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【ショート集】コタンの雌ぎつね

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ショート小説集第二篇
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2023年7月の記事一覧

【ショート小説】裏・見ます

日中にひとしきり降り落ちた雨は、その水分を空気中に漂わせて存在している。すっかりと暗くなった帰りの一本道を歩いていると、自分の足元に白い花弁が一面に落ちている事に気がついた。それを踏まない様にやや爪先立ちになると、まるでダンスを踊っているようになった。花弁はコンクリートと雨に打ち砕かれ、その白い色に所々灰色とも茶色ともつかない濁った色を浮かび上がらせていた。今日は本当におかしな一日であった。特別に

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