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【IF】ヨハン・クライフが現代によみがえったら?【Short letter】

過去を遠くまで振り返ることができれば、未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう。

僕が尊敬するウィンストン・チャーチルの言葉です。チャーチルは第二次世界大戦のときのイギリスの首相です。

未来ばかり見ているだけでは、本当に未来について考えることはできません。過去から学ぶことで未来をよく考えることができます。僕はそのようにこの言葉を解釈しています。

この言葉はサッカーにも当てはまると思います。未来のサッカーはどうなるのだろうか。それを考えるヒントは過去に眠っているかもしれません。

サッカーの戦術では過去に流行った戦術の考え方は用いられリバイバルされることがあるそうです。一見、最新かつ最先端の戦術に見えても、エッセンスは昔から使われてきているものだったりします。

最近、何気なく自分がサッカーを見るようになる前の選手について動画を見たり、調べたりするようになりました。これも過去を遠くまで振り返ることではないかと思います。

今回の記事では、僕がプレー動画を見て「こいつはすごいぞ!」と思った、かつての名選手を紹介します。そして有料部分では、過去の名選手が果たして現代サッカーで通用するのかどうか考えていきたいと思います。

カルロス・バルデラマ(コロンビア)

知り合いに「絶対見て損はない」と言われた選手が、「獅子王」ことカルロス・バルデラマでした。

バルデラマはFIFAが選ぶ「偉大なサッカー選手100人」にコロンビアから唯一選出されており、コロンビアを主将かつ背番号10番として1990年、1994年、1998年のワールドカップ出場へ導いています。

一目で見て分かったのは圧倒的パスセンスです。「えっ、ここ通しちゃうの?」といったスルーパスやゴールに直結する決定的なパスをじゃんじゃん出します。

またボールをキープするときの懐の深さも特徴的です。僕が好きなアルゼンチンのフアン・カルロス・リケルメにもちょっと似ているなと思いました。

バルデラマのプレーで最も有名なのは、1990年イタリアワールドカップの1次リーグ・西ドイツ戦でのスルーパスです。

このスルーパスに反応したリンコンがゴールを決めたことにより、コロンビアは終了間際で西ドイツに同点に追いつき決勝トーナメント進出を決めました。今見てもこのときのスルーパスは時が止まったような美しさです。

ロベルト・バッジョ(イタリア)

僕はカルチョ(イタリアサッカー)が大好きなので、バッジョの名前は当然知っていました。しかし僕がカルチョを見始めた頃はキャリア晩年だったこともあり、じっくりプレーを見ることはありませんでした。

バッジョはセリエAで205ゴールを挙げ、1993年にはバロンドールを受賞しています。彼のキャリアで最も有名なのは1994年のアメリカワールドカップ決勝のPK戦でボールを高く打ち上げてしまい、イタリアが優勝を逃したシーンでしょう。しかし、そのシーンが彼の本質を表しているわけではありません。

トラップやキックの所作を見て思いました。「これは惚れてしまう」と。イタリア中でなぜこの選手が魅了され、人々が夢を託し、愛したのかが一瞬でわかりました。

特に驚いたのはキャリア最晩年のブレシア時代の動画を見ても、そのポテンシャルが錆びついていないことでした。それどころか益々輝きを増しているように見えます。

どうしてもっと早くこの選手に魅了されなかったのだろうか……。そう後悔したくなる選手です。

ヨハン・クライフ(オランダ)

クライフは現代サッカーに最も影響を与えた選手であり監督の一人です。マンチェスター・シティの監督をつとめるペップ・グアルディオラの師匠にあたります。

選手としてはアヤックスやオランダ代表で「トータルフットボール」を体現したピッチ上の指揮官でした。UEFAチャンピオンズカップ(現在のUEFAチャンピオンズリーグ)を3連覇、バロンドールを3度受賞しています。監督としてもアヤックスやバルセロナで実績を残しています。

彼のプレーでびっくりするのはスピードです。およそ50年前の映像とは思えません。今の選手かなと思わせられるくらいです。ボールを持ったときのスピードがほとんど落ちないのが特徴です。

また、クライフといえばクライフターンでしょう。軸足のかかとの後ろを反対の足のインサイドで通すターンです。当然、切れ味抜群です。敵はみな引っかかります。

何人も往年の名選手の映像を見てきましたが、僕が一番驚き魅了されたのはクライフかもしれません。それだけテクニックもスピードも素晴らしいものをもっています。

クライフは現代で通用するのか???

ここからは、有料公開にさせていただきます。

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