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【maruの古事記勝手にアレンジストーリー】


私はこの海岸で豊玉毘売への思いを馳せました。


玉のお姫様のお話
(豊玉毘売(トヨタマ)姫のお話のmaru解釈アレンジ)

どうして人は決して見るなと言われると、
見てしまうのかしら。

後生だからお願い止めてね、と言っても、
振り返ると戻れなくなると言っても、
きっと人は知りたがる性なのね。
そんなに自分の目で確かめたいのかしら。

秘密の密は蜜。蜜は甘いから吸いたくなる。見たくなる。やめられなくなる。
悲しい愚かな性。

私、愛する山幸彦様にだけは見られたくなかったのよ。私が貴方との御子を産み落とすところだけは決して見られたくなかった。

思いがけず早産になってしまい、
産屋の完成が間に合わなくても、
隙間だらけでも見て欲しくなかったの。

私の本当の姿は和邇🐊だから。
人の姿は陸の上での仮の姿。
貴方の前では人でいたかった。

私のお腹の中に、貴方との子が出来たと分かった時、とても嬉しかった。

海神の父様も大層喜んでくださった。
私達、これからだったのに。

私は海から毎日この子に乳をあげるために陸に上がる決心をしていたのよ。

お腹の子と妹と共に、海から陸に上がり、
境目の門をくぐった時、
とっても嬉しかった。
これから始まるのよ。

陸に上がると潮風が吹いたのよ。

まるで、故郷の海が大丈夫だよ、
幸せにおなりと寄り添ってくれているよう。

絶対に見ないでね、と伝えたのに、
愛する人に見られてしまった。
恥ずかしくて、ここにはいられない。

だから。
これから海底に戻ります。

今度は、海と陸の境目の門をくぐり抜けて戻ります。今度は潮風が、海神の父様が戻っておいで帰っておいで、と呼んでいる。

そして私は悲しみ抜いたら、
一粒の真珠になりました。

我が子よ、私はいつも見守っているわ。海も空も同じ色。繋がっているのよ。
海からも空からも見守ることが出来るのよ。

真珠は小さいからいつでも目立たないように、波の隙間から見守ることが出来る。

海に白波が来たら、それは母が来ていると思ってね。

母は海の底から空の遠くから
貴方を護ります。

母の代わりに妹がいるから。
心配しないで。

そして、我が子よ、
立派な王の父になるのよ。

もう会うことのない愛する人と我が子へ。

釣ヶ崎鳥居、釣ヶ崎海岸

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