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Taylor Swift (The Eras tour )

中学の教科書に、村上春樹のカキフライの文章があった。自己紹介が難しければ、自分が好きなものがなぜ好きか理由を掘り下げれば良いそう。

私なら食べ物だとグラタンがあるがグラタンでは尺が持たない(カニグラタンが好き🦀)ので、Taylor Swiftにしたい。

先ず私に限らず勉強が得意な層は”活字に強くて弱い”傾向にある、
活字を沢山読んで知識として蓄えている一方で、活字に強いが故に誤情報も信じ込んでしまいやすい傾向ということだ。
悪くいえば活字をテキトーに扱っている人の文さえ、活字に吸い込まれてしまう、翻弄されやすい。

活字に強くて弱いが故に邦楽が苦手だ。
歌詞が入って来すぎるため、言葉の意味を否が応でも感じてしまうからだ。

私がTaylor Swiftを好きな理由はサウンドより歌詞の言葉選びだと感じている。
彼女は幼い頃からソングライティングが好きで、言葉を沢山紡いできたからこそできるワーディングがあると思う。

LoverのDeluxeエディション(2019)にはTaylorの幼い頃からの日記が抜粋で掲載されている。
私は日記を書く習慣がないから、新鮮だったし芸能人とはいえまだ一般人の頃の日記もあるために人の日記を読むことに、人の深淵に触れる意味でワクワクさえ感じた。

Taylor Swiftとの出会いは2010年、父に最近話題らしいよ!とYouTube 上のMVを紹介されたことがきっかけだった。その時のMVは “You Belong with me “。
恋敵との差を感じつつも純愛なMVである。

偶然隣家にあのPVと同じような同級生がいるため、妙に身近に感じた。
自分との接点(上記)と差(アメリカ)のバランスが絶妙だったこと、が最初にハマったきっかけだった。

Taylor Swiftといえばカーリーヘアの赤リップのイメージだった。少なくとも2010年代はそうだった。長身ですらっとしているがガーリーで、儚いながらも芯の強さを感じる、といったイメージだった、
しかし、彼女はいまや世界中で1回3.5時間ほぼパフォーマンスをする公演を150公演もする大スターになった。

The Eras tour Tokyo に2日間参加したが、
私のデビューから18年間を全部振り返るよ!と言ってヒットチューン、彼女の思い入れのあるチューンなどなど、盛りだくさんな内容だった。

特に私の思い入れのある曲は先のYou belong with me 、またDebutアルバムのThe outsideだった。(the outside は公式セトリ入りしていない)
The outside は読んで字のごとく、Taylorが学校や周りに馴染めなかった際に疎外感を感じていた内容の曲である。
12歳の時に作詞しているため、22年前となる。

私自身もまた、以前書いたように、小学校、予備校、受験、期待値が高すぎた中学、12歳は受難で周囲に馴染めなかった。
この経験から12歳のTaylor の蚊帳の外な気持ちなどが表れている点に共感し、大変覚えている曲だし、高校の時にも何度も聴いていた。

The outside の良い点は、人を責めずに自分を俯瞰して馴染めていないという点だ。

祖父がガラス職人だった私は彼の職人気質な性格を一部を受け継いでいる。
それは文句や愚痴を言う体力と時間で、新しい物やことを作り出したいというもの。

その点Taylor Swiftのthe outsideのような自分の気持ちをソングライティングと言う形で俯瞰して見つめると言う発散方法はとても自分の性に合っている。

こうしたTaylorの姿勢そのものにも惹かれて15年間ファンである。

とは言え、テイラースウィフトの全てが好きと言うわけでもない。
例えば最近のCDの売り方は、あまり好きではないのが正直なところ。
理由は、何かとバージョンをたくさん作って、たくさん買わせると言う戦略に見えるからだ。

ここから、私の予想だが、おそらくTaylorはすごく頭が良く、また同時に警戒心もつよいタイプ。
だからこそ、これだけ大スターであり、巨大ファンダムを作り上げても、将来の備えを忘れず、いつでも仕組みとして収益が入るようにしたいんだと感じている。

Taylor Swiftに限らず、私自身は全面的に誰かを肯定するとか妄信的に誰かを信じるということがあまり好きではない。
理由は誰にも良い点と悪い点があるからだ。

ファンダムではアーティストを否定をすると、ファンではないという見方をする人もいるけれど、私はそれには反対。
それぞれの人に良いところと悪いところがある。でも、それでも応援するかどうか、ファンの分かれ目だと思う。

これは、アーティストのファンであるかどうかに限らず、全てに通じていると思う。
完璧な人間はいないと思う。当然自分もそうだし、相手もそう。いろいろな面を受け入れて、それでも応援するかみたいなところであり、完全を求めるのは違うと感じる。

一方で、Taylor Swift の凄いところは、彼女はそう(完璧な人はいない)であったとしても、完璧または完全を求めていて、少なくともそれに少しでも近づこう実現しようとしているところである。

2015年、1989ツアーに参加した。
初めてTaylor Swift を生で見ることになり、とてもとてもうれしかった。
一方で、不思議に思ったこともあった。コンサートそのものの正直な印象は、舞台裏にいる時間が長いなぁと感じたということ。
正味1時間ちょっとしか歌ってないのではないかなぁと言うふうに感じた位裏にいる時間が長かった。
人生で初めてコンサートに行った私はまぁアーティストも人間だし、こんなもんなんだろうというふうに感じていた。

しかし、大学入学後は、その後いくつかのアーティストのコンサートに参加する中で、あのTaylor の1989ツアーはやはり相対的に舞台裏にいる時間が長かったと感じたこと。

誤解を恐れずに言うと、正直Taylorは斜に構えていたのではないかとさえ感じてしまった。
特に印象的だったのは、もともと日本好きと公言しているAriana GrandeのDangerous Woman ツアーである。
彼女のコンサートは、あまり裏に行くこともなく、ブロードウェイでも活躍していたパワフルな歌声でパフォーマンスをしきっていた。

そのことに若干の違和感を感じた私その次のTaylor のreputation ツアーはファンであるにもかかわらず、ゼミまで休んだのに参加しなかった。

正直、昨夏から予約開始のこのツアー、行くと決めたのは10日前のこと。
昨今の彼女の音楽性や影響力に良くも悪くも圧倒され離れかけていた。

しかし、全アルバムを振り返るということで今回2024年の2月にThe Eras Tour には行くことにした。

実際のコンサートで、私は天才であるTaylor Swift が、完璧と完全に近いコンサートを体現しようとしている本気を感じた。
力の入れ方、体力パフォーマンス、ダンサー、全てにおいて本気なのであった。

正直、前情報を入れてなかったため良い意味で衝撃の度合いは大きかった。

大好きなYou Belong With Meフルソングはもちろん、the Outsideもサプライズソングとして披露してくれた。

中学生から応援しているので、彼女の音楽性や影響力にも波があった。
その中で、今までは常に”これから”を見続けてきたと感じていた彼女が、”これまで”を自分のものとして受け入れたのだと実感した。それは簡単にできることではないと思う。

Taylor Swift は、これまでの波や緩急含めて、すべてをThe Eras tour に詰め込んだのである。
所謂C’est La Vie (達観/諦め)的なものではなく、「すべてがあって、今がある」という一本筋の通ったメッセージとして、私は受け取った。

これまでこのノートでも書いてきたように自己分析を大事にしてきた私としては、このThe Eras Tourに参加したことがある種何かの縁のようにも感じた。

「すべてがあって、今がある」、そう思う事はやはり決して簡単なことではないけれど一つ一つを積み重ねながら未来を開拓していきたい。


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