![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73253086/rectangle_large_type_2_8a28ee125d67fd0aff628897358a6c17.png?width=800)
【子どもアドボカシー 2】 子どもの話に耳を傾けないと、起きてしまう問題。
*2021年の11月、児童養護施設の和白青松園で行われた
子どもアドボカシー講座でお聞きした話、気づいたことを
書きまとめていく全3回シリーズの第2回目です。
言えなかった思いは、やがてトゲになる。
親や教師、周囲の大人たちから
「自分の思いは遠慮なく言葉にしていいんだよ」と
言ってもらえずに育った子どもは
心のなかに満たされない何かを抱えたまま
そのイライラを何らかの形で表面化させます。
暴力をふるう。
誰かをいじめる。
やけを起こす。
自己否定をする。
死にたい気持ちになる。
「意見を言わず、大人が決めたことに
盲従した方がラクだ」と無気力になる。
心のトゲは一人ひとり違う形で現れるけれど
自分の外に向かって、または内に向かって
必ず刺さっていくのです。
こんな不幸を避けるために、大人たちが心がけたいこと。
それは、子どもたちが日々感じている思いを
ちょっとずつ話せるような環境をつくることなのだそうです。
とくに親の力は大きく、
親への信頼が子どもの心の安定につながるのだとか。
「どんな悩みも、親は聞いてくれる。基本的に私の味方だ」と
子どもが感じることができれば
心の中のモヤモヤは、たまることなく消えていくようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1646048330781-ouZdRqkWdP.jpg?width=1200)
親に心配をかけたくないから、何も言えない。
ただ、ひとつ気をつけてあげなければならないのが
子ども自身の「親に心配をかけたくない」という思いでしょう。
子どもは、大人から社会について学んでいく中で
「こんな話は人に言っちゃいけない」と思い込んだり
「こんなことをした自分は良くない人間だ」と
自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。
最悪の場合、犯罪に巻き込まれても
「自分に非があったのだ」と己を責める子どもだっています。
やがて「自分で解決するまでは、誰にも相談できない」とまで
思い詰めて、心の扉を閉ざしてしまうこともあるのです。
日本では、こうした子どもたちが多い傾向にあり、
子どもの幸福度が先進国の中で下から2番目とされている理由も、
ここにあるとのこと。
日頃から子どもの話にじっくりと耳を傾け
「あなたは、あなたのままでいい」と全面的に肯定していれば
子どもは自責の念にさいなまれることなく
心穏やかに過ごせるのでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1646048022507-jl48TaqYOA.jpg?width=1200)
なぜ、子どもの自殺が増えているのか。
日本では、子どもの自殺は増加の一途にあります。
しかも、前触れを見せて自殺する子どもは少なく
その多くが突発的だといいます。
学校も先生も友人も、そして親さえも
「この子は大丈夫」と思っていたのに、
突然、生命を絶たれてしまう。
だから、いま多くの大人たちは
どう対処すればいいのか分からない、と
戸惑っているのです。
悲しい結末を迎えてしまう子どもの多くは、
基本的自尊感情が十分に育っていなかったのではないか
と言われています。
基本的自尊感情とは
「私は生きる価値のある人間だ」
「いつか、うまくいく」と
根拠なく思えること。
この感情は、親などからの
無条件の愛によって育まれるものだそうです。
しかし、日本の子どもたちは大人から
自分をまるごと肯定される経験が少なく
愛を肌で感じ取れていないために
基本的自尊感情が培われていないようなのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1646048371781-rRtdYLQosb.jpg?width=1200)
子どもだけではなく、大人にも足りていない自尊感情。
基本的自尊感情が欠けていると
「努力しなければ、誰からも必要とされず、生きる価値がない」
と考えるようになります。
そして、勉強でよい成績が出せなかったり、外見に悩んだり、
周りからの評価が下がったり、人間関係で失敗したりすると、
あるとき、ふと自殺を企図してしまうのです。
これは、子ども時代だけでなく、
大人になっても続く傾向かもしれません。
人間は、瞬発的な強いストレスは乗り越えられるものの、
真綿で首を絞めるように継続するストレスには弱いのだそうです。
そうやって自分でも気づかぬうちに、突然ポキッと折れてしまう。
ただ、基本的自尊感情があり、心がどっしり安定していれば
継続的なストレスにも耐えられるとされています。
その安定感を育むのが、何でも遠慮なく話せる環境。
バカな話も、タブーなことも、自分の失敗や欠点も
何でも安心して言える場があれば、心が軽くなる。
大人だって、そんな環境が約束されていれば
たぶん死ぬほど悩んだりしませんよね。
子どもは、特に、そう。
だから、時には何も否定せず(難しいですけど)
じっくりと話を聴いてあげてほしいのです。
それに、子どもの話を聴いてあげていると、
やがて大人も素の自分を出せるようになって
心が軽くなるかもしれませんしね。