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「キャリア・アダプタビリティ」を提唱するサビカスについて考える
サビカスは幼い頃から父の働く姿を見、また父の仕事を手伝うなど「働くこと」に関心が高く、仕事の世界を心理学、社会学、経済学、神学など多様な視点で追求することを考えていたそうです。しかし多方向の学問から仕事を学ぶことができる大学がなかったのでスクールカウンセラーになる予定で修士課程へ進み、カウンセリングセンターでのインターン実習初日に出会った学生のキャリア相談ができなかったことからvocational counselingのコースを受講、そこでクライツの”Vocational Psychology”に出会ったのだそうです。
結局、コロンビア大学のスーパーが主任指導者となり、メリーランド大学のクライツ、ジョンズホプキンス大学のホランドの指導も受けながら博士課程の研究を進めます。サビカスは、のちにスーパーの蔵書を全て受け取ったと言われます。
サビカスはスーパーのキャリア発達論、クライツのキャリア成熟論などを踏まえつつ「個人はアイデンティティとアダプタビリティという2つのメタ・コンピテンシーを使いながら、仕事領域の航海図を描いていく」とします。またカウンセリングにおいては、関係性の次元(engagement、interaction、encouragement)とコミュニケーションの次元(サビカスの場合、ストーリーを引き出すためのツールとして構造化したインタビューを用いる)の2つの次元があるとします。サビカスは「(クライエントの)ストーリーは、クライエントの自己構成とキャリア・アダプタビリティの範囲を明らかにする」ものだとしています。
またサビカス本人がスーパーやクライツの理論に加えてアドラー心理学の影響を受けたと告白していますが、1989年にアドラー心理学を取り入れて①ロールモデル、②本(愛読書)、③雑誌(愛読雑誌)、④レジャー活動(自由時間に何がしたいか)、⑤学校の科目(好きだった科目、嫌いだった科目)、⑥モットー(好きなことわざや座右の銘)、⑦理想の将来像、⑧意思決定を問う「キャリアスタイルインタビュー」を構成しています。アドラー心理学を取り入れることで、マッチング概念から所属概念へ、タイプ論から個別論へ、職業興味からキャリアパスへ、選択から意思決定へ改善できると考えたということです。
さらに2002年には、構成主義の影響を受けてキャリア構築理論を発表します。これは特に心理的構成主義の影響、外的環境への適応の重視という視点を取り入れたものと言われています。そうした中でキャリアスタイルインタビューも、5つの質問(尊敬する人、よく見る雑誌やテレビ、好きな物語、モットー、初期記憶)で構成される「キャリアストーリーインタビュー」へと改訂されます。5つの質問をした後は①幼少期の思い出から自己概念(現在までとらわれていること)を明らかにし、②とらわれに対処するためにどのような自己を構成してきたかを振り返り、③好きな雑誌やテレビから活動したい場面を把握し、④好きな物語から人生の台本を理解し、⑤モットーから本人に方向性を与えるもの(助言)を把握し、⑥それらを踏まえて本人の問題は何で、未来をどうしたいかという「未来のシナリオ」を一緒に作っていくというカウンセリング過程を推奨しています。
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