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アートで動物を救いたい。NFTで社会貢献を考える「HATENA-COLAB」

「HATENA-COLAB(ハテナコラボ)」は『アートで日々の生活が豊かになる』をコンセプトに活動する学生団体。

「アート」でできる社会貢献を考え、NFTアートにたどり着きましたーーそう語るのはHATENA-COLABを創設した田中寿美礼さん。

一時期スニーカーなどで話題となったNFT。トレンドともいえるNFTと聞くと「投資」をイメージする人が多いかもしれません。しかしHATENA-COLABが取り組むNFTアートには「動物を救いたい」という強い想いがありました。

「私たち人間と切っても切れない関係にある猫や犬を救いたい。人間と動物のよりよい共存を目指したいと考えています」現役理系大学生たちが挑戦するNFTアート×保護猫活動の可能性に迫ります。

プロフィール

田中寿美礼
1999年6月生まれ。「HATENA-COLAB」代表。近畿大学修士1年(休学中)
数々のビジネスコンテストで受賞経歴を持つ。 現在はNFTアートを通じて保護猫を支援するサービスを考案している。

清水大樹
2000年2月生まれ。大阪府立大学修士1年(休学中)
「HATENA-COLAB」のメンバー。主に技術開発などを担当する。

NFTアートで社会貢献を目指す「HATENA-COLAB」

―― まずは、HATENA-COLABがどんな活動をされているのか教えてください。

田中:HATENA-COLABは「NFT」で社会貢献を目指し活動しています。NFTとは、偽造不可能なデジタルデータのこと。暗号資産と同様に、ブロックチェーン上で発行および取引されています。

私たちが取り組むNFTアートの特徴は、唯一無二のデジタルアートとして価値を保存できることです。これまでのデジタルアートはコピーが容易で、本物を見分ける手段もありませんでした。

一方、NFTアートは伝統的なアートと同じように、唯一無二の価値をもたせることができます。

HATENA-COLABが出品するNFTアートは、社会問題に関する作品です。アーティストに提供していただき、売上の一部は支援団体に寄付する活動を続けています。

ーー どんな経緯でHATENA-COLABができたのでしょうか?

田中:大学4年生で参加したビジネスコンテスト(以下、ビジコン)がきっかけですね。インターンとして在籍していた『Life is Tech!(ライフイズテック)』と丸井グループ共催のビジコンに「一緒にやろう」と声をかけた同期4人が、HATENA-COLABの初期メンバーです。

大学院へ進むことは決めていたんですが、その先の明確なビジョンはなくて。なんとなくで就職はしたくないし「何か始めないと」と考えていたときに、研究室の先生から教えていただいたのがビジコンでした。

そこからビジコンに夢中になったんですよね。ゼロからアイディアを考えて、プレゼンとして完成させるプロセスが楽しくて。

結果、丸井グループとLife is Tech!が開催したビジコン『Future Accelerator Gateway』ではHATENA-COLABが優秀賞を受賞しました。現在は私と清水の2人で活動しています。

偶然の出会いから信頼できるチームになるまで

ーー 清水さんがHATENA-COLABに参加することになった経緯も教えてください。

清水:先ほど田中さんが言ったように、『Life is Tech!』のビジコンがきっかけです。そこで同世代のプログラミングができる人たちに出会い、刺激を受けました。

もともとプログラミングの知識は少しあったのですが、他の参加者はすごい人ばかりで。参加し始めたときはNFTにも詳しくなかったです。本当に分からないことだらけでしたね。

だからこそ、研究室では学べなかったことを学べている感覚があって。今後は「ここで自分のやりたいことをやりきりたい」「もっとHATENA-COLABの事業を進めたい」と思っています。

ーー 偶然の出会いというか、ご縁があったんですね。

田中:私が1番ビックリしています。清水さん以外の初期メンバーはプログラミングコースで一緒だったり、友達だったり。「3人よりは4人いたほうがいいよね」ってことで白羽の矢が立ったのが、清水です。仲が良かったわけではなかったのですが、3人全員と知り合いという理由で声をかけました。

今でこそ2人で活動していますが、活動開始当初はいろいろありました。清水の辞めます事件とか(笑)。

ーー 辞めます事件?気になりますね。

田中:当時は卒論の時期で、私と清水が忙しくて。清水はぜんぜん集まりに参加しなかったんですね。これは良くないと思って、メンバー全員でZoomミーティングをしたんです。清水の話を聞く流れだったはずが、だんだん「3人VS清水」になって……。

その日のうちに清水から「ごめん、辞めます」ってLINEがきました。

ーーすごい展開ですね! その後どうなったんですか?

田中:次の日の朝すぐに、清水から「ごめん。やっぱり、やります」とLINEが……。(笑)

清水:今までの人生を思い返して、逃げてきたことが多かったなって考えたんです。その日も「もう投げ出してしまおう」って思って、一度は「辞めます」って伝えました。

でも、大学4年になっても逃げたままの自分が恥ずかしいなって。「ここで何か変えないと」って思ったんです。僕に声をかけてくれたことも、素直に嬉しかったですし。

ひと晩考えて、次の日すぐに連絡しましたね。「辞めます」って言ったのは、それが最初で最後です。

亡き愛犬が教えてくれた命の重みが原動力になった

ーー田中さんが 社会問題に取り組もうと思ったキッカケはありますか?

田中:たくさんの社会課題があるなかで、自分自身の課題というか「私に何かできることはないか」と考えたのが「保護犬猫の問題」です。

私自身、小さいときから中学1年まで犬を飼っていました。愛犬が亡くなったとき「大切な家族がいなくなるつらさ」を、身をもって感じて。命の重みを教えてもらったんですよね。

ペット1匹を失うだけでつらかったのに、今も保健所では多くの動物たちが殺処分されています。飼育放棄や多頭飼育崩壊など、動物の命が軽視されていると思わざるを得ないようなニュースも多い。

何とかしたいと考え、思いついたのが「アートとの掛け合わせ」でした。

ーーアートからNFTアートへ移行した理由はあったのでしょうか。

田中:はじめは保護猫カフェに協力してもらって、絵の具をひいたキャンバスに、猫の足あとをのせたアート作品を作りました。すぐに反応をもらえたり、滑り出しは順調でしたが、だんだんとコンセプトに悩むようになって。
しかも、猫たちが少しかわいそうだったんです……。足の裏に絵の具をつけるから、嫌がって逃げる猫もいました。猫のためになりたくて始めたのに、ストレスを与えてしまうなら本末転倒です。

他にどうしようかと考えたときに「NFTアート」に出会いました。

HATENA-COLABが考える、NFTの本質的な使い方とは

ーー もともとNFTに詳しかったのですか?

田中:いえ、NFTは知識ゼロからのスタートでした。とにかく必死に勉強していたら、NFTアーティストの人たちと繋がりができて。NFTのプロというか「社会課題×NFT」をすでに体現されていて、私たちにとって手本のような人たちです。

マルイ有楽町で開催していたイベントに来てくださって、いろいろ話を聞くうちにNFTの「芯」の部分を自分なりに理解しました。

それまでNFTは「コレクション」とか「マネタイズのツール」という認識でしたが、あくまで「手段」と考えるようになって。NFTが保護猫アートの入り口になりそう、というか。

もちろんコレクションとして発信したほうが、収益化はしやすいと思います。でも、すぐにコレクターを増やしたいとは思いません。今はNFTを概念として発信していきたいです。

NFTで繋がった人たちや環境を大切にしたいし、楽しみたい

ーー 「投資」という印象が強いNFTですが、田中さんにとってNFTとは?

田中:最初はNFTといえば投機的な印象が強く冷たいイメージがあり、今の流行もそれに近いものがあると思います。ただ、私はNFTを概念・手段として捉え、人間関係の大切さに気付かせてくれたものですね。

先日、友人との会話で「お金を稼げる」「絶対儲かる」のような部分は、私にとってさほど重要ではないことに気がつきました。今の活動を通して出会った人たちは、好きなことをビジネスにしていて。客観的に見ても、とにかく楽しそうなんですよね。

そういう人たちとNFTをきっかけに繋がりができて、会話して、一緒にご飯を食べて……私のやりたいことの軸はお金より人で、楽しいことなんだって再確認しました。人と人がつながる環境を求めているし、血が通った関係性の構築に魅力を感じますね。

NFTの先に思い描く、猫を愛する人たちが繋がる場所

ーーこれから HATENA-COLABとして実現したいことを教えてください。

田中:これから力を入れて取り組みたいのは「コミュニティ」ですね。ただ情報共有するだけのコミュニティではなくて、保護猫に興味・関心がある人たちのコミュニティです。

「猫のためにできること」とか「私たちはこうしよう」のような意見を交換したり、共有したり。NFTを持っている人同士の「繋がり」を大切にしたい。

また、NFTはよく「投機的な」という意味で使われますが「投機的な=儲かる」ではなくて、保護猫問題を含む「社会問題の解決に向けた活動に投資する」という概念が広まればうれしいなと思います。

募金箱とか目にする機会は多いと思いますが、何に使われているかまで分からないですよね。そういう不明瞭さも、HATENA-COLABはできる限りなくしたい。分かりやすく発信してくれるし、意見も反映してくれるって信じてもらえるような場所にしたい。

だからこそ「これならウケる」みたいな目線ではプロジェクトを進めたくないな、と思います。きっと喜んでくれる人がいる、必要とされているという前提で突き進んでいきたいですね。


HATENA-COLABは、NFTアートで社会問題の解決に向けた活動に取り組んでいます。知識ゼロからのスタートでしたが個々の努力と、出会いにも恵まれ活動の幅を広げています。

今回お話を伺って固定概念にとらわれない、柔軟な発想と姿勢にとても刺激をもらいました。なにより、NFTにそんな側面があったことにも驚きです。

大学生のまだ若いお二人の活動に、今後も注目していきたいですね。貴重なお話、ありがとうございました。

🐈…

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