のチームが生産性を維持し、最適な方法で本当の問題点を解決することを妨害している。
このフラストレーション(苛立ち)を探究するのは有用になりうる。
それは、あなたに、効率が自分にとって重要な価値であるということを教えてくれるかもしれない。
もしかすると、それは新しい部署に移動すること、もしくは、自分の価値とより共存できる会社に移ることさえ、検討するに値するかもしれない。
もし、あなたが自分の個人的価値を特定することに困っている場合、自分の苛立ちを反転させることを試してみてほしい:
・自分の人生の中で、あなたを頻繁に苛立たせる10から20個のことを箇条書きする
・それぞれの苛立ちについて、自問する、「自分が達成することを妨害されている目標は何か?」、そしてそれを書き出す
・最後に、それぞれの目標について、自問する、「それが私の価値について、私に教えてくれているかもしれないものは何か?」
そして、思い出してほしい…
個人的価値というものは、必ずしも他の人たちにとって価値があるものではない(ただ、あなたにとって価値のあるものである!)
多くの人が自分の価値を特定することに苦労する原因は、彼らがそれを正当、もしくは、そこまで重要、だと思っていないことにある。
もしくは、彼らは、自分が、「小さな」、または、「取るに足らない」ことについて、こんなに苛立つ、もしくは、昂ぶるのは馬鹿げていると思っているからだ。
そうではなく、これらの「小さな」嗜好・好みに敬意を払ってみてほしい、そして、それらが、あなたが自分の価値を知ることについて、あなたに何を教えてくれるかを見てほしい。
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バケット・リスト(死ぬ前にやりたいこと、成し遂げたいことの箇条書き)を書く
あなたが、バケット・リストのことを知っている可能性は高いと思う。
基本的には、あなたが死ぬ前に(バケットを蹴る前に)やりたいことのリストである。(*16世紀、家畜が屠殺時に吊るされるバケット(木枠・くびき)を蹴ることから)
・マラソンを走る
・離れて暮らしている兄弟と関係を回復する
・イタリア語を流暢に話せるように
・ギターを弾けるように
・マチュピチュに行く
・個人事業を始める
・小説を書く
・など
さて、バケットリストの面白いところは、そのことについて誰もが耳にしたことはある。
そして、自分のバケットリストについてワクワクした、が、ほぼその誰もが実際に書くことはなかったこと!
我々のほとんどが、自分の人生で他の何よりもやりたいことについて、単に書くだけのことに時間を取らないなんて変じゃないか?!!
いや、ほとんどのチャレンジがそうであるように、あなたが実際にバケットリストを作っていないであろう事実は、チャンス(機会)が変装した姿かもしれない…(*好機かもしれない…)
その理由:
自分のバケットリストを作ることは、自分の価値を暴露・解き明かす強力な方法である!
例えば、あなたは、20分か30分かけて、自分の人生の最大の目標と夢を走り書きした、としよう。
そして、最終的に、あなたは、30個ほどの項目を自分のバケットリストに挙げた、としよう。
そして、それらをスキャン(精査)してみると、あなたは興味深いパターンを見つけた:
それらの項目の中の半分以上が旅行に関するものだった。
これは、新しい場所を旅し探索することがあなたにとって重要な価値であるかもしれないことを示唆している。
もしくは、あなたは、新たに作ったバケットリストを精査している、としよう、すると、あなたは気付く、そこに書かれた項目の多くが、性質的にかなりソリタリー(孤独(を好む))なものだと。
これは、ソリチュード(独りで居ること)が、実際に、あなたにとって重要な価値であることを示唆しているかもしれない。
そして、あなたは、必ずしもバックパックを背負って東南アジアを独りで一年間探訪する必要はないにしても、日常生活で一人でいる時間を増やすことには、恩恵があるかもしれない。
なので、あなたがまだしていないなら、土曜の朝の30分を使って、紙とペンを用意して座って、自分のバケットリストのための項目のブレインストーミング(矢継ぎ早に思いつくままに提示すること)を始めてほしい。
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*ピーター・ティール・クエッションを自問する
*Peter Thiel、ドイツ系アメリカ人起業家・出資投資家、PayPalの共同設立者、フェイスブックの最初の外部出資者
彼の本、「ゼロからイチへ:起業、即ち、未来を作り上げること、について」の中で、ピーター・ティールは、序章を次の文で始めている:
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私が、誰かに対し、仕事の面接をする時は、常に、この質問をしたい:「ごく少数の人しかあなたに賛同しない重要な事実、とは何ですか?」
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私は、これを無限に興味深い質問だと思う。
私は、これを雇用において、使ったことはないが、自分や自分のクライアントに対して、価値発見の道具としてよく用いる。
この質問がこれほど強力なのは、「継承的価値(inherited values)を、より個人的な価値(personal values)の中から区別すること」を、あなたに促すからだ。
ちょっと待った、継承的価値とは何だ?
うむ、良い質問だ。
継承的価値も、その他の価値と同じ価値の一種である、だが、それは、あなたが、他の人、もしくは自分の属する社会・文化からより一般的に、受け継がれることによって、持つようになった価値である。
さらに言えば、それはあなたが、ただ何となく、それほど鑑みることも審議することもなく、受け入れた価値である。
例えば、丁寧な言葉遣いは、私にとっては、継承的価値である。
私は子供の頃から、「お願いします」と「ありがとうございます」を言うことは正しい行いだと教えられた。
なので、私は(ほとんどの場合)言われる通りにし、そして、そうすることを続けている。
私は、これを私の両親から継承した、そして、それが、自分にとって、大抵の場合、うまく行ったので、私はそれを続けている。
だが、正直に言うなら、私は、なぜ、礼儀正しく在ることが自分にとって重要な価値なのかに関して、実際には、一度も、真剣な哲学的考慮検討をしたことはない。
さて、問題は:
継承的価値は必ずしも悪いものではないということ。
実際には、我々の価値は、すべて、ある程度までは、継承されたものである。
しかしながら、あなたの価値体系のすべてが継承されたものであり、あまり深く検討していない思い込みである場合には、危険となりうる。
例えば、
私は、最近、あるクライアントと仕事をしていた。
彼女は、自分が育った家庭において、いかに権力への服従がとても重要な継承的価値だったかを語った。
そして、彼女は、その価値が、自分が大人になった後の人生で、不安とアサーティブネス(*自分の要求を正直かつ敬意を持って相手に伝える能力)に関する深刻な困難へと結び付いていることについて、実際には一度も、疑問を持ったことはなかった、と語った。
我々は共に取り組む中で、その一環として、この継承的価値の検証を始めた。それが、今現在の彼女の生活において、どの様にしてうまく機能しているのか(または、していないのか)を知るために。
その結果としては、
彼女はその価値に大きなアップグレード(改良)を加えていた。(つまり、幾多の考慮検討と実験を通して、彼女は、自分の人生における、ひとつの価値としての服従の優先順位を下げていた)
それにより彼女の、自分の要求をよりアサーティブに伝達すること、そして、自信を作り上げること、に関する取り組みは遥かに簡単なものとなった。
わかったわかった。だから、どうして、このピーター・ティール・クエッションが自分の価値を知る役に立つんだ?
ピーター・ティール・クエッション「ごく僅かな人だけがあなたに同意する重要な真実とは何ですか?」は、
自分の価値の中で、意識的な考慮もしくは検討をあまりせずに、単に継承しただけのものがどれだけあるか、真剣に検証することをあなたに強いる。
この質問について、いくらかの時間を費やした多くの人たちが発見するのは、「自分は、ほとんどの人が同意しない信念をあまり(全くではないにせよ)持っていない」ということ。
そして、これは必ずしも悪いことではないが、一方で、それは、あなたが過剰に伝統的である、または、過剰に礼儀正しい、ことを示すものにもなりうる。
そして、そうであった場合(あなたの価値のすべて、もしくは、ほとんどが志向性(intentionality、*物事を関連付けたり指し示す意識の働き?)なしに継承されたものである場合、あなたは最終的に、不幸と不満になりうる。
なぜなら、あなた自身の要求、嗜好、欲求が、表現され育てられる方法がない。
さて、問題は:
これは時間をかけて考慮すべき質問であり、単に、一度自問すればよいというものではないということ。
本気でこの質問を深く考慮するように自分を促すことができる、偉大な実践的方法とは、付箋に書くこと。そして、それをどこか目立つ所に貼っておくこと。例えば、パソコンのモニターの端、または、車のダッシュボード(計器盤)。
繰り返しになるが、私は、継承的価値自体は、何も悪くない・間違っていない、ということを強調しておきたい。
ここでのトリック(コツ)は、あなたが継承した価値と、自分で発見し個人的に作り上げた価値の間に、ちょうど良いバランスを保つこと。
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パーソナル・ビジョン・ステートメントを作る
パーソナル・ビジョン・ステートメントについては、様々な考え方がある、だが、その基本概念は:
説得力のある「最高の自分」の概要を書き表すこと。
つまり、あなたのパーソナル・ビジョン・ステートメントとは、自分がなりたいと望む人間の信条・目的を言葉にしたものである。
バケット・リスト・ブレインストームは、あなたがやりたいことの特殊なビジョン(想像図)を作り出すことだったが、パーソナル・ビジョン・ステートメントは、あなたがなりたい人物の特殊なビジョン(想像図)を作ることである。
そして、バケット・リスト・ブレインストームと同じように、パーソナル・ビジョン・ステートメントもまた、あなたが、自分の価値を知る助けとなるパターンとテーマ(主題)の発見に役立つ可能性がある。
あなたはパーソナル・ビジョン・ステートメントを、あなたが望むどんな方法ででも行うことができる、だが、あなたが始めるのに役立ついくつかコツを紹介する:
1.あなたは自分のどんな性質を育てたいか?
自分の子供に対してもっと我慢強くなる。
自分の友人にとってより良い話の聞き手となる。
失敗した時に、自分に対してジャッジメンタル(判断的、審判的)になるのを弱め、よりセルフ・コンパッション(自分に対して思いやりを持って接する)になる。など。
2.あなたはどんな習慣を作りたいですか?
運動を継続的に行う。
年一で隠遁生活を行う。
夕食は一人前にしておく。
毎晩フロスで歯間清掃する。
少なくとも月いちで旧友と電話する。など。
3.自分がいない時に、他の人に自分のことをどう言われたいか?
優しい。助かる。思慮深い。
決断力がある。元気。
残酷なまでに実直。
思いやりがある。穏やか。面白い。支えてくれる。など。
4.自分の人生の物語で、乗り越えるべき最大の障害は何か?
自分のネガティブ・セルフトーク(否定的な自分への語りかけ)。
自分の思考を口にすることを恐れること。
恋愛関係が深く、そしてより精神的に親密になり始めると、自分が好きな人のことを突き放してしまうこと。など。
5.あなたの個人的ヒーローは誰?
フランク叔父さん、彼はいつも純粋な関心を自分に持ってくれていた、子供だった自分に対しても対等に接してくれた。
キダー先生、高一の時の幾何学の先生、彼女は人の良いところを見ていた。など。
注意:これについてあまり考えすぎないようしてほしい、でないと完璧主義的になってしまう。
・あなたのパーソナル・ビジョン・ステートメントはあなたが望むどんな形にもなりうる。
ページの半分にも、20ページにもなりうる。
旧式のタイプライターで打ち出されたものにも、手書きにも、絵を使った漫画形式にもなりうる。
お洒落な革のカバー日記に書かれたものにも、スマホのメモアプリに書かれたものにもなりうる。
・あなたは、いつでも、自分のパーソナル・ビジョン・ステートメントを更新、改訂、再読再考、をしてもよい。
パーソナル・ビジョン・ステートメントに関しては、「正しいやり方」は存在しない。
これは、あなたがとにかくやってみて、そして、時々、再読再考しては更新すべきものである。
端的に言うと、「パーソナル・ビジョン・ステートメントを作る」ということは、「あなたはどんな人になりたいのか、最高の自分とはどんな人物かに関して、明確化し具体化するための時間を少しだけ作る」という意味でしかない。
あなたがこれをする時、否が応でも、ありとあらゆる個人的価値があなたの目の前に飛び出してくる。
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自分の価値を5つの「なぜ」で深堀りする
「5つのなぜ(5 Whys)」は、昔からあるテクニックで、コーチやセラピスト、アナリストなどの多くの専門家が、何かの根本的原因に辿り着くために用いる。
その基本概念は、我々の物事に対する説明は、いくぶん、表面的なものになる傾向がある、ということ。
つまり、我々は、「上辺だけの説明を超えて、本物にたどり着く必要がある場合が多い」ということ。
例えば:
・なぜ、報告書が時間通りに提出されなかったのか?
ダニーがだらだらやってたからだ。
・なぜ、ダニーはダラダラしていたのか?
言われてみれば、ダニーはジュリアの仕事を肩代わりしていた、だから手に余ってしまっていたのかと…
・なぜ、ダニーはジュリアの仕事を肩代わりしていた?
彼女が、「メンタルヘルス・デイ(休養、休暇)が必要」と言った。
・なぜ、ジュリアはメンタルヘルスデイが必要だったのか?
どうやら、過労を感じたという理由で、彼女は先月、三度、休みを取っていたようだ…。
・なぜ、彼女は過労を感じたのか?
通常の作業量(正常な作業量)を決定するシステムがないからだ。
ということで、我々は、比較的怠惰で表面的な解答(怠惰とは、ほぼ常に決まって怠惰な説明である)から、遥かに深く座した構造的説明に到達した。
さて、鍵となる発想は、これと同じプロセス(工程)を自分の価値に対して応用すること。
そしてこれが重要なのは、我々は、「あなたの個人的価値は何か?なぜそれが重要なのか」、という問に対して、多くの場合、表面的な回答をするからだ。
その例:
・何が、あなたの一番大事な個人的価値の一つとして挙げられますか?
健康でいること。
・なぜ、健康でいることがあなたにとってそんなに大事なんですか?
医者から、より健康になる必要がある、と言われたからだ。
・なぜ、あなたは、より健康になる必要があると考えるのですか?
自分の父親のように早逝したくないからだ。
・なぜ、あなたはあなたの父親のように早逝したくないのですか?
彼は、生きていれば体験できたかもしれない、人生のあまりにも多くのことを逃してしまったからだ。
・なぜ、人生を可能な限り味わい尽くすことがあなたにとってそれほどに大事なのですか?
私は、可能な限り、充実した時間を、私が愛する人たちと一緒に過ごしたいからだ。
・なぜ、あなたが愛する人たちと時間を共に過ごすことがそれほどに大事なのですか?
ええっ、わかんないよ…、自分の娘たちと良い話ができた時に感じる感覚や、親友とNBAの冗談を言い合っている感覚が、ただ好きだからじゃないかな。
いいかな、健康でいることを価値とすること自体には、何も問題はない。
だが、考えてみれば、それは少し曖昧である。
曖昧な価値の欠点のひとつは、それがあまりやる気を与えるものではないこと。
より継続的に運動する、は、ほぼ決まって皆がする新年の抱負のナンバーワンである。
にもかかわらず…、それを完遂できるのはごく少数である。
なぜか?私は、彼らが健康であることに本当は価値を置いていなかったからだとは思わない。
私は、彼らが価値の明瞭化を充分にできていなかったからだと思う。
「健康でいること」には、あなたを、暖かく心地よいベッドから起こして寒い外をランニングさせるだけのやる気を出させる力はない。
だが、30年以上の、自分の娘との素晴らしい会話や、仲間とバスケを見て過ごす時間は、そのトリックをするかもしれない(*そのやる気を起こさせるかもしれない)。
なので、あなたがいくつかの核となる個人的価値の特定を済ませれば、
あとは、それらの価値に対して”5つのなぜ”を問い、
なぜそれらが実際に大事なのかというより具体的な理由を掘り下げようとすることで、
あなたは自分の価値をさらに良く知ることができる(そしてそれらを明確化することができる)
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自分の人生で最も幸せな日を三つ記述する
ここまでくると、価値を発見することに関するキー・アイデア(鍵となる概念)は、パターンを探すことにあると、あなたは察しているかもしれない。
なぜなら、事実として、あなたは、おそらく、既に多くの価値を持っているからだ(少なくとも何らかの基本的形態で)。
我々は、ただ、それらを、よりはっきりと見る方法を学び、そして、それらをもう少し詳細にわかり易くする必要があるだけ。
価値の発見のための発想の有用な源泉のひとつは、あなたの過去である(具体的には、あなたの過去に過ごした最高の時間)。
私が自分のクライアントに「処方」するお気に入りの実践練習のひとつは、彼の人生で最も幸福だった日を三つ考えてもらうこと。
それから、それぞれの日について可能な限りたくさん思い出してもらう。
・時には、これをするにあたって、昔の写真アルバムを開いてその頃の感じがどんなだったかを見ることもある
・時には、その最高の日を共に過ごした人に電話をして、彼らの観点からどんなことがあったのか、それはどんな感じだったかを聞くこともある
・時には、それはただ、その最高の日の物語を書くだけの場合もある(ある一日を物語形式にした場合、あなたが思い出す詳細の数は驚くべきものだ)
いずれにせよ、あなたの一番最高に幸せだった日々は、多くの場合において、自分が何を一番大事にしているかについて、多くのことをあなたに教えてくれる。
例えば、あなたの最高に幸せだった三つの日々がすべて何か新しいこと、もしくは、創作に関するものだった場合、それは創造性があなたの人生において、あなたが思っているよりも、大きな価値を持っていることを示唆しているかもしれない。
もしくは、あなたの最高に幸せだった日の三つがすべて、顕著に、時間の圧力や予定の期限からの解放・自由にあった場合、(予定ではなく)その場の自然な成り行きに合わせること、もしくは、個人的自由が、過小評価されているあなたの価値であるというヒントかもしれない。
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友人に聞いてみる
私がいつも最後に使う、個人的価値を発見し、詳細化・明確化するのに、助けとなるテクニックは、仲の良い友人と血縁者をあなたを助けるために引っ張り出すこと。
個人的価値は私的なものだが、我々がそれらを自覚するためには、外部の誰か別の第三者の観点の助けを借りる必要がある場合もある。
つまり、あなたを良く知る人に尋ねることは、シンプルに、あなたの価値に光を当ててくれるかもしれない。
そして、あなたは、それを、本当に、単純かつ直接的にしておくこともできる。
あなたが自分の価値をもう少しよく知るために友人に尋ねるやり方の例:
・ようティム、俺最近、自分にとって大事なこととか自分の価値についてちょっと考えてるんだよね…。
ちょっと変に聞こえるかもしれないけど、お前が知ってる範囲で、俺が一番大事にしている個人的価値って何だと思う?
・やあ母さん、当たり前だけど、母さんは俺のことを誰よりも知ってるよね…、変な質問かもしれないけどさ、俺の一番大きな、っていうか、一番大事にしてる価値って何だと思う?
母さんから見て、俺は何を一番大事にしてる?
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注意:人によっては、良い、高品質な答えをぱっと記憶から出してくれるかもしれない。
だが、それを考えるのに一日がそこら必要になるかもしれない人もいる。
あなたが尋ねた人が返答に苦労しているようなら、彼らに数日考える口実をあげて、後日また聞きに来ると知らせよう。
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価値の更新に関する最後の考察
価値が、完全に静的で不変のものであることは稀だ、ということを覚えておいてほしい。
僅かな例外を除けば、我々の価値のほとんどは(特に、個人的価値のほとんどは)、時間と共に、人生のそれぞれ異なるコンテクスト(背景、状況)とエリア(場面)に応じて、変化、もしくは、調整されるべきものである。
冒険的であること、は、二十代においては本当に大事な価値かもしれない。
だが、あなたが落ち着いて家庭を持つと、勤労や親密さがより大事になる。
それとも、もしくは、そうではないかもしれない!
正確には、あなたは「落ち着いた」ので、冒険性が、若く独身で気楽だった頃よりも、さらに大事になったのかもしれない!!
これが大きく暗示するのは、個人的価値を発見し詳細明確化することは、あなたが一度やってそれで片付くというものではないということ。
それは、現在進行形のプロセスであり、理想的には、我々の生活において定期的に継続してゆくべきものである。
なので、自分の価値を発見し詳細化・明確化・具体化することに加え、自分の個人的価値を、頻繁に更新することが重要だと私は考える。
つまり、自分の価値を再考する時間を作り、個人として、自分の人生のどこにいるのかを念頭に、それらの比較的な重要性を決定すること。
定義では、価値とは、比較的には、固定的なものである(頭をよぎって行く思考、感情、気分、思考よりも、間違いなく固定的である)。
だが、だからといって、価値が全く変化しないというわけでも、進化しないというわけでもない。
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あなたが知っておくべきこと
個人的価値とは、導きとなる規範である、あなたの人生で、あなたがより良い方向に進む助けとなるもの、特につらい時に。
あなたが自分の価値を知り、それらについてはっきりと理解すると、不確定性や混乱、もしくは、恐怖や苛立ち、という難しい感情と直面する時、良い判断をすることがより簡単になる。
なので、あなたの目標やチャレンジがなんであれ、少しの時間を取って、自分の個人的価値についてよく考え、そして、それらを具体的にしてほしい。
自分の価値を良く知ることによって得られる目的意識、明確性、やる気は、その労力に見合うだけの価値が十分にある。
最新情報:このガイドにある概念を応用した本当に素晴らしい模範例を見たい人は、Nick Costelloeによる*この記事を読んでみて。
*コンピューター系の?エンジニアの人で、友人とアウトドアに行くのが個人的価値という記事だったような…、当時、訳し読みはしましたがちょっと許可もらうのががが、ためらわれますのでででで、興味ある方は原文かグーグル先生で読んでみてください…
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