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自作キャラをプロデュースしたい話(MikuMikuMovingを使ってキャラクター動画を作る)

現在進行形のお話です。

キャラクターモデルは出来上がっているとします。貴方だったら、それ(二次嫁のことですね)を使って、どんな動画を作りたいですか?

私は「キャラ萌え」ですので、そのキャラクターをアピールするような動画がいいのではないか、と考えました。キャラクターモデルの造形、つまり外見のみならず、内面や性格、暮らしぶりまで創造してしまうのです。

「理想の二次嫁を作る」という趣旨なら、案外これは簡単なことです。なぜなら、自分の好きなものですとか、趣味を全部突っ込めばいいのですから。

どんな年齢の、どんな性格の、どのあたりがキュートでチャーミングな女性なのかを、あくまで仮想的に肉付けしていきます。

私の場合、サディスティックな傾向が性格にあらわれる女子大生 佐渡渡(さどわたり)まどか という人物を考えました。

冴えない中年――自分を投影したような存在ですね――を、一方的に「ご主人様」と呼んで慕い、健気で一途に尽くしてくれる理想の女性です。ただ、生憎と彼女はワガママというか癇癪持ちであり、駄目人間のご主人様にサディスティックに当たってしまうのです。こんな風にラブコメの登場人物としての設定を広げていきました。

ネーミングには、その暗喩を込めるものです。サドなので佐渡、度の利いたサド、ということで『佐渡渡さん』としました。見た目の字面が受けるかも、と思ったのです。『チョSメイド佐渡渡さん』の誕生です。

さて、こう説明すると、私はマゾの気があると勘ぐる読者の方がいらっしゃるかもしれません。いえ、私はマゾではないです。でも、サドっぽいメイドが登場するエロ漫画を読むのは好きです。

オリキャラとは名乗っていますが、その実は、これまでに存在した部品を組み合わせ直したもの、なのです。「ツンデレ」のように、ある程度テンプレート化された存在を再生利用してるに過ぎません。現代において、真にオリジナルである、という作品がどの程度あるかを考えてみてください。どこかしら、先達が発明した枠組を再利用しているのではありませんか?

また、キャラクターというものは、現代においては、テンプレートがそうであるように、記号化されてミームになっていますから、ある程度は前例を踏襲した構成物になっているものなのです。これを大きく外すと、共通の概念で楽しむコンテンツとして成立し得ない存在に、却って、なってしまいます。

だからオタクはテンプレートや属性を使い回して、ツンデレ娘を愛でるのです。

では、そろそろ、佐渡渡さんを中心としたシチュエーションを考え、喋らせたい台詞にアイデアをひねり出します。

私は2分程度の寸劇として考案しました。あまりに長いとMikuMikuDanceで作るのが大変だから、最初は短めのものが丁度いいのです。

ところが、台詞を書くことは意外と大変だと気が付きます。彼女は、どんな語尾で喋るのか、一人称は何か、どんな考え方をしているのか、人生の目標は何か、などなど。

先ほどのラブコメの舞台設定をさらに深く掘り下げる必要が出てきます。どこに住んでいるのか? ご主人様と佐渡渡さんの関係は? 二人の出会いは? 佐渡渡さんが冴えない中年を慕う理由とは?

これらを考慮してラノベのような小説を70ページくらい書き上げてしまいました。一人のおっさんのDEEPな趣味の世界です。黒歴史になりかねない恥ずかしい性質のもので、他者から見たら、ドン引きされること間違いなしです。しかし、今は幸いにして「小説家になろう」のムーブメントがありますから、こうしたジャンルでも許容されうるのでした。歓迎されるかは別として。

ラノベの一例である“なろう”系の読者層の平均年齢は38歳という記事が、3年ほど前に話題に上りました。曰く、人生をリセットしたい気持ちがある中年の為に中年の著者が書いている、というのです。これには妙な説得力がありました。自分もそうだなぁと率直に感じました。できるものなら、人生をリセットして、今度こそ有利になれるようにもう一度やり直したい。

私の疑問は、そういった小説の主人公が、高校生に設定されているものが多いのは一体どうしてなのか、ということでした。つまり、中年読者との年齢の溝が深すぎて、感情移入を妨げるのではないか、と感じたのです。事実、件の小説をアニメ化した作品をチラ見するにつけ、あんまり楽しくなかった学校生活を思い出したりして、私は徐々に乗れなくなってきたのでした。

小説投稿サイトをざっと見ると、必ずしも、主人公が高校生である必要性が無い作品も相当数あるようで、やはり、ラノベ界の実態は高齢化してきているに違いないのでした。先ほどのTVアニメ化が決まる有名作品は、若年の読者層の心もまだ捉えていると考えることができそうです。誰かが言っていましたが、将来は50代、60代といった読者層のためだけに書かれるラノベが登場するに違いないでしょう。

話が逸れましたが、ラノベ的原作を――その質はともかく――書き下ろしてみたところ、あら不思議、地に足の付いた具体的なキャラ目線で物事を捉えることができるようになったのです。

ここまで来れば、台詞を捻り出すのは朝飯前。シチュエーションはこんな風です:

朝、ご主人様を見送る『チョSメイド佐渡渡さん』は、クールを装いながらも愛しいご主人様の為に、美味しい晩ご飯を用意すると約束して、見送ります。

夜、ご帰還した、冴えない中年であるところのご主人様は、そんな約束を露ほども忘れており、飯は済ませて来たのでもう寝る、と宣うのでした。怒った佐渡渡さんは得意のまどかスペシャル(首を絞めるプロレス技の一種)をご主人様にかけてサディスティックな愉悦に打ち震えてしまう……こんなシノプシスです。

ところで、キャラクターモデルとして、ご主人様を用意するつもりはありません。では、どうしたらいいか? VRの伝でいきます。ご主人様の主観視点ですべてを見せるのです。映像手法に限って言えば、主観視点はかなりの縛りを生じますが、VRにはまだこれといった固定化された撮り方のルール(酔いを防ぐ手法を除けば)がありません。そこが幸いです。カメラが被写体を中心に切り替わっていったとしても、それは新しい挑戦であり、従来の映画演出の延長であり、全く問題が無いはずなのです。作り手の発想の自由に委ねられます。

さて、台詞とごく短いシナリオが完成しました。次は役者――声の出演者を探す段階です。これも現代ならでは。流行のクラウドソーシングやスキルシェアサービスを利用して、声優業に携わる方に仕事を依頼することができるのでした。しかも低賃金で。

声優さんは、そうしたスキルシェアサービスのサイト越しに、宅録で録音した台詞の音声ファイルと引き換えに報酬を受け取ることができます。もっとも、プロの声優業に従事するある方によれば、こうした報酬額や手取りはかなり低めである、ということで、スキルシェアサービスの存在に否定的な意見もあるようです。

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