ネパールから届いたラブコール
ネパールの先生から連絡が来た。「校長が君にすごく期待している」私は押し黙った。
子どもたちの笑い声が聞こえる。
3時間かけて登った山の頂上。赤道近くの夏のくせに、上着が手放せなかった気候。立てかけの家。崩れた寺院。何もない箱庭。
初めてバイクの後ろに乗せてもらって、道すらない沼地を駆けた。校長先生の家でカレーをいただいた。ホストファミリーのおじさんに、「人が出て行ってしまう、どうにかしてくれ」と言われた。
もう一年も前のことなのに、変わらず脳を撫でる感触に私は震撼する。
「君に期待をしている」
彼は言った。
きっと何も変わらなかったのだろう。
これまで数多くのボランティアを迎えて来ただろうに、彼らの環境は何も変わらなかったのだろう。そう思う。だからこそ、私なんかに期待をしてしまう。
私はそんな期待をかけられるほど立派な人間ではないよ。何かを変えてやりたいという熱量も、誰かを愛する熱情もありはしない。現代社会に対して憤りを感じることも、所によって変わる生の質の理不尽さに嘆くこともない。ただ変える方法を知っている、それだけだ。
その方法を実践するのはあなた達であって、上手くいかなければ相談し、状況を変えるのは私ではない。
子ども達の笑い声が聞こえる。彼らはどうしているだろうか。遠く離れた山奥で見た、壮大な夜空のパノラマを思い出す。彼らは私のことを覚えているだろうか。変わりなく山を駆けているのだろうか。
私は今日も失敗したウィンナーコーヒーらしきカフェオレを飲みながら、彼らに伝わる私の行動が、ずっと先も"縁"として繋がっていけば、私にも生きている意味はあるのかなあと思うのだ。
そんな私が今夏ネパールの行くための交通費を募ってます。
気に入った人、よろしくお願いします。
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