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今、一番目が離せないクラブはインテルだ

イタリア・セリエAは7節を消化し、Aマッチウィークの中断期間を迎えました。

僕はエンポリ、ラツィオ、ナポリを中心に試合を見ていました。しかし、今最も目が離せなくなっているクラブが別にあります。それはインテルです。

インテルvsアタランタとサッスオーロvsインテルを見たのですが、選手たちの戦術理解度の高さに目をみはりました。

どちらの試合も流れが相手側に傾きかけたとき、インテルは選手交代とともにフォーメーションと戦術の変更を行います。

試合途中の戦術変更は、相手の意図を外し混乱させ対応に時間をかけさせることができます。しかし、味方にとってもその戦術通りに動くこと、慣れることに時間がかかります。

インテルの選手たちがすごいのは、選手交代してすぐに戦術変更の内容と意図を理解し、全員がスムーズにその戦術を遂行することです。誰かひとりぐらい付いていけてない選手がいてもおかしくないですが、インテルにはそれがありません。

結果、試合の流れをインテルに手繰り寄せることにどちらの試合も成功しました。

このインテルを率いているのは、シモーネ・インザーギ監督です。

彼は就任一年目にも関わらず多様な戦術を選手たちに植え付けています。通常、就任一年目のキャンプではベースとなる戦術を指導するのでいっぱいいっぱいな場合があります。

しかし、インザーギは複数の戦術をキャンプでしっかり浸透させていたに違いありません。選手たちをその気にさせる人心掌握、戦術を植え付ける指導力、どちらも非常に長けた監督であると分かります。

そして選手交代をするタイミングも絶妙です。ここで流れを引き寄せられるというところで、一気に選手を変え戦術を変更し、実際に流れを自分たちのものとする手腕は評価されてしかるべきです。

褒められるのは監督だけではありません。インテルは選手たちの地の戦術理解能力が高い気がします。監督が植え付けようとした複数の戦術を、短いキャンプ期間の中で自分たちのものにしています。これはそもそも戦術に対する理解能力がないとできないことです。

戦術理解能力とは何かを考えてみます。試合の目的を見失わず、戦術に対応する力だと思います。試合の目的とは相手より多くのゴールを取って勝つことです。戦術を遂行することではありません。あくまで勝つことが目的であることを見失わず、より多くの戦術に対応できる選手は戦術理解能力が高いといえるでしょう。

この地の戦術理解能力はどのように伸ばしていけばよいでしょうか。ベテランの選手が往々にして戦術理解能力が高いと思います。これはキャリアを通して多くの場数を踏んでいるからだと予想できます。

しかし、若手選手の中にも戦術理解能力が高い選手はいます。その選手たちは育成年代の段階から戦術理解能力を伸ばしているのではと思います。その際に忘れてはいけないのが目的です。あくまで勝つために行う手段が戦術です。戦術に対応することが目的になってしまうと、頭でっかちになり「4-4-2はできるけど、4-1-4-1だと動き方が分かりません」といったよく分からない選手が出来上がってしまいます。

話をインテルに戻します。インテルの戦術変更は試合を見るのを楽しくさせ、非常にわくわくします。今季注目するクラブはもう既に決めていたはずでしたが、試合を見るごとにインテルがどんどん好きになっている自分がいます。今後はインテルのことも定点観測していけたらと思っています。