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新しい発見たち。

私は、好きなミュージシャンがライブでとんでもなく良い声で歌っていたり、とんでもなくテクニカルな演奏をしていると、どうにも爆笑してしまう節があるのだけれど、好きな役者が舞台上でとんでもなく良い声で喋っていると、どうにも泣けてしまう節があると気付いた昨今。

まだまだ自分の中に知らない自分はたくさんあるのだなぁ……。そして実は、映画から受ける節はまだ発見していません。今後の人生の楽しみとします。

先月のこと。TwitterもといXのおすすめ上で何度か見かけた、縁もゆかりもない(!)ムシラセという劇団さんの『あちらのお客様』をしました。

7/17(月)13:00の回に、25歳以下の若者の皆様をご招待したのでした。足長おじさん?足長おばさん?そこはなんというか、足短おねえさんとでも名乗っておきます。足が短いのはもとより、背も小さいですし、ね?律儀にお礼を伝えて下さった方もいらして、ここ最近で最も有意義なお金の使い方をしました。

何はともあれ、突然の申し出を快く受け入れて下さった主宰の保坂萌さんに改めて感謝いたします。お忙しい中、お仕事を増やしてしまったにも関わらず、制作さんにも迅速&丁寧にご対応頂きました。これはもともと、保坂さん独自のおごり企画に触発されたのが発端ですが、私が手を挙げて以降、次々と「あちらの〇〇さん」が集まったのは喜ばしい事でしたし、本当に愛されている団体さんなのだなぁ……と、しみじみ。

こうして私自身も初めてムシラセの作品を拝見する事になった訳ですが、以来、「ファンファンファンファーレ」に出演されていた中野亜美さんという役者さんを調べまくっております。

どう考えても声が良すぎるし、何かがおかしい。

大先輩に当たる知り合いの俳優さん方からも同じような声が上がっており、半ばストーカーのようにひたすら調べ倒しておりました。その結果、「何人かいないとスケジュール的に辻褄が合わない」という事がよく分かり、近しい方にも伺って「天才」と「人生2週目以上」という事までは分かりましたが、一体彼女が何者であるのかは結局まだ分かっていません。まぁ、つまるところ全容の掴めない化け物なのでしょう。(褒め言葉です)

少しネタバレになりますが、志乃ちゃんが例の事実を知らぬまま無邪気にチカちゃんに話しかけている時、その身長差によって少し高い位置から志乃ちゃんに向けた、あさみん(中野亜美さんの役)の表情と眼差しがどうしても忘れられず……そこからの数日間、寝ても覚めても走馬灯のように私の脳内を駆け抜けておりました。後から配信でも確認してみたのですが、当然ながらそのシーンで台詞を喋っているのは志乃ちゃんとチカちゃんですし、あさみんの表情がクローズアップされる事はなく、舞台の全体を映した引きのアングルだったため、私はもう二度とあの表情を直視する事はないかもしれません。でも、もう私はあの表情を知らなかった時には戻れないのです。

という訳で、中野亜美さんの次の出演作である、あやめ十八番「六英花 朽葉」も拝見して参りましたが、こちらの作品においても、私の中で彼女は完全に優勝しておりました。全優勝、大優勝です。今週火曜日まで公演がありますので、ご興味のある方は是非。

さて、話題は映画の世界へ。

2021年に制作した短編映画『Veils』と、その後日譚にあたる『カゾクノキョリ』がオンラインで期間限定で無料配信されています。『カゾクノキョリ』もありがたい事に各地の映画祭でノミネートしており、上映の機会を頂いております。

直近で特に何があった訳でもないんですが、かつてのインディーズミュージシャンの立場であれ、自主映画のプロデューサーの立場であれ、私はモノを作って人に届けることを仕事の一部にしている訳ですが、最近になって殊更に感じる事がありました。それは……

作ったモノへの意見が賞賛だけのうちは
身の回りの手の届く範囲にしか届いていない

と。20代の若手ミュージシャンだった頃は、賞賛以外を受け入れたり受け取る余裕もなかったのだけれど、30代半ばも折り返した今は

批判や否定的な意見が出たら
ようやく広く、遠くまで届き始めたということ

と考えるようになりました。無論、ここで言うのは、あくまでも批判や否定的な意見であって、全く根拠のない誹謗中傷を指すものではありません。

そして、届いた批判や否定的な意見も「なるほど……」と納得のいくものであったり、「そういった見方もあるのか!」と新たな視点に気付いたり、「こんな風に感じる方もいるのだなぁ」と驚いたり、きちんと受け取って咀嚼する余裕ができるようになった事に気付き、大人になるのも悪くないなぁ、と感じています。

何より、きちんと受け取って咀嚼する余裕を私自身がどのように得たのかを考えてみたところ

「我々は、本当に素晴らしい作品を作りました!」


という自信に全てが裏打ちされているのだな、と気付いたのでした。「あとはもう、皆様で自由にお楽しみ下さい」と。そしてそれは、無責任からくる自由さではなく、全責任を負う覚悟の元で。

私には0から1を生み出す才能はないのだけれど、私はこれからも、0から1を生み出す才能をもった人たちと素晴らしいモノを作っていきたいと思いました。そう考えると、なんかもう人生って楽しい事だらけですね。

そんなこんなで、実は現在進行形で会計処理を2件ほど溜め込んでおり、本当はnoteなど記している場合ではないのですが(各所に向けて、ごめんなさい!)、どうしても今日のうちに書き留めておきたかったのでした。

おしまい。

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マリエ@necramicrock
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