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先日のキャリアコンサルタント試験に出たラリー・コクラン問題について考える

 キャリアコンサルタント試験の問題にラリー・コクランが出題された時、「誰それ」「知らない」という話がネットで話題になったと言います。研究者間では知られた名前です。
 いえ、受験生が書くならいいのです。研究者と実践家の乖離というか、キャリア理論を教える人間と資格試験を教える人間の乖離というか、私を含めてキャリア理論家の影響力ってそんなにないんだなあとまざまざと認識させられました。

 コクランについては、例えば野淵先生が2008年に「スーパー,D.E.の後に来るもの-サヴィカス,M.L.とコフラン,L.に着目して」という論文を書いています(ネットでダウンロード可能)し、労働政策研究・研修機構の榧野潤先生も2007年の労働政策研究報告書「職業相談におけるカウンセリング技法の研究」(これもダウンロード可能)や2014年のビジネスレーバートレンドの記事などで触れています(カックリンと表示されていますが)。拙著「社会構成主義キャリア・カウンセリングの理論と実践」(2015)などでも触れていますし、そもそもコクランの著書が宮城まり子先生、松野義夫さんの訳で『ナラティブ・キャリアカウンセリング-「語り」が未来をつくる』(2016生産性出版)として翻訳されています。

 プロであるからには学び続ける必要があると思っています。もちろん過去問の勉強も大切でしょうけれども。宮城まり子先生の訳本や私の論文「社会構成主義からライフ・キャリア適応を考える」しかヒットしないように書いておられる方もいますが、詳しい人に聞けばいっぱい出てきます。「ネットで検索」は万能ではありません。
 次はヴァンス・ピーヴィーとか出るかもしれませんよ。

【実践家向け】コクランのナラティブアプローチ - YouTube


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