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デスペラード

Desperado (1995)

 ロバート・ロドリゲス監督、アントニオ・バンデラス主演のガン・アクション映画。恋人を殺され、左手を撃たれてギターが弾けなくなった元マリアッチの復讐譚です。ギターが弾けなくても銃は撃てます。

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 エル・マリアッチ三部作の第二部とされますが、前作にあたる超低予算の自主映画「エル・マリアッチ」の続編、と言うよりはリブート作と言うべきかもしれません。前作でモコ(ピーター・マルカルド)に恋人を殺され左手を撃たれるシーンが主人公の夢に再現されるので、前作の敵モコと今回の敵ブチョ(ホアキン・ド・アルメイダ)との関係がごっちゃになるのはやはりよろしくないですねえ。主人公はブチョの顔も知らないので、夢が示す通りに(つまり前作通りに)恋人を殺されたわけではないはず。今回改めて見ても、あえて前作のエピソードとごっちゃにする意図がわかりませんでした。特に前作を見ていないと、わかりづらいを通り越して混乱するだけでしょう。これはよくない。

 前作のカルロス・ガラルドに替わり、主人公にバンデラスを配したのは正解でしょう。彼がハリウッドに進出して以降、初めてのアクション映画じゃないかな? 戦闘機械ではなく、人間臭い部分もきちんと演じています。吹き替えの大塚明夫さんも、ソフトめな声を当てていますね。ガラルドはアルバート・ミシェル・ジュニアとともに主人公の助っ人を演じており、この2人が妙に笑えます。特にロケットランチャーを撃つそのポーズよ。(笑)

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 いっぽう、ギャングのボスを演じるド・アルメイダは、極度に貧相な佐藤二朗さんみたいで明らかに貫録不足ですね。もちろん彼のせいではなく、キャスティングの問題です。

 クエンティン・タランティーノが出演しています。面白くもないジョークを長々しゃべった挙句にぶち殺されるのはお約束で面白いのですが、冷静に考えると彼のシーンまるまる要らないですよね。そのぶんをダニー・トレホに回してあげればよかったのに。俺にも何かやらせろと言われたロドリゲスが、後から無理やり役を作ったんじゃないですかねえ。そう言えばスティーブ・ブシェミも、「兄弟のような友達」と主人公に言われる割に何者なのか説明がないです。

 不満は多々ありますが、前作で豊富なアイディアを工夫で実現させるも、低予算ゆえにやりたいことの3割ぐらいしかできなかった鬱憤を、ロドリゲスは本作で気持ちよく晴らしており、かつそれが娯楽性に結びついているのは「ほんとよかったね」と言ってあげたいです。銃撃シーンは圧倒されますし、流血もより多くよりリアル、なのに不快じゃない。それと濃厚なベッドシーンも、ほんとは前作でもやりたかったんだろうなあと思えました。

 IMI デザートイーグルやウィルデイマグナム、ベレッタ 93R、LAR グリズリー・ウィンマグなど、銃がたくさん出てくるのもガンマニアにはたまらないでしょう。リロード/マガジンチェンジもちゃんとやっています。主人公が2挺使いするピストルはスタームルガーKP90だと思いますが、ダブルアクション(ハンマーを起こさなくともトリガーを引けば撃発する機構)なのでガンスピンは危険ですよ。

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