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大好きだった貴方はもういない


上京して2年目の初夏、貴方と出会った。

会社員をしながらカメラマンをしていた貴方は、カメラマンを目指していた僕からしたら憧れの存在で、貴方の撮る写真が大好きだった。

お酒を飲んだら人前で甘えてきたり

ゴミが捨てれなくて部屋の机がいっぱいになっていったり

そんなダメな所すら許せる程、貴方の事が好きだった。

月並みな表現だけど、貴方といると、空がいつもより蒼く見えた。

僕の世界を鮮やかにしてくれた。

そんな貴方と数ヶ月程、関係が続いた。互いに好きだと言い合っていた。

だけど貴方と結ばれる事はなかった。

僕はその時、将来的には女性と結婚して家庭が欲しかった。

貴方は一生添い遂げる覚悟で付き合う相手が欲しかった。

理想がすれ違った貴方とサヨナラをして僕は東京から離れた。

そして2年後また僕が上京するってなった時、ギリギリまで家が決まらなくて困っていた時、

貴方はルームシェアしようって言ってきた。

「それって同棲みたいだね」と冗談ぽく笑いながら言う僕に、

「同棲でしょ」って冗談か本当か分からないことを言ってきた貴方。

その時好きだった人と別れて、気持ちが落ちていた時に自分のダメなところに沈んでくる薄っぺらい言葉。

2年前のあの鮮やかだった記憶が蘇って、期待してしまった。

でもその連絡を最後に音沙汰も途絶えて、僕は家を契約して、上京してしばらく経ったある日。

貴方のSNSに、「彼氏と同棲しました!」と書かれた投稿と幸せそうな顔をしている恋人達の姿。

音沙汰が途絶えた時点で分かってた。見ないフリをしただけ。

心の中でもう1度、貴方にサヨナラを告げた。


しばらく経った今、ふとSNSで貴方を見かけたのでこれを書いてます。

それでね、ふと思ったんだ。


僕が大好きだった貴方はもういない。

きっと貴方に会っても心は躍らない。

貴方に会っても僕の世界は鮮やかにはならない。


僕の「好き」から貴方が消えた。

多分、そんな感じ。


漠然と結論に至った僕は貴方のSNSを見るのをやめて、

どこかスッキリした気持ちになりました。

今まで言葉に出来なかった気持ちが沢山詰まっていて

その内の1つが貴方だったみたい。

ありがとう。貴方は何にも知らないんだけどね。

気持ちが軽くなったところで僕は寝ます。

おやすみなさい。またね。








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