改めてハーズバーグの二要因説を考える
頼まれて時々行政の会議に出ることもあるのですが。最近聞くのは人手不足、「採用できない」という企業側の声です。コロナ禍はありますが、雇用調整助成金が効いているのですかね。2022年1月の完全失業率は2.8%、2022年1月の有効求人倍率は1.16倍(1倍を超えると仕事を探す人よりも、人を探す企業の募集が多いことを示す)となっています。ちなみに秋田はもうちょっと高い1.54倍です。
一方で秋田駅前の大手チェーン店のアルバイト募集でも最低賃金の822円だったりします。人は採れないけど、労働条件は上がってないのです。
ハーズバーグの二要因説の正誤は、まだアメリカでも議論の対象のようですが(日本に当てはめるには文化も時代も違いますのでさらに注意が必要です)、仕事に満足を与える要因(動機付け要因)と不満を与える要因(衛生要因)の2つに分けて考えたのは画期的と思います。
仕事満足は達成や承認、仕事そのもの、責任や昇進によって規定され、仕事不満足は会社の方針や雇用管理、給与、人間関係、作業条件などによるといいます(※一部文言を分かりやすいものに変えています)。給与が安いのは不満のもとにはなっても、給与が高ければいいというものでもないわけです(安くていいとは言ってませんよ)。
今はパートにもランクがあって責任を持つ役割に昇進・昇給できる制度があったり、パートであっても業務改善を提案できて提案1件ごとに賞与を出したりする企業もありますが、こうした取組も従業員の定着や満足につながるわけです。
パートに限らず、ある企業は社員同士でいい仕事をしてくれた人に「ありがとうカード」を渡すという取組を行っているそうです。これはどういう仕事をすれば「ありがとう」につながるかが、渡す側渡される側双方で理解できて、とても良い仕組みだと思います(ただこの会社の社長さんによると、この仕組みを取り入れた会社の全てがうまくいっているわけではない由。その会社に合わせた取組が重要とおっしゃってました)。
またある会社は毎朝の朝礼の司会を全ての正社員の持ち回りでやることによって、社内のコミュニケーションが良くなったそうです(この会社は別に趣味のサークルづくりも奨励していて、そこから地域の清掃ボランティアなどの活動も生まれたとか)。
採用することも大切ですが、退職させないことも重要と思っています。離職率が高いことが分かっている会社に、喜んで入社する労働者は決して多くありません。
社員を採用できていない会社さん、中でも離職が多くて困っている会社さん、労働者のせいにするばかりではなく御社の動機づけ要因、衛生要因を改めて考えてみませんか。賃金を大幅に上げないまでも、承認や雇用管理のしくみ、改めて一度考えてみませんか。