ともだちだった君へ
トイ・ストーリー4を観ました。
(以下盛大にネタバレを含む感想です)
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トイ・ストーリーは、1よりも2、2よりも3、とどんどんおもしろくて、3で正真正銘完結したと思っていたから4が出ると聞いたときは「マジで!?」とめちゃくちゃびっくりした。
またおもちゃのみんなが見れるといううれしさと、ここまで完璧に終わったものを続けることで蛇足感を感じてしまったらどうしようという不安がせめぎ合うなか、いやいやいや観ないわけにはいかないよね、という思いで鑑賞。きっと同じ気持ちの人たちはたくさんいたと思う。同志と呼ばせてください。
冒頭は、まだ少年時代のアンディと過ごしているシーンから始まる。シリーズの時期としては2と3のあいだ。3でなぜか登場しなかったボー・ピープ(1でも2でもメインキャラのおもちゃ)がアンディの家を離れた理由がそこでわかる(しょっぱなからおいおい泣いた)。
時は流れ、ウッディたちおもちゃは成長したアンディではなくボニーのおもちゃになった。ボニーはおもちゃたちを大切に扱ってくれるし、たくさん遊んでくれる、ウッディたちの新しい大切な友だち。
でも、でも、でも。今までの1〜3と圧倒的に違ったのは、ウッディの立ち位置。ずっとアンディの「いちばんの相棒」だったウッディは、もうボニーにとってはそうじゃなかった。遊ぶときのレギュラーメンバーには選ばれず、保安官バッジは外され、クローゼットの中で埃をかぶる。
シリーズ1のときのウッディは、アンディの誕生日プレゼントでやってきたバズに「アンディのいちばん」のポジションを取られたとき、さまざまな姑息な手を使ってでもなんとかして返り咲こうと奮闘した。だけど、今回のウッディは新しくやってきたボニー手作りのおもちゃ、フォーキーを一生懸命引き留める。もう「いちばんのお気に入り」どころか2位ですらない、圏外の立場で。
ボニーは今回、一度もウッディの名前を呼ばなかった。たぶん。
2でジェシーを忘れたエミリーや、3でウッディたちを手放したアンディとは違う。ボニーはただウッディに興味をうしなった。おもちゃで遊ぶことはだいすきだけど、その中にウッディはランクインしなかった。ただそれだけ。
だけどもう、その事実がめちゃくちゃ苦しかった。
自分をゴミだと信じて何度も自殺(と言っていいのかな)しようとするフォーキーを引き留めながら言うウッディの「ボニーにはおれじゃだめなんだ」は、自分自身への言い聞かせだった。おもちゃとしての何よりの幸せは「子どもに遊んでもらうこと」。遊んでもらうことができないなら、せめて持ち主が悲しまないように。ウッディの葛藤が、健気さが、ひたすら苦しかった。
アンディを忘れられないのに、ボニーのためにおもちゃとしての忠誠心をつらぬいていたウッディ。それはどこまでも一方通行だった。
1で引越しトラックに間に合わなかったとき、ウッディとバズは「アンディはおれたちを待ってる」と信じていたから空を飛んでまでアンディを追いかけた。
2でアンティークなおもちゃとして価値があるとわかり美術館へ行くことになっても、飛行機から飛び下りてまでアンディのもとへ戻った。
3もそうだ。アンディとはさよならをしたけど、おもちゃの幸せは遊んでもらうことだと言ってみんなをまとめた。
今回、ウッディは今までの「仲間を見捨てられないウッディ」じゃなかった。完璧な作戦を考えたのはボーだし、後先考えずに飛び出してボーのヒツジたちを危険な目に合わせてしまう。
ウッディは、ここではもう主人公になれない。
最後おわかれのシーンでボロボロ泣いたのは、わたしの気持ちはボニーのもとに残ったみんなの方に寄り添ってしまっていたから。
「彼女はもう、大丈夫だ」
「ボニーは、大丈夫だ」
バズの静かな決意がウッディの背中を押した。
ギャビーギャビーを動かした「待ってるだけじゃダメ」というボーの言葉も、そのまんまウッディに刺さったんだと思う。選ばれるのを、遊んでもらえるのをクローゼットでずっと待っていることをやめた。「ボニーのため」を諦めた。
きっと良かったんだろうけど、ウッディにとってその方がいいんだろうけど、でも。だけど。
それでもやっぱり、みんなとずっといっしょにいて欲しかった。行かないで欲しかったよ。
観なきゃ良かったとは思わない。でも、喪失感がものすごい。
もう「おれのブーツにゃガラガラヘビ」は聞けないんだ。「やられちまったぜ」も、「あんたはおれの相棒だぜ」も。ボイスボックスをギャビーギャビーにあげてしまったとき、心臓がぎゅっとした。帽子もちぎれた腕も、今までならいつも元どおりだったのに。
さんざん思いを語ってしまったけど、作品としてはおもしろかった。何度でも言う。そう思っているからこそ、感想が行ったり来たりを繰り返してしまう。困ったな、今1〜3を観直したら、号泣どころの騒ぎじゃないかもしれない。
きっと、アンディと一緒に成長した大人はものすごくぐっとくると思う。もしこれを子どものときに観ていたらどう思ったんだろう、というのもすこし気になるところだけど。
ウッディ、ずっとわたしたちの友だちでいてくれてありがとう。
どうか元気で、幸せでいてね。
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