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【酒ノート番外編】「ビール女子」って何?「ビール好き」じゃだめなの?フェミニストじゃないけどさぁ…

いきなり本題なんですけど、皆さんは
「ビール女子」という言葉を知っていますか?

私はよくInstagramでお酒の情報を収集しているのですが、
その際に頻繁に目に付くのが「ビール女子」というハッシュタグ。
その数なんと約38万投稿。すんごい数です。

他にも
「日本酒女子」
「焼酎女子」
「ワイン女子」

などのハッシュタグも数万件の投稿がされており、
「レモンサワー女子」
なるハッシュタグも利用されているようです。本当にすごい。


この「〇〇女子」といった呼称はInstagramの普及以前から
日本には広く浸透している呼びかたですよね。

「山ガール」→登山が趣味の女性
「森ガール」→森に棲んでいるようなナチュラルな服装の女性
「カープ女子」→プロ野球球団の広島カープファンの女性
「肉食系女子」→恋愛に対して前向きで積極的な女性
「草食系女子」→恋愛に対して後ろ向きで受け身な女性
「サブカル女子」→コアな趣味・服装を好む女性

などなど。

参考にさせていただいた
社会人の教科書 さんの 全122種類の○○系女子や○○ガール一覧
という記事を見る限りですが、
そんな呼び方あるんだ…?というイメージの呼称も多いです。


「お前の顔覚えたからな!!」って言いたかった

で、この「〇〇系女子」って呼び方なんですけどね、
私すっごい嫌いなんですよ~~~!!!!(アルミ缶メキョッ)

と言うのも、かなり前にめっちゃくちゃ嫌な思いをしまして、
それからというもの「なんでや!女関係ないやろ!!」
と心の服部平次が強く思ってしまうのです。


きっかけは友達と二人で居酒屋にいた時、
ジョッキが空いたのを確認した友達が
店員さんに二人分の生ビールを注文した際に
横の席にいた男性4人組から突如こう言われた一言でした。


「お姉さん達ビール女子なんだ?俺好きじゃないな~!」
「女の子はサワーとか飲みなよ!!」

note5 いらすとや


私「え、えぇ~~?(心の声)」

急に言われたので私も友達も驚きました。

絡んでくるにしても
「俺らの枝豆食べます?」「ビール女子なんすね(笑)」
くらいのクッションを挟んでほしいものです。


どうやら男性4人組は私らの知らない間に
横の女の子たちが二杯目に何を頼むか
といった話題を密かに行っていたようです。

私たちは一杯目のビールをほぼ同時に空け、
阿吽の呼吸とアイコンタクトで
「あんた次は?」「ビール」「私も~」
と会話をしてから店員さんを呼び、生ビールを注文したその直後。

「うわ~~~~!違うじゃん!!」
と隣の席から聞こえる大きな声。
そこで矢継ぎ早に言われたのが先ほどの一言です。


何が何だかさっぱりわからないまま、何事かと聞いてみれば
・私たちが次に何を飲むか賭けていた
・女の子が二杯目もビールを頼むとは思わなかった
・何を飲むかの相談をしていなかったので興味があった
との事。

勝手に賭け事にされた点は別にいいんですけど、
とにかく私は「ビール女子?俺は好きじゃない!」
という一言がずっと頭の中に残っていました。


ビール女子って言うけど、私としては単に
二杯目もビールが飲みたかっただけだし、
ていうかビールが好きなだけだし、
男ウケを気にすることでもないし、
そもそも「ビール女子」ってなんだよ、
あんたらは「ビール男子」って呼ばれたらどうなの?

とチクチクしたものが胸に刺さったのを覚えています。

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「○○女子」が流行った理由

そもそも「○○系」「○○女子」という呼称が広まったのは、
コラムニストの深澤真紀さんが連載コラムの中で内気な男性を
「草食男子」と命名したのが一般的に認知され、
流行語大賞になった後に爆発的人気となった背景があるようです。
(参考元:ダ・ヴィンチニュース

そのコラムが発表された2006年は
mixiやAmebaといった交流サイトが全盛期であり、
尚且つTwitterがサービスを開始した年でもあるので
ネットスラングを好む世代に浸透して
爆発的に知名度が上昇したのでしょう。

「あの人ってちょっと内気で消極的だよね…。」
という一文を
「あの人草食だよね…。」
と文章自体を短絡化でき日常的に使用しやすいため、
ネットスラングとしてだけではなく
普段の会話でも利用される機会が多かったのも理由ですかね。

いつしかこういった「○○系」という単語は
日常的に使用しても違和感なく利用できるようになり、
その過程を経てそもそもの意味とは
違う意味で誤用される語句も登場しました。


例えばスイーツ女子

そもそも「スイーツ」とは皆さんが思い描く
ケーキとかパフェとかのことを指している訳ではなく、
ある特徴を持った女性を指すネットスラングで、
2ちゃんねるなどの掲示板サイトから発信された
スイーツという言葉は、本来の意味として
・勘違い女
・イタい女

などの意味合いがありました。

ネットやテレビの情報を鵜吞みにし、
「休日はカフェでまったり~♪ここ有名らしいけど前から知ってた☆」
なんて言いながらカフェの食事の写真ではなく
自撮りの写真を投稿するような、
そんな女性を指す侮蔑的な言葉として利用されていたのですが、
「スイーツ男子」というスイーツ好きの男性が
メディアで取り上げられるようになってからは
「スイーツが好きな女性の総称」
となっていきました。


その後、山登りが流行ると
山登りにハマった女性を山ガールと呼び始め、
広島カープが「赤くてグッズが可愛い」という
古参の野球ファンからしたら苦い顔をせざるを得ないブームが来ると
カープにハマった女性をカープ女子と呼び始め、
いつしか「○○系」「○○女子」は
そのカテゴリに属する女性の総称となり……。


そんなこんなで現在、冒頭にも書いたように
「ビール女子」「日本酒女子」などといった
その特定のものが好きな女性を示すもの
として「○○女子」が飽和していきました。

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「○○女子」と「○○男子」の違い

かつて漫画をきっかけに知名度が上がった「オトメン」
女性が好むようなファンシーなものを好む男性の総称。

某有名人から始まり、常識とも呼べるほど知名度が上がった
「イクメン」は育児に積極的な男性の総称。

「ロールキャベツ男子」は一見草食っぽいのに
中身はガツガツした男らしい肉食系の男性の総称。


何か気付きませんか?

「○○系男子」って全部女性発信、女性目線なんですよ。

それでいて、マイナスに繋がるような要素を持っている言葉は
ほぼほぼ無いに等しいんですよね。

例外として化石系・昆虫系、ハイエナ系など
あまり良くない印象のものがありますが、
「スイーツ」のように侮蔑的な意味を持った言葉ではありません。
こちらも社会人の教科書さんに詳しく掲載されています。


「○○女子」って結局は
女性が自身の都合に合わせて勝手に作り上げたカテゴリ名で、
言っちゃえば「サッカー好きな私♡」を表わすのに
「サッカー女子」のハッシュタグを使い、
「女だけど競馬が大好きなの♡」をアピールするために
「競馬女子」やら「UMAJO」を自称しているだけなんですよね。
使用している彼女らは悪意とか皆無なんですよ。
(あくまで私が思うところに、ですが。)

はたまた企業が女性ファンを獲得しようと
「○○女子」のタグが付いた投稿をリポスト・リツイートし、
「私も人気になりたい!」と画策する女性達が
「○○女子」のタグを更に投稿するようになるんですよ。

でも、男性が「○○男子」を自称するタイミングって
「実はスイーツ好きで…」とか
「ぬいぐるみが好きなんです!」といった
女性に対して無害で、高感度が爆上がりするタイミング
コミュニティを広げる際に「〇〇男子」を利用するのみ。

キャンプ好きの人とかも「キャンプ男子」ではなく
「キャンプ好き」「キャンプ好きな人と繋がりたい」
みたいな投稿が玄人さん達は多いと思います。

対して女性はInstagramで
「麻雀女子」「麻雀大好き」「麻雀好きと繋がりたい」
みたいなタグをモリモリのせて投稿するんですよね。
「麻雀好きなんです私!いいでしょ!?」みたいな。

関係ない話ですけど、
「私○○系なんだよね~。」って言ってくる女の人って
ロクでもない女性ばかりじゃないですか?
「私サバサバ系だからさ~。」なんて言う人は
総じてデリカシーが無い人です。経験上ですが。


とにかく「○○男子」は
・女性が男性を勝手にカテゴライズしたもの
・女性発信のカテゴリを男性が受諾したもの
男性が自ら男性同士のコミュニティ強化に使うもの
ですが、「○○女子」は
・女性が自らを勝手にカテゴライズしたもの
・女性発信のカテゴリを自己表現の道具にしたもの
・女性が自ら自分の価値を高めるため利用するもの
と私は感じています。

だからこそ男性から発信される
「○○系」「○○女子」という呼び方は男女の立場が逆転して、
男性から見る勝手なカテゴライズとして感じてしまうため
言われた私は違和感を覚えるんですよね。

男性側の悪意の有無は関係なく、
勝手に分別するなよ!って勝手ながら思っちゃうんです。

男性発信のカテゴリ化を伴う言葉って、
「スイーツ」だったり、過去に物議を醸した「まーん((笑))」(※1)だったり
「鬼女」(※2)、「喪女」(※3)とか、何かと女性に対して否定的で
ネガティブなものが多いイメージがありませんか?

だからこそ男性の利用する「○○系」「〇〇女子」という呼称は
親しい間柄でない男性から言われると上から目線に感じて
「え?何?何様?」と捉えがちなんですよね。


上記の私の場合、あまり「○○系男子」の呼称を好まず、
「人それぞれだし、この人はこういう人!OK!」
と楽天的に捉えることが多いため、
友達や知人に対して「きみ○○系だよね~」
みたいな会話を一切したことが無く、
むしろ「○○系」「○○女子」「○○男子」という
カテゴライズをあまり好ましく感じていないがために、
自身が「〇○女子」とカテゴライズされてしまって
「は?私は私なんだが????」
と頭の中がフリーズしてしまったんですよね。

すると冒頭にも書いた
ビール女子って言うけど、私としては単に
二杯目もビールが飲みたかっただけだし、
ていうかビールが好きなだけだし、
男ウケを気にすることでもないし、
そもそも「ビール女子」ってなんだよ、
あんたらは「ビール男子」って呼ばれたらどうなの?
に繋がる訳です。

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偏見だけど、事実でもある

多くの人は「○○系だよね」と言われても
サラッと受け流すことができるのだと思うのですが、
私はそこで流せないんですよね。

根本的に「○○系」「○○女子」「○○男子」
という俗称に好感を持っていないことと、
簡単そうに見えて使うことが難しい言葉だと思うからです。

例えば自分が、
「初めまして、理系専攻の大学三年生です!宜しくお願いします!」
と自己紹介したとして
「へー、リケジョなんだ!宜しく!」
って言われると何かモヤっとしませんか?

いや、確かにリケジョだけどさぁって思いませんか?

また、打ち合わせや合コンなど人が集まる場で、
自分がメガネをかけていたとして、自分の知らない場所で
「あのメガネ男子なんか話長くない?」
とか言われていたりしたら、しんどくないですか?

せめて名前で呼んでくれよ、って思いません?

私は結構思っちゃうんですよね。
ナイーブ気味である節は自覚しているんですけど、
私より気弱な人なんてもっとたくさんいるだろうし、
そんな人達はどうやって乗り越えてるんだろうって
つい考えちゃうと使えないんですよ。

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ここまで長々と持論を繰り広げましたが、
私は決してフェミニストでもマスキュリストでもないので
「女性への差別用語やめろ!」
「女が勝手に男を区別すんな!」

とかはあまり強く思っていません。

何故なら「○○系」自体に悪意は無いからです。

呼びやすいから皆がまとめて呼んでいるだけで、
悪意を持って使われることってそうそう無いと思うんですよね。

ましてや、私が直接というわけではなくとも
女性が勝手に男性を多くカテゴライズし、
男性を勝手に物差しで測っているだけなので
男性に対し「○○女子」って呼ぶな!
と主張するのはあまりにも身勝手な考えだと思うんです。

お互い様でしょ、といった中立的立場にいるつもりなのですが、
自分が「○○女子」と呼ばれると「まぁ、そうだけどさあ~…」
と少し不機嫌になっちゃうし、使ってる人を見ると
「いや、そうだけどさあ~?」と少しモヤっとしちゃう。


結局のところ、私は他人の使用する「○○系」が苦手のようで。
もっと言うと、言葉自体じゃなくて
それを利用して自己アピールをする人や、
他人を否定する人が苦手みたいなんです。


なので、私は「○○系」「○○女子」「○○男子」という話題が出たら
・好きとか嫌いとか言わない
・否定的な言葉を使わない
をとにかく考えて会話するようにしています。

まぁこの話をするにあたって
自称○○女子さんに色々言ってしまったし、
私もお酒の投稿とかする時に
たまに「酒好き女子」とかタグつけちゃうんで
人の事言えないだろって自分で思うんですけど、
とにかく私は上の2つを大事に考えています。

あの時のお兄さんも、
「俺は好きじゃない。」とか言ってこなければ
私がここまで考える必要もなかっただろうし、
今後は私みたいな考え方の人が
少しでも増えればいいなと思いました。

長くなりましたが、ここまで読んでくださって
本当にありがとうございます。

今後もたま~にこんな独り言を言いつつ、
お酒の話でものんびりしていこうと思ってます。
その際はまた見に来てください。

ねえ






※1 「まーん(笑)」掲示板サイトで女性を子馬鹿にした侮蔑語。
※2 「鬼女」掲示板サイトにおける既婚女性の略称。
※3 「喪女」掲示板サイトにおけるモテない女性の総称。

上記の3つのリンク先はそれぞれニコニコ大百科の記事となってます。
ネット上の語句の解説はWikipediaよりもニコニコ大百科や
ピクシブ百科事典の方が詳しい場合があるので、気になる方は
後者二つを参照してみてください。

ただし、語句の解説内や関連語句の解説内、その他記事には
たくさんの女性蔑視語句やセンシティブな内容が掲載されています。
閲覧は自己責任でお願いします。

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