「キャリア発達理論」をまとめたスーパーについて考える

 スーパーは、父親がホノルルYMCAに赴任していたため1910年ハワイに生まれます(両親はミズーリ州出身だそうです)。父親は人事教育の専門家としてYMCAに勤務し、母は文学修士号を取得してラテン語と代数を教えていましたがやがて新聞記者・論説委員になります。スーパーが小学校に入学する頃、父親が全米YMCA同盟に異動し、ニュージャージー州に移住します。12歳の時、父親がこんどはポーランドにYMCAを設立、ワルシャワに移住します。兄が流行性心膜症にかかって亡くなった後、スーパーはジュネーブにある寄宿学校を経てオックスフォード大学に進学し、経済学で学士号、文学修士号を取得します。またハーバード大学のキトソン教授(とブリュワー教授)の下で職業指導を学び、ソーンダイクの研究助手としても働いています。その後、クラーク大学で助教授となり、教育心理学とガイダンスで博士号を取得。のちコロンビア大学に教育学の助教授として就任し、1975年の定年まで勤務します。世界を飛び回る転勤族ですね。

 スーパーはライフステージ論やライフロール論、アーチモデルなど種々のモデルを示し、それまでのキャリア発達理論を統合的に呈示した人ですが(さすが経済学も文学も教育学も修めた人です)、それだけに良くも悪くもキャリア概念が幅広く(また後に白人男性に偏っているとも指摘されます)、後に批判の対象にもなります。学説は議論されてしかるべきですが、ちょっと可哀想な気もします。

 もちろんThe Career Development Quarterlyが特集号を組むくらいの大物で(責任編集をサビカスが行っています)、日本でも「D・E・スーパーの生涯と理論」(図書文化社)として訳出されています。この本、なかなか深い説明で面白いです。

【実践家向け】スーパー(1910−1994)のキャリア理論 - YouTube

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