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出世払いは、現世のうちに。

今日のタイトルは、先日お財布を新調した時に、ふと頭に浮かんだ言葉です。同時に「出世払いは、来世で。」も出てきたのですが、なんとなく金利が上がりそうな気がしちゃいますし、可能であるならば現世で済ませておきたいものです。踏み倒すのも嫌ですしね。(笑)

さて、今回のnoteは、出世払いと言えば……のお話です。

私は10代の頃、好きなアーティストやバンドのライブをひたすら観に行くような、所謂「ライブキッズ」でした。アルバイトをしてはお小遣いを貯め、ライブのチケットやCD、グッズ、はたまた遠征費などに消えゆく日々。そしてそのうちライブハウスで出会って仲良くなったお兄さんお姉さん達とライブの前後にご飯を食べに行く様になり、なんだかたくさんご馳走になっておりました。当時、ズバ抜けて年下だった私はよく「マリエちゃんは出さなくていいよー。お酒も呑めない年齢なんだし、大して食べてないし!」と、割り勘の頭数から抜いてもらっていたのです。その度に私は「ご馳走さまでした!いつか出世払いでお返しします!!」と伝えていたのですが、お兄さんお姉さん達はいつも

「俺らに返すんじゃなくて、マリエちゃんが大人になった時に、年下の子にご馳走してあげてね!下に繋いでいって!」

と言うだけで、当時の私は(え?お返しできないの??)と頭にハテナを浮かべるばかりでした。そしてそれは、20代中頃までの音楽活動中にお世話になった恩師や先輩、全国各地で良くして下さった皆様も同様だったのです。私がどんなに「いつか必ず、出世払いでお返しします!」と伝えたところで、

「君はそんな事を気にしなくていい」
「逆に、マリエが可愛がれる後輩が出来たら奢ってあげなよ」
「うちらじゃなくて、マリエさんが力を貸したいと思える人に繋いで下さいね」

と言うばかり。当時の私は若さも相まって

「なんでー!?他でもないアナタに返したいのに!?」

と、どうにも可愛くない事を考えていました。(笑)ただ、全国各地を回っていた頃は本当に貧乏暮らしだったので、とにかく助かっていたし、あの時の恩は今でも忘れていません。もしも私が鶴だとしたら「あの時、助けて頂いた鶴です〜」と、いつでも相手の家の玄関先に立ちたい程度には。まぁ、それ以前に今もさして貧乏暮らしから変化がないのは、どういう事なんでしょう?

……冗談と悲しき現実はさておき、特にお世話になっていた先輩からは「私も若い時は先輩にご馳走になってきたから、自分が後輩に奢ってあげられる様になるのは、結果的に先輩への恩返しになるんだよ。」と何度も言われてきました。当時の私が本当の意味でその言葉を理解するには時間が足りなかったし、何よりもいつまでも

ごめんなさい。残念ながら、出世しませんでした。(遠い目)

それでも、自分自身が20代後半から30代に差し掛かってみると、自然と可愛いなぁと思える年下の存在ができ、私はようやく、お兄さんお姉さんや先輩達の言っていた事を本当の意味で理解し、それを実践できる様になりました。悲しきかな出世はできなかったので、さすがに毎回毎回、回らないお寿司とか高級焼肉なんてものはご馳走できないけれど、たまに行くご飯やお茶ぐらいはね。そしてその度に、可愛い後輩達は言うのです。

「いつか必ず、マリエさんにご馳走します!」

と。そして、私は私で、こう言うのです。

「私もずっと先輩にご馳走になってきたから、可愛いと思える後輩が出来たらご馳走してあげてね!上に返すんじゃなくて、下に繋いでね!」

と。しかし、彼ら彼女らは口を揃えてこうも続けるのです。

「可愛い後輩なんて出来ません!!!そんなの絶対いません!!!」

と。(笑)私も本当にそう思っていたし、同じ気持ちを身をもって体験してきた人間なので、痛いほど分かりますが、それだと私が先輩達に怒られてしまうので、是非とも下の世代へと繋げてほしい次第です。というか、少しずつ年齢を重ねていくと、不思議と下の世代が可愛く思えてくるものなんですよね。

という訳で、最近なかなかお会いできていない先輩の皆様。そろそろ私とご飯に行きませんか。出世払いでお返ししますんで!!!……なーんてね。(笑)

#日記 #コラム #フリーランス #大人になったものだ

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