#ホームセンター
【ショート小説】好きだったのよ、あなた
木材の断面から湧き出る粉っぽい香りと、鉄材の張り詰めたような香りが混じり合って鼻頭を刺激した。自分は誰かに気付かれないように、それを肺の奥まで吸い込んで、すぅと吐き出す。開店したての平日のホームセンターは、数人の業者がまばらに各々の必要な道具を探し当てる姿以外は、まだ眠りから覚めていないように暗く静まり返っていた。自分は並んでいる木材に頬を擦り付けると、光悦の表情を隠し切れず思わず、おぉと声を漏ら
もっとみる木材の断面から湧き出る粉っぽい香りと、鉄材の張り詰めたような香りが混じり合って鼻頭を刺激した。自分は誰かに気付かれないように、それを肺の奥まで吸い込んで、すぅと吐き出す。開店したての平日のホームセンターは、数人の業者がまばらに各々の必要な道具を探し当てる姿以外は、まだ眠りから覚めていないように暗く静まり返っていた。自分は並んでいる木材に頬を擦り付けると、光悦の表情を隠し切れず思わず、おぉと声を漏ら
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