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【キノの旅】私が一番好きな話【ニート日記79日目】

こんにちは。
セリンドリカ佐々木です。

猫に椅子を占拠されています。

①キノの旅ベストセレクションⅠを読んだ

皆さん、以前紹介したアリソンは覚えているでしょうか?

今日はそのアリソンと同じ作者の方が書いたキノの旅のベストコレクションを読みました。

キノの旅は私が中学生の時に出会ったのですが、確実にこの作品のせいで拗らせました。

去年の12月に発売してすぐに買ったのはよかったのですが、買って満足してしまいずっと放置していました。

このベストコレクションは全3巻あり、読者投票で選ばれた選りすぐりの作品たちが収録されています。

キノの旅は、キノという少女とモトラド(空を飛ばないバイク)のエルメスが様々な国(人を殺してもいい国や国民全員が眼鏡をかけている国等)を訪れるというストーリーになってます。

ほとんどのお話が20~30ページほどで読み終わる短編となっており、それぞれの話ごとにつながりがないことが多いので気軽に読むことができます。

またキノ以外にもキノの師匠が若かった頃の話や、シズという青年が主人公の話もあります。

今回は読者投票の中で私が投票し、無事収録された一番好きな話、「冬の話-D-」を紹介したいと思います。


話は、ある小部屋のベットに横たわる初老の女性と全身真っ白な装いをした男女4人、そしてキノがいるところから始まる。

男女は自分たちの過去を振り返りながら談笑をしていた。

ほとんど反応のない初老の女性だったが、4人が楽しそうに話す姿を見て微笑み、4人もその様子に気づいて揃って顔を覗き込んだ。

するとキノがパースエイダー(この世界の銃火器)を取り出し初老の女性を撃ち殺してしまう。

しかし4人は驚くこともなく淡々と「”異教徒よ、何ということをした”」「”異教徒よ、ここから立ち去れ”」と告げ、キノはその言葉に従いその小部屋を去った。
直後4人のうちの一人の女性は立ち去ろうとするキノの背中に感謝の言葉を発した。

キノがこの国の門のところまで行くと門番は先ほどと同じようにキノにこの国から去ることを告げ、キノはこれに従う。
するとまた門番はキノに感謝の言葉を発した。


いったいなぜキノは初老に女性を撃ち殺したのか、なぜ、殺人という罪を犯したキノに対し感謝をするのか。

この続きが気になる方はキノの旅ベストコレクションⅠ、もしくはキノの旅Ⅶ巻に収録しているので是非読んでみてください。


と言いたいところですが私がこのお話についてもっと話したいのでこの先はネタバレ有で話します。自分で読みたい人は注意してください。



~~~~~~~~~~~~ネタバレ~~~~~~~~~~~~

キノが国の外に出るとそこには小屋がありキノはそこで待っていたエルメスと合流し、料理を始めた。

しばらくするとディスと名乗る40台ぐらいの男が小屋を訪ねてきた。

曰く、旅をしていたが豪雪に巻き込まれなんとかたどり着いたこの国で門番にここに行くように言われたようだった。

門番からはここでの仕事をこなせばしばらくの間衣食住を提供してもらえること、それと仕事の内容はキノから聞くように言われたようだった。

キノから語られる仕事の内容とは、国から頼まれれて人を殺すことであった。

この国では宗教上の理由から人の体に対して手を加えること、つまり治療を行うことが禁止されていた。

人は自然の一員であり、自然に反することは悪であるという教義のため、どんな病気やケガをしても治療は行えず、自然治癒か死ぬまでまつしかなかった。

しかし戦争に備えた教義である「異教徒に殺された場合は天国に行ける」という教義を利用し、安楽死を望む人に対して国が旅人にこの仕事を頼むようになったという。

この話を聞いたディスはキノを問い詰めた。「治療すれば治る人もいたのではないか」「それは殺人ではないのか」と。

その夜、ディスはひとり呟いていた。「こんな国に来るべきではなかった」

翌朝。仕事を伝える鐘がなった。

キノとエルメスが今日の仕事はどちらが行くかを尋ねると、ディスは「自分がいく」「そして明日から君が行かなくていいようにする」と告げる。

ディスは医療が非常に発達していた国で医者をしていたがそんな中でも技術の限界によって治すことのできない患者がいた。そんな患者を違法でありながらも安楽死させていたディスであったが国にばれてしまい永久追放されたのであった。

彼は、今回の仕事は殺すのではなく治療を行うといった。

そもそも治療という概念すらもあるかわからないこの国でそんなことをすれば何をされるかわからない。最悪殺されてしまうかもしれない。

そんな不安を抱えながらディスは仕事に向かい、キノはそれを見送った。

夕方になると門番が小屋を訪ねてきた。

「”異教徒の男が病魔と闘う同胞に危害を加えた”」
「”被害は幸い大したことなく、本来持っている自然治癒力によって快方に向かっている。”」
「”罰として病気を患っている同胞全員に謝罪させることにしたが、このような行為を繰り返すようであれば永久にこの罰を与え続ける。”」
「”男は罪人ではあるが我々は慈悲があるので衣食住は保証する。”」

その後、鐘が鳴ることはなくなった。


とんでもない始まり方から、どんどん謎が明かされていく展開。

ありがちではありますがやはりいいですね。

私の拙いまとめ方では伝わらないのですが、淡々と進むストーリーや雪の描写、ディスの葛藤、閉塞感などが”冬”という季節を痛いほど感じさせます。

キノが元々感情をあまり出さないのも拍車をかけているように思えます。

本当にストーリー最高、雰囲気最高なお話です。



~~~~~~~~~~~~ネタバレ終わり~~~~~~~~~~~~

とにかくこのお話の良さは読んでみないとわからないので、この続きが気になる方はキノの旅ベストコレクションⅠ、もしくはキノの旅Ⅶ巻に収録しているので是非読んでみてください。(2回目)

やっぱり小説の良さはこの文字による描写ですよね。アニメも漫画もいいんですけど、視覚から得られる情報がない分読者が状況を想像することによって、その作品をより深く楽しめる気がします。

ていうかこのベストコレクション本当に面白い作品しか入っていません。

「コロシアム-Avengers-」のすぐ後に「祝福のつもり-How Much Do I Pay For?-」は即死コンボなんでやめてください。

師匠の良さを知れる「歴史のある国-Don't Look Back!-」も収録されています。


星新一とかが好きな人は絶対に気に入ると思います。

是非読んでみてください。

最後に私が好きな眼鏡キノを張っておきます。

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それではまた明日。


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